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【フジロック‘21】 配信で観たフェスのレポ

人生で経験したいことリストのひとつに、「音楽フェス参加」がある。

たとえ辺鄙なところにある会場だとしても、数々のアーティストが集まり、音楽を聴くという目的だけでやって来た沢山の人と一緒に音楽を楽しむ。全国各地のうまいご飯屋がこぞって屋台で出店する「フェスめし」なるものが名物として存在する。

音楽が好き、お祭りごとが好き、自然を歩くこととかも好きな自分にとっては、都会の喧騒から離れるだけでなく、音楽にまみれて非日常の空間に没入できそうな「フェス」という空間は、ものすごく憧れがあるのだ。

それでも、私には実際に「参加する」と決断するまでの思い切りがついていない。というのは、ライブは基本的にひとりで参戦することが多い私だが、フェスにひとりで参加するのには少しだけ抵抗があった。

フェスという1日中寝る間もなく何かしらの音楽が流れている空間において、各アーティストの出演時間のあいだや、見たいアーティストのステージに移動するといった何気ない時間にひとりで対峙するとなると、
中学の頃の「文化祭の当日、空き時間に出し物をちょっと一緒に回ることのできる友達がふと見つからず、身の行き場にちょっと困る」というあまり得意でなかった感情を約10年経った今になってまた想起させるのではないか、と一抹の不安を抱えていたからだ(参加したことないのに妄想が激しめなの、自分らしい)。
とはいえ、友達をフェスに誘う・フェスに行く友達を作るということまでもこれまでびびって辞めてしまっていたので、とにかく私のフェス参加は未経験であった。

だが今年私は、YouTubeの生配信を視聴するという形で「FUJI ROCK'21」(以下、フジロック)というフェスに初参加した


今回のnoteは、先週末のフジロック2021で、当日の再放送を含めて観た各アーティストのライブの感想メモです。あと最後の方に、開催意義について議論されていたフジロックに、結果的に「オンライン参加」した自分が思うこと・気づいたことを話しています。

※おうちフェスとはいえ1日目に気合を入れすぎて段々と消耗してしまったので、1日目の記録がほぼ全部です。あとは2日目のナンバガくらい 。

※これから出てくるかもな「今日」というのはライブ日のことです。その日に衝動で書きなぐって残していたものなので、その時の感情をなるべくそのまま見せた方が面白いかなと思って修正せずに載せます。あと、曲名のとこはクリックするとYouTubeのリンクに飛びます。

※このnoteを投稿するか、少し悩んでいました。
このフェス実施に関しては「賛否両論」であふれてるなかで、全員が納得できるだろう正解などあるのか、私のこのnoteが賛成または反対のどちらかに判別されてしまう可能性があるかも、と今もなんだかもやもやした感じがしています。自分の気持ちの整理のためにも、ここに残すことにしました。


【1.ライブメモ】

KOTORI

Spotifyで FOMARE の「Lani」を聴いてるとき、「似ているアーティスト」に表示されていて名前を知って、聴いてみようと思ってたバンドだった。今日ここでライブを観れて良かった。たしかにちょっとFOMAREと系統似てるかな。
最後にやってた「トーキョーナイトダイブ」とかすごく好きだった!爽やかなメロディですごく夏っぽい。
2019年のRookie a go-go (フジロックがやってる新人のアーティストを発掘するイベント)で選ばれ、今回のステージ出場に関わったのだとか。ライブ通して好きな感じの曲たちが多かったので、たぶんこれから好きなバンドになっていく(気がする)(という確信)。
これから探っていくべき曲が多そう!と思ってspotify 聴いてたら、勝手におすすめで流れてきた ハンブレッダーズの「ユースレスマシン」がハマり曲で、最近ずっと聴いてる。いい意味で変わらない学生バンド感が強くてすごくすきです。いやKOTORIはどこよ。


