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デンマークと日本の乗馬クラブの料金比較と乗馬と@デンマーク【Riding】

私は馬が好きです。
デンマークに来てから再び乗馬クラブに通っています。デンマークでは乗馬を楽しみつつ、馬房の掃除や乗り運動、イベントの手伝いなど乗馬クラブのボランティアもしています。

デンマークは物価が日本よりも高く、
ファストフードのビックマックで比べると日本480円に対してデンマーク30DKK(600円ほど)で1.25倍。レストラン食だと日本で1500円くらいのパスタがデンマークだと同じ質のものを食べようとすると3000-4000円以上なので倍以上かかる金銭感覚です。

とは言ってもデンマークのほうが物価の割に値段が安く感じるものやサービスもたくさんあります。
その中の一つが乗馬や馬術トレーニングです。
今日はそんなデンマークと日本の乗馬クラブの料金比較と乗馬のついてのお話。

馬が好きなので、過去にも馬について記事を載せています。
馬関連の記事はこちら。

さて本題です。
デンマークと日本の乗馬クラブの料金比較です。
あくまで私見と2024年現在の情報ですので実際は各クラブへご相談ください(デンマークもそういう感じです。問い合わせて初めて答えが返ってきます。そしてたまに返ってきません。)。

私は日本で乗馬をしていた経験があるのですが、その時の装備は乗馬手袋以外はレンタルで賄っていたので、デンマークに持ってきたものは手袋のみ。
デンマークで乗馬をしたいと考えたもののデンマーク語が話せないので英語でレッスンをしてくれる乗馬クラブ(RideKlub)を探しました。

デンマークは馬の国。
馬をそこらじゅうで飼っています。
個人で農場を経営しながら乗馬もやっているところも多くあるため比較的簡単に探せると思っていたのですが、実際コネもツテも無い私にはそんな上手い話はありませんでした。
ハードルは英語と受け入れ人数。

デンマーク人はほとんどの人が英語が話せ、また私にもわかりやすい英語を話してくれるのですが、乗馬クラブで英語の話せる方のレッスンとなると少しハードルが上がりました。
そもそも英語を交えてレッスンをしているところがほとんどない。
話せても母国語を大切にする国です。
母国語を大事にして在留外人に学ぶよう指南する体制は立派な政府方針です。
数10件ほど連絡を取って最終的には見つかり、今ボランティアもしながら乗馬しています。

さてこの物語は別の物語、話が長くなるのでまた別の機会に話すとしよう。ということで、何とか見つかった2件と日本の乗馬クラブの料金を比較していきます。

比較の仕方は、日本、デンマークで2施設ずつ。
日本は関東近郊で東京から通えるところ。デンマークは探している時に見つかったところから2施設を挙げました。

さて、表にて解説。
デンマークの通貨デンマーククローネ(DKK)はざっくり日本円をつけました。大体20倍です。



自作の比較表(2024年版)

当然ながら前提条件が各乗馬クラブで違うので正式な比較にはならないです。
クラブによって価格設定ができるので上に挙げた4施設以外にももっと良いサービス、使用者にとって価格の安い設定とされているところもあるかもしれません。
しかしながら一定の類似性はあるので費用の概算は確認できると思います。
これから日本で乗馬を始める方もご参考までに。

ところで、話しの途中途中で乗馬に関する写真を載せていきますのでお楽しみに。
まず1枚目。

私がトレーニングしている乗馬クラブ。
室内練習馬場。
室内馬場があったこともありこの乗馬クラブを選んだというところもあります。
外は雨風でも中はすっきり。
でも馬房への移動では濡れる。


