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【論文・解説(主なもの)】1 清酒の官能評価に関する研究 Flavor terminology and reference standards for sensory analysis of sake, 清酒の香味に関する品質評価用語及び標準見本 (2006); http://www.nrib.go.jp/data/pdf/seikoumihou.pdf Perception by experts of potential odor reference standard,

    • 醸造場で使用される殺菌・除菌剤

      殺菌剤は、有機物(汚れ)があると効果が低い。十分洗浄後に使用する。 価格は参考まで https://www.dropbox.com/s/e29u55hfkzhlp95/%E6%AE%BA%E8%8F%8C%E5%89%A4%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6v4.xlsx?dl=0

      • 「未完成な」ワインへのオマージュより

        もはやワインは、飲んで美味しいとか、健康に良いなどというシンプルなコミュニケーションを超えていかなくてはならない時代になっている。 ワイン業界の革新を実現するためには、多⾓的な考察が必要となる。製品生産形態そのものや、そのオーガナイズ、栽培から醸造までを⾒定めたプロジェクト全般について、新しいアイデアを生み出すリーダーが必要とされている。こうした、デザイン・シンキングによりワインの製品化とブドウ栽培は戦略的なビジョンの下におかれることになる。具体的にいうとワインのクオリティと

        • 清酒の評価用語の変遷

          清酒の官能評価には100年以上の歴史があるが,評価用語とその意味について記載されている記録は少ない。大正14年に出版された江田鎌次郎「杜氏酒造要訣増訂第5版」1)では,評価用語とその香味の由来の推定が行われている。当時は,発酵・貯蔵や流通容器として杉桶や杉樽が使用されており,木材に由来すると考えられる香味表現が多いことが特徴である。 その後,昭和11年の東京税務監督局「酒造工場科学的管理法」2)では,木材に由来する用語は少なくなり,金気臭(タンク臭)が見られる。味については

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          酒母の分類

          「生酛」や「山廃酛」は現在、優良酵母が添加されているものがほとんどですが、醸造試験所で速醸酛の開発に当たった江田鎌治郎の昭和4年(1929)の著述では、酵母を添加し酒母期間を短縮したものはすべて速醸に分類されていました。 最近、「高温糖化山廃酛」や「酸基醴酛」とか呼称するものがありますが、古い文献もデジタル化されて読めるようになっているので、先人の業績をよく知ってから呼称を使ってほしいと思います。 物事は一番最初にいろいろなアイデアが試されることが多く、当時主としては採用さ

          酒母の分類

          日本酒の甘口と辛口

          日本酒の辛口とは塩辛いやスパイシーの辛口ではなく、甘くない(ドライ)ということである。日本酒にちょっと詳しい人に聞くと、甘口辛口は日本酒度がプラスなら辛口、マイナスなら甘口ですよと答える人が多い。この日本酒度というのは、ボーメ度と同様に比重を表す指標で、4℃の水と同じ比重の時日本酒度は0でありボーメ度1は日本酒度マイナス10に相当する。日本酒度がプラスだからといって水より辛いとかマイナスだから水より甘いということではなく、日本酒度は、アルコール分が同じであれば糖分を主体とする

          日本酒の甘口と辛口

          麹菌の由来

          静岡の女子高生が地元の野生麹菌を分離したという記事を少し前に読んだ。 https://newswitch.jp/p/9141 麹菌は稲の感染症の一種「稲麹」が由来という伝承がある。その伝承に基づいて東京農大名誉教授の小泉先生が、稲麹から麹菌を分離したという論文があるが、この論文「稲麹でのUstilaginoidea virensとAspergillus oryzaeの共存とその由来源について(1984)」をきちんと読んでみると https://www.jstage.j

          麹菌の由来

          日本酒のおいしさ 8 飲み方とおいしさ

          お燗のおいしさ お燗は、清酒の伝統的な飲み方であり、お燗に関する表現は、日向燗(30℃)、 人肌燗(35℃)、ぬる燗(40℃)、上燗(45℃)、 熱燗(50℃)、 飛びきり燗(55℃以上) と5℃刻みにある。それだけ、温度を変えて楽しめるということであろう。 甘味は、冷たい温度より体温に近い方がより強く感じられる*ため、辛口の純米酒など常温では酸が強く感じるものは、お燗をすることでバランスがよくなると考えられる。さらに、口腔中には、温度感受性TRPチャネルと呼ばれる温度センサ

          日本酒のおいしさ 8 飲み方とおいしさ

          日本酒のおいしさ 7 生理的なおいしさ

          人も動物であり飲酒による生理状態の変化が、嗜好の変化を引き起こすことが考えられる。飲んでいくうちに、だんだんおいしくなっていく酒や、逆にあまりおいしくないと感じる酒があったという経験を有する方は多いと思う。 実験動物として使われるラットは、情報や文化にはとらわれず生きていく上で必要なものを選択する。二つの容器に入った焼酎と日本酒を同時に与え自由に飲めるようにすると焼酎より日本酒を好む。糖分やアミノ酸等を多く含む日本酒の方が生理的欲求は高いようだ。 それでは、日本酒ごとの成分の

