文学の同人誌を作って頒布するまで #文フリ東京38のお礼&PR全ふりかえり
結果報告 合同誌「Quantum」完売しました!
石田「文学フリマ東京38、無事終わりました!ちょっと時間が経ってしまいましたが……」
鈴木「まだまだ熱が冷めないですね。当日は本当にたくさんの方にブースにお越しいただいて、合同誌「Quantum」なんと完売でした! お越しいただいたみなさんには感謝でいっぱいですね」
石田「そうですね。最後の一冊が売れたときは感無量でした」
石田「売り上げの内訳はこちらです」
鈴木「今年1月に公開した最初のnote記事で、PRチームの目標として「一〇〇部頒布を目指す」と掲げていたんですよね」
石田「そうですね。たくさん売れたから成功とか、売れなかったら失敗だとかいうことではなく、ひとりでも多くの読者に作品を届けるためのPRという意識でやってきたので、嬉しい結果です。あらためて、雑誌をお求めいただいた皆様、興味を持っていただいた皆様、ありがとうございました!」
編集部員の感想(五十音順)
PRのためにやったこと 全部ふりかえります
石田「2023年の12月に始動し、およそ半年間準備を続けてきた合同誌プロジェクト。われわれPRチームとしても、どうすれば本を一人でも多くの読者に届けられるのかということをずっと模索してきました。せっかくなので今回はPRチームとしてやってきたことを振り返ってみようと思います……ということで、ざっとリストアップしてみました」
鈴木「お、多い……。ほどほどに振り返っていきましょう!」
1. 公式Twitter(X)
1.1 各種リリース
鈴木「SNSではXを主力として、ブース発表のお知らせとか、刷り上がりなど各種公式情報のリリースを行いました」
石田「本当はThreadsとInstagramも作ったんですけど、運用に挫折しました……思ったほど動きがなく……。どのSNSに注力するのがいいか最初に議論しましたが、やっぱり今のところ文学フリマと一番相性がいいのはX / Twitterなのかもしれません」
鈴木「基本となる文フリWEBカタログの情報を固定ポストにして、そこに追加情報をリプライでぶら下げるツリー形式をとることで遡りやすいようにしていましたね。なんだかんだWEBカタログは結構読んでもらえたんじゃないでしょうか」
石田「そうですね。WEBカタログの便利な機能、サークルをリストアップできる『気になる』は、当日の朝7時25分時点で28ついていました」
鈴木「入手にかなり前向きな人が少なくとも28人はいてくれた、ってことですよね。当日に向けてハラハラする中、興味を持ってくれた人が数字として見えるのは出店者側としてもありがたいものです」
1.2 日常投稿
石田「こちらは鈴木さんがめちゃくちゃ頑張ってくださいました。写真つきの投稿なんかを含めて、直前期は毎日ポストしていたのでは?」
鈴木「一日10ポストが目標……だったんですけど、実際は少ない時だと5ポストくらいでしょうか。4月に編集部・マネジメント担当の久湊くんを交えてPR会議をしたときに、『瑣末な内容でもいいからとにかく日常的にアカウントを動かしておかないと、重要な情報もフォロワーに届かない』という指摘をもらったんですよね。普段からSNSで発信慣れしていないので難儀しました」
石田「だんだん『アカウントの人格』というか、サークルとしての色が見えてきて良かったんじゃないかなと思います」
鈴木「たしかに。初めの頃は『合同編集部』として何を言っていいのかわからなかったんですけど、だんだんハードルが下がってきた気がしますね。文学フリマ当日は見本誌と共にに会場へ向かう旅を衝動的に投稿してみたり」
1.3 試し読み画像公開
石田「いよいよ文学フリマの近づく中、大型連休には作品の試し読みを連日投稿しましたね」
鈴木「地味に大変なんですよね。ツリー投稿ってまだしてないポストにはぶら下げられないから、全部は予約投稿できず……。定刻には実家だろうが外出先だろうが、せっせとポチポチしていました。思い出深い」
石田「でも、その甲斐あってGW中でフォロワーはかなり増えたんじゃないでしょうか」
鈴木「そうですね!試し読み公開を機に、合同誌の良さが一気に伝えられるようになった気がします。実際、フォローバック率なんかもずいぶん良くなったかも」
石田「本のクオリティなどもそうですが、どんな創作活動をしているのかは、作品そのものを通じてでないと伝えられない部分がありますよね。書き手にとって作品は何よりの自己紹介かもしれません」
