さらぬわかれ 87

ヒュッ!!

栄子は咄嗟に横方向に転がった。
刀の切っ先が地面に刺さった。

「…恒太。ううん、『恒之新』様ね!」
栄子は立ち上がり、恒太の顔を見据えた。
恒太を乗っ取っている亡霊は無表情のまま、栄子を殺そうと妖刀【櫻葉】を構えた。

「恒之新様っ!!」
栄子の前に、さくらが立ち塞がった。しかし、恒之新と思われる亡霊は、その声に無反応である。

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