購入しませんか?
シェア
さくらゆき
2022年7月6日 18:34
「お姉ちゃんが死んじゃうなんて、そんなの嫌だ!」栄子はその場にうずくまって泣いた。さくらは栄子が泣いているのを、ただ眺めているしか出来なかった。さくらの魂が桂に還る為には、恒之新の魂をこの場所に連れてこなければならない。しかし、恒之新は恒太の肉体を乗っ取ってしまい、実の親に刀を振るうという暴挙を起こした。連れてこられたとしても、本当に桂が目覚めるかどうかは確実ではない。
2022年7月13日 18:09
ヒュッ!!栄子は咄嗟に横方向に転がった。刀の切っ先が地面に刺さった。「…恒太。ううん、『恒之新』様ね!」栄子は立ち上がり、恒太の顔を見据えた。恒太を乗っ取っている亡霊は無表情のまま、栄子を殺そうと妖刀【櫻葉】を構えた。「恒之新様っ!!」栄子の前に、さくらが立ち塞がった。しかし、恒之新と思われる亡霊は、その声に無反応である。
2022年7月20日 19:48
「…栄子。」栄子の名前を呼んだのは、亡霊ではなく、恒太本人だった。しかし、肉体の主導権はまだ亡霊の方にあるらしく、刀を持つ手は栄子に斬り掛かろうとしている。「栄子に…危害を…加えるなんて、許さない!!」恒太は亡霊に抗うように、自分の足に刀を向けた。そして、雄叫びを上げながら、左大腿に刀を突き刺した。
2022年7月27日 18:12
「だ…大丈夫なわけない。こんなに血が出て……」栄子の動揺は収まらない。「…栄子。もうちょっと近くに来て」青ざめた顔で恒太が言うので、栄子は言うとおりにした。すると恒太は栄子を抱き寄せて、そっと口づけをした。栄子は一瞬、何が起こっているのか分からなかった。