鈴木「そのほか目次や企画内容、あらすじなども画像化して公開していました!こちらは当日装飾の項目で詳述します」
1.4 PR担当の選ぶ しびれる一文
鈴木「『#Quantumしびれる一文シリーズ』もXで投稿しました」
鈴木「思いつきに画像までばっちり作ってくれてありがとうございます……。バックのグラフィックがそれぞれ違ってかわいくもしびれる仕上がりです」
石田「グラフィックはAdobe Illustratorで作成しました。なにぶんメンバーが6人もいるので、まずは統一フォーマットとなるデザインを決めて、そのバリエーションを作っていく流れでした。鈴木さんがnote用に描いてくださっていた似顔絵イラストを使ったりして……」
鈴木「また、こちらのデザインは思わぬところで活躍しましたね!」
石田「当日に合同編集部員各人がつけていた担当名札ですね。こちらは当日PRのところで詳しくお話ししましょう」
1.5 他サークルさんとの交流
石田「Xでの活動では、PRの枠を超えてXのフォロワーさんとの交流から得るものもたくさんありました」
鈴木「スペースでしゃべらせてもらったり、広報活動について勉強させてもらったり、noteの感想を頂いたり、ナイスアイデアを頂いたり……。もちろん、いいね・RTもありがたく、活動のモチベーションになりました!」
石田「お声がけをいただくのも勿論うれしいことですが、やはりこちらから一歩前に出て行動することは大事……とはいえ結構ハードルは高かったのでは?」
鈴木「そうですね。運用当初はなかなか出来なかったんですが、反応を頂けたら返信や引用ポストでリアクションするよう心がけました。馴れ馴れしいかな?とも思ったんですけど、自分だって人に声をかけてもらえるとうれしいな、ということで。こちらからもどんどんやってみました」
石田「『#文学フリマで気になる本』で引用ポストもしていましたね」
鈴木「そうそう、まさにあれは合同誌が引用ポストで紹介されてありがたく思ったので、真似して始めてみました。Xで文学フリマで頒布される面白そうな本をみつけてはいいねして、時間のある時にポストして……個人的なサークルチェックも兼ねてしまっていたかも」
1.6 会議スペース
鈴木「Xでは、音声会話を発信できるスペース機能もけっこう使いましたよね。」
石田「そうですね、タイムライン上で存在感を出すためにも、会議や作業通話を大公開していました。文学フリマが近づいてからは音声はスペースで、画面共有などはTeamsでという二刀流が定着しました」
鈴木「一晩ぶっ続け入稿作業スペースはアツかった……」
石田「本当に作業通話そのままでしたが、それでも聴きに来てくれる方がいるとうれしかったですね」
2. 公式note
石田「そして、なんといってもnoteの活動。読み物のコンテンツを公開するには、やはり便利なプラットフォームです」
鈴木「一定の拡散性があると同時に情報がさかのぼりやすく、安心して情報を置いておける場所ですよね。Xとnote、両方を使って活動している文フリ参加サークルさんも多く、Xを起点にnoteを読んだり、noteを起点にXをフォローしたりと、相補いながら情報収集やPRができたんじゃないでしょうか」
2.1 メイキング記事シリーズ『文学の同人誌を作って頒布するまで』
石田「『文学の同人誌を作って頒布するまで』は、雑誌制作の過程をそのままPRコンテンツにしてしまおう、というもの」
鈴木「他の編集部員にも手伝ってもらいながら、合計8本の記事を出しました」
石田「最初に企画した際のポイントはやっぱり、継続して出せること。文フリは開催本番に近づけば近づくほどPRへの注目度も上がって効果が高まるいっぽうで、作り手としては直前期は〆切や入稿に追われてPRどころではなくなってしまう。なので、編集会議をそのままネタにすることで、どれだけ忙しくても安定して出し続けられるフォーマットを作ろうという狙いもありました。だいたい構成をはじめて2〜4日くらいで初稿完成、部内で意見を貰って1週間強くらいで公開するくらいの流れだったんじゃないかな」
鈴木「せっかくイラストもあれこれ描いたので、総集編の折本を作ってフリーペーパーにしてみました。40部限定だったんですけど、気軽に配っていたらけっこうすぐに無くなってしまいましたね。せっかくなので、ここで公開しちゃいましょうか!」
#0 PR方針について
#1 会議風景について
#2 タイトル決定について
#3 デザインについて
#4 校正・組版について