OKAMOTO’S

かっこいい。熱量!! すごくフェスって感じだった。
どのカメラでYouTube撮られてるか分からなくて探しちゃうメンバーたち面白かった。
ハマさんのベース演奏中にカメラ近づく→ベース弾いてる指を近影で映す という流れ、すごくすごく良かった。カメラさん天才。
そして、BROTHERを聴いてドラマ「花火」を思い出した。私の頭の中で、浪川さんが地獄地獄地獄って指さしながら言ってます。


手島葵

他のバンドとは違う、独特な優しい空気感が流れていた印象がある。歌ってるときも、曲間にお話してるときもにこにこで、きっと素敵な心の方なんだろうなと。CM曲やジブリの曲など、一度は聴いたことある曲たちが多かったので聴きやすかった。「明日への手紙」、中学の合唱コンクールで歌ってるクラス毎年必ずいたな~とか思い出しつつ、手島葵さんの歌声は心が浄化されるような、なんだかゆったりとした気持ちになって、合唱とかじゃなく1人だからこそ出るこの雰囲気だなと感じた。


Yoggy New Waves

ごめんなさい、途中からちょっとだけみたという感じなのであんまりレポはできません。リリース時だいすきでずっと聞いてた、Ride on Wave が聴けて満足、夏にぴったりすぎる、ということは確実に言える。(漂・流~~~!)
Yoggyの曲久しぶりに聴いたので、ステージに出てたあの波の形のバンドマークとか、また会えてお久しぶりですという感情になって、単純に 聴けて嬉しいという気持ちになった。単純だね。


RADWIMPS

私は21時からの開演時間に少し遅れてアクセスしたが、まず、驚いたのが視聴者数。私が入った21:20頃には20万人超だった。
数字が全てではないだろうけど、どれだけ多くの人達が注目しているのかが感じられる。同時にここまで多くの人が同じ「ライブ」を、音を、楽しむ時間を共有していると思うと、なんだか不思議な気持ちになった。オンラインライブってすごいって実感。
(追記:2日目ナンバガ裏のKing Gnuはちょっと見た時に40万人とかだったかな?いやはやすごい。)
「君の名は。」の主題歌前のアルバムもわりと好きな私にとって、おしゃかしゃまDADA などのわりと初期め?の曲が聴けたのが個人的にはすごくすごく良かった。この日のために作ったという前説で SUMMER DAZE を披露し、終演。その後、会場にいた人たちの拍手でアンコールが始まり、もう2曲演奏していた。90分超の、ほぼワンマンライブのような、無料で見ていていいのかというレベルの配信だった。
大学1年のころなんでか知らないけどすごいずっとRAD聴いてる時期あったな〜なんでだろ、好きな俳優が好きなアーティストって雑誌で言ってるの見たからだっけな。推しの推しを好きになるタイプなので、音楽とかもわりとそんなスタイルで開拓していくことが多い。だからちょっと好きなことが人よりも偏りがちだったりするのかな。


Vaundy

RADWIMPSの余韻に浸りながらも、このままブラウザバックするのがなんだか惜しかったのでそのまま生放送で視聴した。
花占い」、「東京フラッシュ」のライブ版が聴けて良かった。正直この2曲しか知らなかった(というか「聴いたことある」くらいだった)けど、楽しめた。(この感覚、すごくフェスって感じ...!楽しい!)
そして、あとで調べたけどVaundyって21歳なんだ…。。職業だから当たり前だろうけれど、この場で堂々と披露できるの、すごい。はにかみながらも盛り上げセンス良かったと思うし、ライブ映えしてた。すごい。


Number Girl

今回、初フジロック参加(配信だけど)を決めた最大の理由にして目的。そして真理として、ナンバガはほんとうにカッコ良かった。
ひさ子さんのギター本当に好き。色々なバンドのサポートや自分の音楽活動をそれぞれやってきた17年間が結集した結果、さいこうなものを見せつけられた感。お客さんの前で演奏してるナンバーガールの、今年の映像を観れたのは、わたしとしてはすごくすごく貴重で嬉しかった。
向井秀徳さんが、アンコールも全部終わった時にすぐに堂々とマスクをしだしたのが印象的だった。
「ナンバーガールのライブを観る」と言う夢は去年の3月、今年のフジロックと生配信ライブでしか達成できてない。ので、この夢には「生で観る」という言葉を付け足しておきたい。早く、いつか、近いうちに、叶えたいな。

