教授のコンサート終わりに

乗ったタクシーのドライバーの名前に「龍」がついており、坂本龍一さんの話をしたら、YMOの話題になった。そして、大滝さんを聴いている方だった。「ナイアガラ」はよく聴いたので、やや、時代や音楽の時系列がよくわからなくなりつつ、他にどんな音楽を聴いているのか、おすすめを聞きながら、映画『タクシードライバー』の話しになった頃、会場についた。

教授のコンサートには一度も行ったことがなかった。気がついた時には、YMOは、散開していたし、ニューヨーク在住に。

音楽を担当された映画を観たり、アルバムを聴いたり、ラジオを聴いたりしていた。

明確にエンドロールで名前を意識して聴くようになったのは、ある映画がきっかけでした。
観終わった後に、映画館の椅子から立てなかった。その音楽を担当されていたのが、教授でした。

2022年12月11日、ご本人はいらっしゃらないのに、しばらく行かなかった映画館で、演奏を聴きながら、近くに座っている方もすすり泣きされており、うっかり、私も泣いていた。一緒に聴きたかった方は、隣の席には座れなかったのは、残念だった。

しかし、やっと聴けた!!!という気持ちと、終わってしまうのか……という、命の時間の短さと、何泣いてるんだ私!!と、羞恥心がないまぜで、でも、上映コンサート終わりには、清々しく。なぜか、うれしかった。

それは、教授が

オリジナルアルバムを出すから、ということもあり、おそらく、原点のような音楽を今後も聴けるとわかったからだ。教授の音楽を聴きたい方がいらっしゃり、誰とはわからぬ人と一緒に聴けたのが、理由かな、と、思う。

なぜか、初恋が叶ったような気になり、そんなはずはないのですが……。そんなはずはないのだが。

忘れていた自分の過去やカゲは踏めないものだ。

会場外を散歩しながら、シャンパンを探した。
個人的には、子が気持ちの上で自立したな、と、思えたので、寂しい反面、祝いの酒を呑みたくなった。飲んだのは、コーヒーですが……。

公園を歩き、街の声を聴き、青空や風の行方を探した。

ワンちゃんを連れて歩けるショッピングモールは、初めて歩きました。んん?スヌーピーミュージアムつながりなんだろうか。

疲れて休むところ、飲むところ、こどもが感覚統合の揺れを楽しめるスペースなどなど。全部は、まわれませんでしたが、大きなテーマパークの側に静かな公園もあり、自然のパブリックって、どこまでなんだろうなぁと、歩いていた。

私は、日常を、楽しみたいだけだ。

コーヒーのキッチンカーが流していたジャズアルバムはよかった。

さらに、クールダウンして帰ろう、と、太宰治の旧邸を再現された図書スペースで本を読み、帰路についた。太宰治の「メリークリスマス」に描かれた東京の心象風景は、もしかしたら、今も変わらぬ風景なのかもしれないな、と、思った。

追記:映画館を出たら、教授にメッセージカードを書けるとスタッフさんにカードと鉛筆を受け取ったが、何を書いたらよいか、全く文字が浮かばず、我ながら本当にキモい、通り越して、キショい、と自分に突っ込みをいれつつ、悩みに悩んで、謎のイラストを描いてしまった。なんだよ、これ、と、こんな時にこんな絵しか描けないか、届いてしまったら、きついな、これ、みたいなカード。どうぞ、笑ってください。そして、その日は安眠しました。

今朝は、サティとドビュッシーを聴き直したくなりました。ありがとうございます。ビートたけしさんも、どうぞ、よいお年をお迎えくださいませ。って、届きようにないと思いますが……。

「メリークリスマス,ミスターローレンス」






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