#5 企画について
番外編 編集部員紹介
番外編② 執筆環境紹介
石田「メンバーの協力のおかげで、どの記事も読みごたえがあります」
鈴木「noteを楽しんで読んでくれる方、役に立つ情報として共有してくれる方、読者のみなさんの反応もとても嬉しかったですね。継続してやってきた甲斐がありました」
2.2 試し読み公開
石田「Xでの画像に遅れて、noteでも試し読みを公開しました」
鈴木「noteも時間を決めて投稿しましたが、これまた微妙に大変でした。タグ付けは投稿直前にしないといけないから、記事の数だけ再びせっせとポチポチとすることに」
石田「自分は毎回公開時間に間に合わず、けっきょく鈴木さんにポチポチお任せしてばかりでした……ちなみに、試し読みの一環として個人創作にかんする作者インタビューも公開したんですが、これがけっこう好評でした。美学やBL繋がりのみなさんにも興味をもって頂くいい機会になったかも」
鈴木「企画担当の岡田さんが書き手たちに行ったインタビューですね。『どういう意図で書いたか』ではなく、『どう書いたか』という角度からの質問は、答える側も考えさせられるインタビューでした。合同誌を手に入れた方は、作品と一緒にぜひこちらも楽しんでもらいたいです」
3.3 合同誌情報まとめ
石田「合同誌「Quantum」について、Xでお知らせした頒布情報に加えてこれまでの編集部の活動などが一目でわかる記事も公開しました。」
鈴木「Xユーザー以外の方にも届けたいという狙いもありましたし、なによりXのツリー投稿は気づけばだいぶ長大になってしまっていたので、『これさえ見ればすべての情報が押さえられる!』というまとめがあるのは、直前広報としてもやりやすかったですね」
3. 当日広報
鈴木「作品を書き、本を作り、事前PRを重ね、ようやく迎えた文学フリマ東京当日!実際のブースはこのような様子でした」
3.1 ブース飾り付け
石田「ブースの飾りつけに使った主なものは、敷布・ポスター・ネームボードなどですね」
鈴木「あとはディスプレイ什器として、書見台やブックスタンド、高さ出し用のアクリル台などが使われています。当日の飾りつけはデザイン担当の原石さんがそのセンスを発揮してくれました!」
石田「落ち着いた光沢のある紺色のサテン生地に、階段状に積まれた合同誌の蛍光グリーンがとても良く映えています」
鈴木「存在感ばっちりですね!」
3.2 タブつき見本誌
石田「文フリ前日の深夜に『共作やインタビューも載っている作品だと瞬時に理解できた方がいいのではないか』というアイデアがあり、急遽見本誌用のインデックスタブ(付箋)を作成しました。印刷したときのサイズの計算をしてデータを作るのが大変でしたね……」
鈴木「見やすい!あれ、でも裏側の文字が一部反転しちゃっているような」
石田「それは言わないで……」
3.3 お品書き / 3.4 あらすじ集
鈴木「見本誌のほか、ブースにはお品書きやあらすじ集を印刷した紙を置きました。すこしでも内容に興味を持っていただけるきっかけを増やそうという工夫ですね。お品書きは鈴木が、あらすじは石田さん作です」
石田「どちらも事前に画像データをSNSで公開してPRしましたね。こういう細かい販促物はけっこう作るのが大変ですが、多方面で使うと費用対効果は悪くないんじゃないかな……」
鈴木「実際、あらすじを見てから合同誌を購入してくれる方もいらっしゃいましたね。カラーなのもいい感じです!」
3.5 フリーペーパー(折り本)
鈴木「さきほど各ページの画像をお見せしたものですね。実物はこのくらいの大きさでした」
石田「小さいですね!」
鈴木「画像を作って印刷するまではいいんですけど、折本って折らなきゃいけないんですよね。前日に印刷したのですが、折るバランスが難しく大量生産できず、結局当日もブースに持ち込み折ってもらうことに……」
石田「イベント前日はどうしても駆け込みで作業が詰め込まれがちですね」
鈴木「そういえばサークル名刺も前日作業でした。こちらはデータ自体はもう少し早くに出来ていたので、もっと早めに作業しておけば良かったですね……なぜこうなってしまうのか」
3.7 取り置き特典しおり
鈴木「せっかく取り置きを受け付けるのなら特典も、ということでしおりをつくってみました。消しゴムスタンプは石田さん発案でしたね」
石田「味があるし増産もしやすくいいんじゃないかな、と。実際には鈴木さんに丸投げでしたが……」
