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#13.今日という日に幕が落ちる。

ここ最近、家に籠もっている時間が長かったので、今日は気分転換に外に出ることにした。

あさ、目が覚めてすぐに近所の公園へ向かう。太陽光を浴びてぽかぽかしながらのんびり歩く。気になる景色があればインスタントカメラのシャッターを押して、耳に残る音に気づけばレコーダーのスイッチをオンにする。

のんびりしつつも、アンテナはしっかり張り巡らせて歩いていく。

途中、思いついたワードを喋って録音したりして、少し遠くまで足を進めると、川が流れていた。
ここらは海が近いので、川も多いのだけれど、この川は初めて出会う川だった。
長年住んでいる場所でも、未だに新しい出会いがあるのは本当に驚きだ。

レコーダーをオンにして川のせせらぎを録音する。途中、鴨ガルの親子が列をなして渡っているところと遭遇し、そのあまりの愛らしさに胸を撃ち抜かれた。

流れる水、というのは時間泥棒である。
ぼーっと眺めていると、あっと驚くほど時間が経っていることが多い。
今回も例に漏れず、気がついたら30分程が経過していた。

一度家へ戻り、荷物を鞄に詰めてまた家を出る。

今度は時々行くお気に入りの喫茶店へ向かう。
自転車に乗ってしばらく進むと、丘の上に大きな木がある。
その上には手作りのツリーハウスがある。
そこが今日の目的地だ。

備え付けの階段を登り上へあがる。
木の上の家は足元が若干おぼつかない気がするが、見晴らしは一段と素晴らしい。

この店オススメのベーグルサンドとブレンドコーヒーを注文して、カバンからタブレットを取り出す。
返さなければいけないメールをいくつか出してそのあと調べ物をしていると、注文の品が届く。

スモークサーモンとクリームチーズのベーグルサンドと、ブルーベリーのベーグルに、フルーティーで酸味が強めのブレンドコーヒーをゆっくりと味わう。

幸せである。

お腹もいっぱいになったところで、コーヒーをもう一杯注文して作業に取り掛かる。

小高い丘の、さらにその上に立つ大きな木のまたその上にある喫茶店なので、この街を一望できる。本当に景色が綺麗で空気が気持ちいい。
コーヒーは美味しいし、時間がゆっくりと過ぎる感覚がとても心地よい。

昼前から少し長居をさせて貰い作業を進める。
しばらくして、キリの良いところまで進んだので場所を変えることに。

自転車を走らせて新しい出会い探し辺りを回る。

レトロな外観の喫茶店や、名前のロゴが気になるフォントのお店がないかと暫くうろついて、目ぼしい店が見つからなかったので、諦めて今朝の所とはまた違う公園を目指す。

途中でカフェに寄り、アイスレモンティーをテイクアウトする。

広い芝生のある公園を見つけて入る。自転車を適当にとめて、一旦芝生に寝転がる。

汗をかいた身体に、爽やかな風が吹く。
レコーダーの録音を聞いたり、メモ帳の中身を振り返ったり、作業を進めたりしていると、だんだんあたりが薄暗くなっていくことに気づく。

近頃はめっきり日が落ちるのが早くなった。
冷え込む前に帰宅する事に。

ここ最近は身体をよく動かす事が多かったので、バスタブに熱めのお湯をはる。
頂き物の入浴剤があるのでちょっと使ってみたい気持ちもある。

風呂に入り汗を流し、秋風で冷えた身体を温める。
湯船に浸かってぼーっとする。

そういえば今日はたくさんぼーっとした。

自分にとって、ぼーっとするは、自分で考えようとせずに脳みそに整理させるような感覚がある。
何か物事について強く意識が傾くと、そのときに思い浮かんだ一つの事柄しか結び付かなかったり、思考や想像に制限がつくような感じがするので、考えすぎないように考えるためにぼーっとするのだ。

まあ、熱めに入れたお湯にあまり長く浸かっていてものぼせてしまうので、ここでぼーっとするのは早めに切り上げるのだけれど。

ほかほかになった身体でキッチンに向かい、冷蔵庫から牛乳を取り出す。
風呂上りに牛乳が飲みたくなるのは、100%銭湯のせいだと思っている。

丁度夕飯時だが、あまりにも眠たくなってしまってベッドに倒れ込む。
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覚えているのはここまでで、気がつくと布団に包まったまま眠っていた。
どうやらあのまま寝落ちたらしい。
時計を見やると日付も超えた夜中だった。

お腹はすっかり腹ペコだ。
時間も時間なので、おにぎりと味噌汁を用意する。
おにぎりはたらこ、味噌汁はワカメと豆腐だ。

昔よく食べた夜食メニューだ。ここにたくあんや卵焼きがあれば言うことないのだが、贅沢は言わない。
夜中に食べるご飯ほど美味しいのってなんでだろうか?

お腹いっぱいになるとまた眠くなってきたので、食べた直後だが構わずベッドへと戻る。

今日も楽しい一日だった。
今度は新しい喫茶店を発掘したいな、なんて考えながら、段々とまどろんでゆく。
ゆっくりまぶたが重たくなって、今日という日に幕が落ちる。

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