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◎映画『キャラクター』

きっかけは書籍『巻き込む力はヒットを作る』。村瀬プロデューサーが手がけた作品の一つであることを本を読んで知った。
そういえば公開時に観たいと思っていたのに観に行けていなかったなと思い出したこともあり、観てみることにした。


以前、漫画編集者の方が「昔は漫画で描かれたあと、現実に起こった事件があった」とお話されていたことを思い出すようなストーリーだった。

創作とリアルがリンクしてしまっている恐ろしさをずっと訴えていた。漫画家と殺人犯が二人三脚で創り出した作品が、多くの人にウケてしまう。
皆「おもしろさ」を見出してしまう。

それは殺人犯である両角の「キャラクター」のインパクトに惹かれてしまっているから。

「行方不明展」が人気だったり、心霊スポットに足を踏み入れる人が多かったり、みんなどこか怖いもの見たさを隠せない。自分の身に起きたら恐ろしいけれど、一歩離れた安全な所で見れるのであれば是非見たい。

そんな人間の欲望が顕になっている。


また漫画とリアルを感じさせる場面では、居酒屋で山城と両角が初めて話すシーンが挙げられる。画面が少し粗くザラっとしていて、それが不気味さと、少し漫画のタッチ・トーンを彷彿させるような作り込みでワクワクした。


漫画家について言及するならば、刑事である清田が何度も山城に漫画が好きだ、楽しみにしていると伝えるところ。胸が苦しくなった。
きっとこういう読者の声って、読者が思っている以上に漫画家さんたちの励みになるのかもしれない。主人公が漫画家で、彼に感情移入する形の物語だからこそ、読者の応援って力強いものがあると感じることが出来た。


そしてなんと言っても今回の作品の見どころは菅田将暉さんの漫画を描くシーン。実際の漫画家さんってこうやって描いているのかなと妄想膨らむ。それに紙とデジタルの両方が作中に出てきて、どちらの良さも味わえる。

私はやっぱり紙で描かれた原画に感動するので、ラストの揉み合いになるところは「あー、もっと大事に…!」と思ってしまった。

ただあそこはかなり作り込まれているな!と感じる場面でもあった。デジタル画面と原画のどちらもリアルを誘導する働きを見せていて、殺人鬼がとにかく「忠実に再現することを求める」キャラクターだからこそ活きている。


清田たちが「人間の行動には必ず性格が出る」と言っていたけれど、まさに最後に繋げるための伏線だった言葉。

ホラーのような突然ビックリ系ではないけれど、グロさや不気味さはあるので苦手な人は苦手だろうなという印象。


けれど青年漫画が好きな人は、きっと好きだと思うから是非観て欲しい。


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