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#46.青い空に月がのぼる

先生は不思議な人だ。
他の人よりも流れる時間がゆっくりというか、穏やかな時間を過ごしている。

先生には好きなものが沢山ある。
淹れたてのコーヒー、ハンモックでの昼寝、近所の散歩、写真や録音、メモなどの記録、夜更かしして読む本。
他にも山ほどあるがキリがないのでやめておこう。
外の世界にも内の世界にも色んな所に興味のアンテナがたっていて、ふらふらっと導かれるように素敵なものを見つけてくる。

先生から見たら、道端に転がっているただの石ころでさえも宝物となるのだそうだ。

目をキラキラと輝かせながら、楽しそうに話す姿はまるで子どものように無邪気だ。

先生は人を名前で呼ばない。
お隣さんはいつまで経っても“お隣さん”だし、私のことも、いつまで経っても“担当さん”だ。

それでも嫌な感じはしなくて、
ああ、らしいな、と思う。

動物や植物は好きだけどあまりニンゲンに興味はなさそうなところや、好きなものにはとことんなところ、一旦眠るともう全然起きてはくれないところ、物腰は柔らかいのに曲げたくないことはもう絶対に折れてくれないところ、一人で出かけるのは好きなのに仕事になると家に篭るところ、どれも先生のいいところだ。

多分、私たちには見えないものも見えているような、でもそれは特別じゃなくて当たり前のようなそんな人だ。

先生の作品を通して、先生が見てる景色を見れる気がして。だから今日も電話先で沢山の話を聞く。打ち合わせと称して、半分くらいは無駄話だったりするけど、多分それも大事な時間なのだと思う。

青い空に月がのぼる。
今日の月も綺麗だ、先生も見てるだろうか。

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