さて、入会金と年会費です。
日本は入会金相場が15-25万円、年会費が1-3万円程度です。
デンマークは入会金は無し。年会費が1-3万円程度です。

両方とも会員制ビジネスの形式をとっていますが大きく違うのは入会金の設定です。
デンマークはそれぞれ口頭で伺っても(HPが無いところもあるので電話でお話して調査)入会金があるところには当たりませんでした。
乗馬クラブに関しては入会金と言うものがそもそも無いようです。初回入会時には年会費(登録料:デンマーク馬術連盟のメンバー登録を含む)を支払う必要があるのでこれに含まれているのかもしれません。
それとしても日本も年会費も同時に支払うため支払い時期は同じですね。
入会金がないデンマークは日本と比べて初期費用が抑えられました。


さて、月会費と1騎乗あたりの料金です。
毎月支払う月の会費、ならびに1回30分騎乗する場合の料金です。

日本は月会費が1-3万円程度、1回あたりの騎乗料金が2, 3千円です。
デンマークは月会費が4千-2万円程度で、1回あたりの騎乗料金は取っていません。月会費にこみこみです。

月会費は日本、デンマークともそんなに変わらなく見えますが、年12回やってくるので、単純に数字だけで見ると月4千円=年6万。月3万=36万で差は出ます。
実際に立地と提供してくれるサービスで選びたいところです。ここではサービスまでわからないことから比較はできませんが、このサービスに価値を感じれば、別に日本の月3万円は高くないと思います。

ちなみに日本はチケット制のところが多いと思います。騎乗しない日がある場合は騎乗チケットを渡す必要が無いため1回の騎乗ごとに支払う料金はかかりません。予約の空いている日であれば、同日でも追加で騎乗することも可能です(当然チケット購入は必要)。
デンマークは騎乗料金を取っていないため、対象日に理由があって休んでも特に費用の返還や減額はありません。
加えて、毎週水曜日とか曜日指定でのレッスンのため、月によって4回の時(水曜日が4回しかない)もあれば5回の時もあります。でも値段は同じ。

私のケースですと、天候不良(大雪が降って交通機関が停止)でレッスンがクラブ都合でキャンセルされたことがありますが、特に返還等は無いです。デンマークではそういうものです。

個人で好きな日に1騎乗したい場合は個人レッスンがあります(これはデンマークも日本も両方システムがあります)。その場合は別料金ですが乗ることができます。
個人的には1日30分乗れば問題ないと思います。ずっとトロット/ギャロップで走っていたらくたくたになります(暴れん坊将軍の走るシーンがずっとあるような。)。90分乗り運動していた時は足はがくがく、全身はだるだるになりました。

ということで、金額に違いはあるもののメリットデメリットがそれぞれあります。


たまにCompetition Courseで練習。


さて、その他の比較。
私にとって大事なことを挙げました。

日本だと、送迎、道具のレンタル、保険。
デンマークだと、英語、道具のレンタル、保険。

日本での送迎については、日本は駅やバス停から遠い場所に乗馬施設があることが多いです。なかなか街中から数分のところに立地乗馬施設があるところは少ないと思います(馬事公苑くらい?)。
自家用車があればいいですが無い場合は送迎があると交通費を抑えられて助かります。
ということで送迎があると便利です。たいてい最寄りの駅から車を出してくれているところが多いと思います。

デンマークで挙げたのは、英語。
先にも挙げましたが、デンマーク王国はデンマーク語+英語を話せる方がほとんどの国(1980年あたりから英語教育がスタートしているようなので高齢の方の中には全く話せない方もたまにいる)。
私自身はそんなに英語はうまくないものの、とは言えその他の言語よりは話せるのでコミュニケーションは英語です。ということで、official languageが英語とは言いませんが英語でレッスンを受けられるところを探し何とか見つかりました。

