さらぬわかれ 89

「だ…大丈夫なわけない。こんなに血が出て……」
栄子の動揺は収まらない。

「…栄子。もうちょっと近くに来て」
青ざめた顔で恒太が言うので、栄子は言うとおりにした。

すると恒太は栄子を抱き寄せて、そっと口づけをした。

栄子は一瞬、何が起こっているのか分からなかった。

ここから先は

317字
この記事のみ ¥ 100

読んで下さり、ありがとうございます。いただいたサポートは、絵を描く画材に使わせていただきます。