          日本酒のおいしさ 7 生理的なおいしさ

          日本酒のおいしさ 6 吟醸酒・樽酒・古酒のおいしさ

          吟醸酒のおいしさ吟醸酒は今では一般的になったが、30年ほど前まではほとんど市販されず技術を競う鑑評会のためだけに造られてきた。吟醸香と呼ばれるフルーティな香り、淡麗な味の追求が、原料米の中心部のみを使用し低温発酵する吟醸造りを生み、高度精白が可能な精米機、香気成分であるエステルを高生産する酵母などの技術開発を促した。これらの技術は吟醸酒ばかりではなく、純米酒等の製造にも活用され品質が著しく向上した。 吟醸酒のおいしさは、吟醸香と呼ばれる酢酸イソアミル(バナナ様)、カプロン酸エ

          日本酒のおいしさ 6 吟醸酒・樽酒・古酒のおいしさ

          日本酒のおいしさ 5 香りとその由来

          食品をおいしいと感じる大部分は香りによる。風邪などで鼻がつまると、口の中にある食べ物の香りが咽喉から鼻に抜けなくなり口中香(含み香)を感じることができなくなる。このとき舌で味を感じることはできても、おいしさはほとんど感じられない。  日本酒には200種類以上の揮発性化学成分が含まれている。ガスクロマトグラフという機械を使って成分を分離しそのひとつひとつを人間が嗅いでいくと、そのうち約50成分に何らかのにおいが感じられる。バナナや砂糖の焦げたようなにおいもあれば、正露丸、納豆、

          日本酒のおいしさ 5 香りとその由来

          日本酒のおいしさ 4 味や香りの特徴を記述する

          日本酒の味や香りの質を言葉で伝えるには、どうすればよいだろうか?  味については、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つの基本味があり、なめらかさや後味のきれといった口あたり、さらには複合的感覚として、これまで説明した甘辛、濃淡があるが表現の数は少ない。  一方、香りについての表現は多彩である。華やか、新鮮、さわやかといった情緒的表現、甘い、重い、刺激的といった他の感覚を用いた表現もあるが具体的なものの名前を使用した方が香りの質を相互に理解しやすい。また、様々な香りを表現す

          日本酒のおいしさ 4 味や香りの特徴を記述する

          日本酒のおいしさ 3 淡麗と濃醇、コクか雑味か

          淡麗は、すっきりしたきれいな味わいの意味で使用されているが、昭和5年に書かれた吟醸酒に関する解説には「通常吟醸酒とは米の精白を吟味し、あらん限りの知識を傾倒して、醸造したもので色澤淡麗な濃醇酒を意味し、(以下省略)」と記載されており*、味ではなく色澤など外見を表す用語であったことがわかる。 小穴冨士夫: 酒造の理論と実際, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/25/11/25_11_41/_artic

          日本酒のおいしさ 3 淡麗と濃醇、コクか雑味か

          日本酒のおいしさ 2 甘口と辛口

          日本酒の甘口・辛口は、糖分と酸のバランスで約8割が決まる。糖分が多いと甘くなるが、酸が多ければ甘味と相殺される。清酒中の糖分には、ブドウ糖などの単糖と単糖が何個かつながったオリゴ糖があり、もろみを搾った直後の清酒にはオリゴ糖が多く含まれている。そのまま熱処理を行わず貯蔵すると、残存する酵素によりオリゴ糖はブドウ糖に分解されるとともに転移反応により別の形の糖質に変化する。つまり生酒では、日本酒度が変わらなくても構成する糖質が変化し甘くなっていく。10℃貯蔵でも50日後にはブドウ

          日本酒のおいしさ 2 甘口と辛口

          日本酒のおいしさ 1 成分と味の構造

          日本酒の裏ラベルに「アルコール分」の他に、「日本酒度」、「酸度」、「アミノ酸度」などの成分値が記載されていることがある。「日本酒度」は、日本酒の比重を表すのに便利なように工夫された独特の尺度で、計量法では、 日本酒度=((1/比重) – 1) ×1443 と定義されている。日本酒度は15℃で測定し、4℃の純粋な水と同じ重さであれば0、それより軽いものは正の値、重いものは負の値をとる。日本酒の比重はアルコール分が同じであれば、不揮発成分(主として糖分)に

          日本酒のおいしさ 1 成分と味の構造

          日葡辞書にみる酒の表現

           日葡辞書は、イエズス会宣教師により1603年に編纂された 日本ポルトガル語辞書。長崎で出版。アルファベット順。総語彙数は25967語であり、ポルトガル語での説明があり当時の習俗がわかることはもちろん。発音がローマ字表記されているので、和文で記録していた語彙がなんと発音されていたかわかる利点がある。酒に関する用語についてもすでにこのころ完成していたことがうかがえる。 その後作られた日欧辞書の基礎となったが原本は世界に4冊しか現存しない。1995年に岩波書店から邦訳がでている。

          日葡辞書にみる酒の表現