さて、日本、デンマーク共通で挙げたのが乗馬の道具のレンタル。
乗馬の道具についてですが、まず乗馬をするのに必要な道具が様々あります。基本装備はヘルメット、手袋、防護ベスト、乗馬ブーツです。
日本は基本的にはこれらの装備は必須であり、購入して持って行くかレンタルで揃える必要があります。また鞭(ウイップ)もレンタル可能です。
その他にも乗馬用のタイツやウエアなどを着てもいいのですがこちらは必須ではないので競技に出ない人は必要ないと思います。
日本は大抵、汚れても良い服にジーパンでOKしてくれると思います。
私は日本だと手袋は個人で購入して(2500円くらい)、それ以外の装備と1回保険込みで1600-2000円程度(回)でした。
日本はレンタルで装備を提供できるところが多いと思います。その点はとても助かる。

一方、デンマークは私の通っているところではヘルメットは必須ですが後は自己責任で装着です。
乗馬装備は置いてある数やサイズが少ないものの、ここでは無料で使用ができます。そのためサイズが合えばヘルメット、防護ベスト、ブーツが使えます。
私個人はヘルメットと防護ベストとウイップは借りていて、ブーツは自分の持っている皮ブーツを色々試しています。
ブーツは基本的には硬いかかとがあればOKのようです。やわらかすぎると馬に指示が伝わらないため初めての方はしっかりとしたブーツがあると便利です。
拍車付きのブーツだと尚良し。
一方意外だったのがウエア。
特にボトム。ズボンの方は折り返しのないものを選ぶことという指示があってジーパン不可でした。
まわりのメンバーは乗馬専用ウエア、タイツバリバリなのですが、私だけワークマンプラスで購入したヒートタイツなんかを履いて乗っています。
これでOK。
ワークマン便利。生地しっかりしているし、デンマークの強力な洗濯機でもほつれません。

ブーツや防護ベスト、ウイップ、ヘルメットは借りられます。
厩舎は綺麗にしている方だと思います。
大人も子供もみんなで作業。


そして、日本、デンマーク共通で最後に挙げたのが保険。
保険は両国とも自己責任で入会する必要があります。大きな違いは日本は斡旋してくれる乗馬クラブが多いですが、デンマークは自分で探す必要があります。
これは掛け捨て保険なので本当に本人次第です。
保険はあくまで保険であり、けがをしたときに少しお金を補填してくれます。
痛めた時は何もしてくれないですし、通院してから手続きをするのは結構大変です。ですが入っておいた方が安心ではあります。
特に馬は普通にそこにたたずんでいても、急に足を踏んできたり(馬からすると足を動かしたら、私の足の上にちょうど乗っかった程度で悪気は全く無い)、虫を追い払うために後ろ脚をけりだしたりすることもあります。
乗馬中も、馬と馬の間隔が狭くなって急に走り出したり、自分がさっきまで着ていた毛布が棚から落ちてきてびっくりして立ち上がったりすることがあります(両方とも経験済み)。

日本ではあまり落馬は見かけませんでしたが、デンマークでは結構序盤から早く走らせて乗り慣れるようなトレーニングをしたりすることもあり落馬する人がちらほら。
幸運にも私はまだ制御不能で落ちたことはないですが、馬が立ち上がってバランスを崩したので飛んで下りたことはあります。
いずれにしても、備えるかどうかは個人次第です。

乗馬のおもしろさのひとつは制御できない馬をできるだけうまく制御する、仲良く動いてもらうところにもあると思うので、制御できないときのことも考えておいても良いと思います。

さて、結果発表です。
毎月かかる費用:乗馬道具・保険こみ(日本) (月4回通うとして)

日本:3万3千円程度 (クラブA- 月会費1万6千円+4騎乗8800円+4レンタル8000円)

デンマーク:1万4千円程度 (クラブC- 月会費1万4千円)

日本でもレンタル費用がなくなるとランニングコストは少し安くなりそうです。もちろん乗馬クラブによっては道具の無料レンタルを行っているところもあると思いますので探してみてください。
そうすると月の費用は近くなるかしら。

