#47.寄り添うように浮かんでいた。

今日は5年ぶりに二つの月が同時に満月になる。

大きい月と小さい月は距離が違うから満ち欠けの速度が違う。
二つ揃って綺麗なまんまるが並ぶ夜空は、キラキラと眩しくて美しい。

月の浮かぶ夜空は、なんだかずっと見ていられる。その優しい光に吸い込まれるように、ただぼーっと眺めてしまう。
窓辺に寄りかかって、冷たい夜風に当たりながら、二つの満月を眺める。

小さい頃から、この二つの月が満ちる夜が好きだった。眠たい眼を擦りながら、その特別を目に焼き付けるように見ていた。

お年寄りなんかは、両満月の日は良くないことが起こると言うけれど、月の引力による影響がやっぱりあるらしい。

それでも、どうしても、この瞬間を記憶していたいと思う。右手にもったマグカップの中、小ささな二つの月が寄り添うように浮かんでいた。