【コラム】プーチン氏にとってのウクライナ戦争とその後〈後編〉 (2024年5月4日)
『さかたのニュースまとめ』のコラムとして、『プーチン氏にとってのウクライナ戦争とその後』をテーマに執筆した(後編)。
この記事を読んで「先のことを考えすぎではないか?」と思う読者もいるだろう。
しかし、国家の地理的条件は不変であり、それを地政学的に考察することは重要と考えている。
ぜひ、最後までお付き合いいただきたい。
▼この記事の前編はこちら
まえがき
『プーチン氏にとってのウクライナ戦争とその後』の前編では、ロシアとNATOとの対峙について説明した。
ロシアは欧州側をNATO同盟国に“塞がれている”状況である。
後編では、(欧州側で)身動きを封じられたロシアの日本側、極東の状況について考察したい。
ロシアの地理的条件より考察
西側(対欧州)
※2024年3月にスウェーデンもNATOへ加盟。
ウクライナ戦争後もロシアとNATOが対峙し互いに抑止し合っている状況となるだろう。
NATO側から攻めてくることは考え難く、あくまでロシアの脅威に対してNATOがパワーバランスをとる構図が考えられる。
東側(対中国)
ロシアと中国の関係は現在のところ良好に見える。
しかし、両国は強大な軍事力を持つ大陸国家であり、さらには4,000km以上の国境が接している隣国である。
中国の軍事力は、やがてロシアを追い越しアメリカに迫るとも言われており、間違いなく潜在的な敵国と言える。
ロシアはウクライナ侵攻以来、北朝鮮と急速に接近し連携を深めている。
中国としては、北朝鮮がロシアに取り込まれる状況は好ましくないため、今後も3国間での駆け引きが行われるだろう。
近年、ロシアは極東における軍備を微増させているとも言われている。
そして日本はロシアだけではなく、中国、北朝鮮とも対峙しなければならない。
そういった情勢を踏まえながら、日本の軍備や友好国との同盟によるパワーバランスを考えてみてはどうだろうか。
新たなパワーバランス
この先、ロシアと中国のパワーバランスに大きな影響を及ぼす国がある。
南アジアで大国を目指しているインドだ。
インドは2050年にアメリカ、中国に次ぐ世界第3位の軍事大国になると予想されている。
同国はBRICS、そして上海協力機構(SCO)の加盟国であるが、中国との国境に係争地帯を抱えている。
そして、伝統的に親露国家であり、ロシアのウクライナ侵攻についても直接の非難は避けている。
インドと中国の関係が今後どうなるのか?
それが日本の安全保障に与える影響は非常に大きい。
おわりに
現在、インドと日本はQUADの枠組みで連携している。
しかし、前項で述べたとおりインドは親露国家であり、これからもそうあり続ける可能性が高い。
インドは西側諸国と中露(グローバルサウス)の間で実利を重視して立ち回ると考えられる。
中国との対立が深まるアメリカ、そしてアメリカと同盟国である日本にとって、インドが中国と接近する事態は最悪のシナリオと言えるだろう。
インドの実状は、日本やアメリカなどの民主主義国家と価値観を共にしているとは言えない。
しかし、日本の安全保障を考えれば、インドに理解を示し協力する姿勢が重要になると考えている。
参考文献(推薦図書)
◯ プーチンの世界 - フィオナ・ヒル(著)、クリフォード・G・ガディ(著)、濱野大道(翻訳)
◯ インドの正体 - 伊藤融
©️さかた拓郎
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