馬は暑さに弱く寒さに強いと聞きますが、冬はコートをよく掛けます。
この馬服は保温もありますが虫刺されや虫の感染症防ぐ意図もあります。

どの馬もみんなおとなしく着てくれますが、尻尾を出すのを忘れずに。


さて、年間費用と毎月の費用を比較してきました。
しかしながら、単純に料金を今の価格で比べるだけでも面白い試みだと思うのですが、ここの表からわかるのは「どのくらいの期間通いますか?」と言う要素を加えて個別に検討いただいたほうがよりよい思います。
人それぞれですので、今回は詳細な説明割愛しますが、検討の際にはその点もご考慮ください。

乗馬は初めるのにお金がかかるイメージがあり、乗馬施設や乗っている人に言わせると「そんなに高くない」と言われることもありますが、実際日本で乗馬をするにはお金はかかると思います。

個人的には「当然、それくらいの値段はするよね」と思うという意味です。
装備の初期費用がある程度かかりますし、移動にかかる交通費もかかります。
でもそこはどの習い事でもスポーツでも同じだと思います。
サッカーだとスパイクなども費用が掛かりますし、道具が必要なものはどうしたってお金がかかるのでそれだけで参入する間口が狭くなるように感じます。
ちなみにマッスルジム大手のゴールドジムは今時点で月フルタイム使用で一番安くて月14300円+会員登録費5500円で2万円程度でした。これにシューズやウエアやタオルなど道具が必要になるので、やっぱりそこそこかかります。

しかしながら他の国と比較すると日本の乗馬クラブは入会金が高い。それは今回の結果からもわかる通りです。
そもそも入会金って何? 何に使われるの? 
と言うレベルではあります。
そこが高いので入会障壁があるのだと思います。入会金で稼ぐビジネスモデルなのでしょう。
おそらく1年も続かないという予測や実績があるのではなかろうかと考えてしまいます(偏見)。だからこそ最初に稼いでおく。

もしかするとあまり人が集まると運営が成り立たなくなるから、そもそも料金を上げて置いて人数をコントロールしているかもなどとも思えてしまいます(日本のピザチェーンのピザ料金みたいに)(これも偏見です)。

私も所属しているデンマーク馬術連盟によると、現在416のクラブが連盟に加盟しており、全クラブ合計で56,168人の会員がいるそうです。
プロアマ問わず、会員だけでこの人数なので競技人口としては結構多いと思います。
デンマーク王国の人口は約550万人。日本の約1/20程度の人口であることを考慮して、単純に人口比率で考えると100万人日本にも乗馬をする人がいることになりますが、単純に数字の話ではないでしょう。日本に競技人口はそんなにはいないはず。
競技人口が少ないということは、実施できる施設も少なく、流通する道具の種類・数や乗馬クラブの数も少なくなるということです。
そうすると新しくはじめる人も初めにくいというのが現状なのかもしれません。

ちなみに笹川スポーツ財団によると日本のスポーツの競技人口は、ジョギング・ランニング人口は877万人、散歩・ウォーキング人口は4,913万人と22年間で倍増、筋トレ人口1,640万人、サッカー人口309万人、野球人口268万人、バスケットボール人口237万人、バレーボール人口217万人、ゴルフ人口856万人などとなっています。

日本のスポーツ競技人口の推移など「データでみる日本のスポーツ」 - 笹川スポーツ財団 (ssf.or.jp)

これは、測定基準や測定年なども協議によって様々なので同年での評価となるかは分かりませんが、ざっくりとはそういうことなのでしょう。詳細は確認してみてください。
競技人口と年齢分布はその競技が強くなるための重要な要素だと思います。


乗馬は馬に乗っているだけに見えますが全身運動です。常にバランスを保ちながら足や腕の力の入れ方・動作を変えるため頭の体をフルで使います。
そして馬との対話は馬と築く絆につながります。それは多くの点で他人とのかかわりにも反映され社会的スキルの向上につながります。
いわゆる馬セラピーと言われるものです。

心も体も鍛えてリラックスできる乗馬。
皆さん乗馬を始めましょう

それでは今日も良い一日を。






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