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自分の●●●に気づくことが最初の一歩

「日本円のコイン持ってないですか?」と座っている女性が、こんな意味合いのことを私に言ってきた。このことがきっかけに私の旅に対しての想いを大きく膨らませたのだった。

バリ島へ旅行するために経由したインドネシア・マニラの国際空港でトイレに入った時のことだ。トイレのドアを開けると数人の女性が座っていた。それは私にとっては初めての光景だ。不思議な気持ちで用を足し、個室をでて手を洗っている時に、座っていた女性たちが手振りに伝えてきた。彼女たちの「ジャパニーズ」という単語は理解できた。彼女たちは持っているコインと、私の日本円を交換して欲しいようだ。でもその時、私は「No」と答えた。明らかに自分とは違う世界の人のように思えて怖かったからだ。

バリ島到着一日目、バスで島内を観光する。バスガイドは声を大きくして島内での注意事項を言った。「公共の道端では子供たちが物を売りつけてくることがある。不要なものは買わないように。相手にすると次々に売りつけてきます。次に生水に要注意。ホテルの水道でも飲まないでください。歯磨きでさえも、できれば買ったお水を使うように」。私にとってバリ島は初めての場所だ。旅への興奮でガイドの言ったことは大きな問題としては受け止めていなかった。

観光名所やお土産屋さんでバスは停まり時間を作ってくれる。
私たち乗客は決められた時間内が自由時間だ。
最初に停まった場所。私は何があるのか楽しみで社外へ降りた。その瞬間、私に寄ってきたのは、目がキラキラとした小さな子供だった。手には持っている何かをどうやら買って欲しいようだ。

私はガイドの話を思い出した。

子供の目からは懇願の想いが伝わってくる。「ごめんね。次にね」と小さな声で呟いた。追いかけてくる子供を後に店の中に入ろうとした瞬間、子供の母親らしき人が赤ちゃんを抱いて立っていた。この地域では、子供に商売をさせているとガイドが言ったことを思いだした。子供は自分の物を売るために店の中に入ることはできない。子供は遊び、大人は仕事をするという日本での常識が私の中で崩れ始めていた。

ホテルの部屋に到着。私は日本とは変わらない室内の蛇口を回した。コップに溜まる水は普通の水のよう見えたが、光に翳すとほんのりと濁っている。蛇口から出てくる水は濁っていないという私の常識がここでも覆された。

空港のトイレから始まったこれらの体験。知らないことばかり。

私は価値観という色眼鏡を持ち一部の世界しか見ていなかったことに気がついた。

「狭い世界で生きていたんだな、私」

色眼鏡を持っていたという事実に気付いて、見える世界が変わり始めた。ここからが私の心の学び第一歩となった。

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