鈴木「不器用なもので地味に苦労しながらも、一回作ってしまえば押し方で遊びも入れられて、面白かったです。こちらはイベント2週間前から手を付けていたので、制作過程をポストすることで取り置き告知も兼ねられたのはよかったかも」
3.8 担当名札
鈴木「文フリ前夜の作業スペースに飛び入り参加してくださったもちづきもちこさんのナイスアイデアから、急遽作られました。
石田「せっかくの『合同誌』だから、それぞれ担当の人となりが見えるほうが親しみを持ってもらえるんじゃない?、というご指摘。鋭い着眼点だなと思いました」
鈴木「たしかに、文フリ常連さんならではの知見!」
石田「背景のイラストは、話のきっかけになるように、それぞれの作品にちなんだアイテムを取り入れています。直前期まで色々とPR素材を作ってきていた地道な積み重ねと、フォロワーさんとの交流による化学反応ですね」
鈴木「そのまま当日に那智さんが自宅のプリンターで厚紙に印刷して会場に持ってきてくださるという連携プレー。当日は養生テープで各自衣服に貼って使用しました」
4. 声かけ・接客
石田「当日ブースでの声かけや接客をどうするかについては、編集部全体で議論しました」
鈴木「スペースを通じて交流のあった履歴書籍さんのnoteに『自分たちの雑誌のキャッチフレーズを2秒で言えるようにすべし』というアドバイスがありました」
石田「Quantumのキャッチフレーズは……」
鈴木「どうやって書いているかがわかる本」
石田「そういう本です」
鈴木「副題の『小説を書くときいったい何が起きているのか』だとちょっと堅いですもんね」
石田「いかに『通りすがり』のお客さんに『試し読み』へと進んでもらえるか、みんなでロールプレイ形式の練習もしました。接客業の経験があるメンバーもいて、勉強になりましたね」
鈴木「作品をじっくり味わって読んでもらえるよう、アピールするタイミングのメリハリにも気をつけていました。そんなこともあって、当日はたくさんの人が見本誌に手を伸ばしてくださったのが嬉しかったです」
石田「忘れてはいけないのが、ブース外での呼び込みや過度な声かけは文学フリマの公式ルールで禁じられていること。事前にしっかり目を通しておくことも重要ですね」
お客さんの声から分析
石田「当日手に取っていただいたお客さんからは、どんな反応があったのでしょうか」
鈴木「編集部のみんなに、印象に残ったお客さんの反応を聞いてみると……」
石田「おなじ書き手としてなにか刺激になっていたら嬉しいですねえ」
鈴木「自分も今回の企画ではいろいろ考えさせられました。続いて原石さんへのヒアリング結果です」
石田「おっ、noteが届いていたようでうれしいですね。そして鈴木さんのファンの方が!」
鈴木「うれしさと照れが押し寄せてくる……!励みになってしまいます」
石田「続いて那智さん。那智さんは第二会場・BLエリアのご自身のサークルブースで頒布してくれました」
鈴木「やっぱりデザインの力はすごい」
石田「細部まで手を抜かずに作り切ると、必ず気づいてくれる人がいるのが文学フリマですよね」
石田「企画そのものの試みにも興味を持っていただけたみたいです」
鈴木「作者や作品自体が主役となるインタビュー企画とはまた異なった『観測する』面白さは、まさしく『Quantum』の売りだと思うので、そこが伝えられたのは良かったですね!」
石田「いろいろと手をかけてやってきましたが、こうして見ると報われた部分も多いのではないかと思います。」
鈴木「PRに限らず、結果につながるかわからない作業って多いですからね。当日のお客さんの声を聴いたり反応を見たりするのって、活動のフィードバックを得るという意味で重要なのはもちろん、心の栄養にもなります」
石田「本当にその通りですね。合同誌「Quantum」、ひとまず完売してしまったので今後の活動は未定なのですが、読んでくださった方はぜひお気軽にご意見・ご感想をお伝えいただけると、編集部一同の心がスクスク育ちます」
鈴木「ぜひぜひ、よろしくお願いいたします!」
こちらのnoteアカウントでは、「文学の同人誌を作って頒布するまで」と題して、合同編集部6名による制作過程のドキュメントを公開してきました。
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あらためて、文学フリマ東京38にて合同誌「Quantum」に関心をもってくださったみなさま、ありがとうございました!
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