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#16.めくるめく文字の海

家から歩いて10分ほどした所に、図書館がある。
入場も貸し出しも無料なので、頻繁に利用している。
読みたい小説や漫画は大体電子書籍で買っているが、図鑑や絵本など、大きく見たいものやもっていると嵩張るものは図書館で借りることが多い。

赤茶っぽいレンガ造りの建物の中を通ると、図書館独特の本の香りが漂ってくる。

紙に染み付いた様々なニオイや、刷り立ての新書のインクのニオイが、創作意欲をかきたててくる。

読書の秋だもの、なんだか無性に本が読みたくなってきた。

気持ちが脱線したくなってきたところで思いとどまる。今日は資料を探しにきたのだから、先ずはそちらが優先だ。
図鑑コーナーや特設コーナーなど思い当たるところをまわったり、検索機や司書さんの力をかりて良さげな本を集めていく。

鉱石の図鑑、宇宙ジャーナル、惑星図鑑、銀河歴史書、一通り集め終えたところで、中身をチェック。
全て借りられる訳ではないので借りる本と借りない本に分けていく。
すぐに読みきれそうなもの、コピーを取れば問題ないものは借りないの山に積んでいく。
仕分け終わるとすぐに借りない本たちを読み漁る。

本を開けばそこは、めくるめく文字の海。

著者の題材に対する熱い思いや緻密な考察、意味不明なカタカナの羅列。

たくさんの文字が、言葉が、目にはいってくる。
小学校の行き帰りに、本を読みながら登下校するタイプの本の虫だったので、未だに新しい本や初めて出会う世界には、小躍りしたくなるほどに胸がざわめく。

そんなこんなであっという間に目を通し終わる。気になったところや持ち帰りたいところはコピーして、カウンターに借りる本を預けて一旦他の本棚へ向かう。

本屋や図書館のいいところは、自分の中になかった選択肢を勝手に増やしてもらえるところだ。

なんとなくタイトルが気になる、表紙が綺麗。
意外とそれだけの理由で運命の一冊に出会えるのだ。(自分の場合運命を感じる本は一冊どころでは済まないのだけれど。)
選んだ本があまり好みでなくとも、別の作品や、そのとなりの本が面白い、なんてこともよくある。
ある意味ちょっとした運試しのようなものなのでけれど、ここに来たらやるしかないので!今日も本棚にかるく目を滑らせながら歩き回る。

そして気になった本を2冊手に取りまたカウンターへ向かう。

貸し出し届を出して本を借り、図書館をでた。

図書館の外は公園のようになっていて、あちこちに本の読みやすそうなベンチが置いてある。
今日はあいにくの天気なので遠慮するが、晴れた日の午後、穏やかな日差しに包まれ、爽やかな風に吹かれながら読む本は心の底から最高な時間であると言える。

晴れた日の読書を妄想しながら家に戻る。

帰宅してすぐに書斎に飛び込み、借りてきた本たちを取り出す。 
こころ弾ませながらページをめくる。

めくった瞬間、ふわっと本の香りが顔にかかった。

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