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19世紀ピアニズム〜音のドキュメンタリー「レシェティツキの弟子たち第2集」Pupils of Leschetizky Vol.2 (pianists born in 1878 & 1879)

Fragments of History ~ピアニストの黄金時代を担った「レシェティツキの弟子たち」(2)
レシェティツキのレッスンを記録した日記帳には1500人を数えるピアニストたちが登場し、とりわけ代表的な弟子たちは現代においてもよく知られている。
例えば、リスト以降最大の人気を誇ったパデレフスキ、自由自在に技巧を操ったピアノの詩人フリードマン、元祖学究的ベートヴェン弾きのシュナーベル、アントン・ルビンステイン譲りのグランドスタイルで圧倒したハンブルグ、狂信的なベートヴェン奏者となったナイ、左手の為のピアノ曲をラヴェルなどに作曲依頼したヴィットゲンシュタイン、わが国でも親しみのあるショパン弾きのブライロフスキー、ヴァチカンで演奏したモーツァルト弾きのホルショフスキ、ラフマニノフが後継者として絶賛したモイセヴィッチなど、名前を挙げるだけでピアノ演奏史を眺望するような偉大なピアニストたちばかりである。彼らのレコードは、19世紀的な演奏スタイルが実際にどのようであったかを伝える「音のドキュメンタリー」なのだ。

幸いなことに今日、これらの著名なピアニストのレコードには、以前よりも容易にアクセスできるようになり、研究や再評価も進んだ。その一方、入手の困難さやレコードの存在自体の把握の難しさから、復刻される機会に未だ恵まれないレシェティツキの弟子たちが未だ多く存在している。そして、彼らも一様に個性的で、研究対象としても興味深くかつ重要なピアニストばかりなのである。
本シリーズは、そんなピアニストたちにスポットを当てることを第一義としつつ、レシェティツキの弟子たちを網羅し展望できるようにアンソロジーを編んだ。また、沢山のレコードを残したピアニストに関しては、独立したタイトルとして個々でのリリースを刊行することとした。
しばしの間、時を超えて、19世紀ロマン派のピアニズムを担ったレシェティツキ門下生たちの演奏を愉しんでいただければ幸いである。


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