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岐阜旅日記 - 前編 -

新宿を出発し、名鉄岐阜駅に到着したのは朝6時半。

今回の旅の目的は、去年岐阜市へフウフで移住したなっちゃんに会うためだった。

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早朝にも関わらず、車でお迎えに来てくれた。

用意してくれた、お手製の生姜湯とつま先用ホッカイロが、気持ちまであっためた。

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全身の着替えをお借りして、まず向かったのは柿農園。
なぜだか、移住してすぐ柿を育てることになったらしい、オットくん。

なんと柿の木が150本あるそうだ。
4反だそうだ。はて、ヨンタン?

行ってみると、自然のアートのような柿の木。

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なんだかめちゃくちゃかっこいい。
日に照らされると、神々しい。

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今日は、剪定してもらった枝をさらに切って燃やしていくらしい。新しい遊びだ。

「一緒に枝燃やししようよ!」と言う遊びの誘い文句も、新しい。
知り合ってもう長い友だち。だけど火を焚く姿は新鮮だ。

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順調に枝を燃やし、火の中にイモを放り込んでみた。
焼き芋って、どうやるんだっけ?子どもの頃以来だから、わからない。

とりあえず、手が熱い!熱ぅい!!!

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このあとまだまだ火力が強くなり、そのたびにイモを心配するわたしに、なっちゃんは言った。

今回が失敗でもいいよ。

‥そうだった。

今回イモが焦げても、きっと次に生かせるの。
イモの巻き方、火に入れるタイミング、火力、時間‥。
経験が無いんだから、やってみたらいいの。
それそのものがめちゃくちゃ楽しいことだし、失敗って失敗じゃない。
ハッとするなぁ、いつも。
イモのことばかり気にして、ごめん。

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お腹が空いたので、ここでパンとお茶でピクニックにした。こんなランチ、ホテルのビュッフェよりも私にとってはご馳走だ。

3人で休憩をとり、柿の話題で盛り上がる。柿農家として初めてだらけで、どうなっていくかわからないはずだけれど、体当たりで学びながら楽しんでいる印象を受けた。
そしてオットくんが言った。

失敗って、失敗じゃないよねぇ!!

‥もう、なんなのふたり、ステキかよ‥

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夢中で枝燃やししながら何時間でも喋り倒し、日も暮れた頃、さのっちさんが現れた。
オットくんの「柿の師匠」であり、「柿のすごい人」なのだ。
話には聞いていたものの、初対面でドキドキ。。
でも緊張したのは最初の10分。
さのっちさん、めっちゃおもしろいんですけど‥!!

はじめまして!

自己紹介のタイミングを逃していた私に、さのっちさんから声をかけてくれた。(声大きめ)
ソロトラベラーのくせに超絶人見知りな私に、どでかい器でバシバシ話しかけ、めっちゃ大きい声で笑ってる‥!
ああ、空気が優しい‥。

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大仕事を終えたオットくんも合流し、「柿の師匠」と「柿談義」に花を咲かせ、朝から始めた枝燃やしは、いつのまにか暗闇で唯一の光に変わってた。

フリーの仕事も持ち、農家としてもスタートしたオットくん。
大切にしたいことは大切にしたままでありながら、決してかたくなでなくて、柔軟に目の前のチャンスや偶然、必然をキャッチして「楽しく生きる」選択をしているように見える。

この「柔軟さ」は、楽しい人生を作るコツだと思った。

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私はと言えば‥

身体も気持ちも崩れて退職し、「自分のこと大事にしたい」って、大幅なキャリアチェンジを決めたけれど。
大切にしたい生き方に気づいているのに、どうしても不安で心にまっすぐにいられなくなった。

それに「あんなに覚悟決めて道を変えたんだから」と意地や意思がカチコチに固くなり、柔軟さもなく、選択の幅を狭め、なりたかった姿から離れていった。

そんな自分と向き合う岐阜旅もとい「柿旅」初日。
刺激的な後編へ続く。

結局、わたしの意地と同じくらいカチコチに焼けたイモを、さのっちさんが大声量で「うっめーーー!!」って叫んで食べた。

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