全曲さいこうだと思ったのであんまり一曲一曲の細かいこととか言えてませんよね。実は別の回でナンバーガールについてフジロック絡みで(?)語ろうと鋭意執筆中なので、書き終えたら載せますね。
ほんとはこのnoteで一気に書くつもりだったのですが、ナンバガ の話長くしすぎて脈絡が自分でも訳分からなくなったので、二回に分けてます。


【2.フェス未経験の自分が、今年のフジロックの配信を見て】

今年のフジロックは、苗場での開催・有観客・配信ありという状態での実施だった。今夏は他の多くのフェスが中止となるなかで、開催を決断したことから、Twitterではあらゆる人々により、賛否両論の声が毎日様々とあがっているのを目にした。
フェス関係者でもないただの音楽好きの個人的な思いとしては、今回のフェスは、もしできるならば無観客にしてもよかった、のかもしれない。ワクチンを接種済みの人が増えていく中で、現在新種のウイルス株による感染拡大が広まっている以上、誰が感染するか分からない状況にあるからだ。
ただ、開催したからにはアーティストはじめ運営側に何かしらの意味があれば良かったと思うし、そして、会場にいた人たちや苗場の人々のなかで感染者が出ないことを祈るしかない。
このnoteでは最後に、私が「オンラインで」フェス参加して気づいたことを2つくらい書いて終わりにしたい。

気になったこと①: 会場の客について
(ここ、ちょっと強めの口調になってるかもしれません。でも大事なことなので思いのまま書きました。)
・やっぱり、密な空間は気になった。YouTubeでリアルタイムの配信を見ていて、たまに視点が観客の方に向けられるときに視界に出てくる観客の距離の近さと多さがちょっとだけ怖かった。
Twitterを見ると、「普段よりは空いている」「こんな客の状態を密というなんて。例年はもっとぎゅうぎゅうだ」という、自身のそれまでのフジロック経験を共有した感じのコメントがあったけれど、フェス現地行ったことない自分から言わせてもらうと、コロナを知らなかった私達の状況と今の非常事態とを比べて「マシ」みたいな発言をされてもふつうに困る。インターネットなんて誰かれ問わずいろんなひとの言葉で溢れてるわけで、別に無視して自分の身を守ることに注力すればいいのはわかってるんだけど、私にとってはちょっと軽はずみな言葉を見つけたと思ってしまい、少しだけムッとした。そういう「数年前よりまし」みたいなスケールで納得していいのかな、と少し思った。
まあ正直なところ、ほんとは遠めの距離から生中継のカメラを撮っていただけで、実際の距離はしっかり空いているのか?現地組じゃないので分からない。(追記(23:48) :今年のフジロックのレポやニュース記事など見ると、普段の来場者数が4万人のところを12000人前後という状況だったようですね。)
とりあえず自分が配信で見ている分には、「この会場にいるすべての人が感染していませんように、万が一なっても重症化しませんように」と祈ることしかできない。今も切実にそう思ってます。

気になったこと②: オンラインで参加する便利さ
・「ワンクリックでステージ移動ができる」というのはすごく便利だと思った。フェスってステージによってやるアーティストが違って、ステージごとに距離もあったりして時間ごとに移動するのがすごく大変と聞いていた。けど、YouTubeの3つの動画リンクに分かれた「ステージ」の往復はとってもラク。すぐに他ステージでやるライブに移れたり、またライブ会場を出るのだって「ブラウザバック」しちゃえばいいだけなので超簡単。味気ないかもだけど、これが新しいフェスの形なのかなと思った。YouTubeで見ているその時の映像は、過去ライブの収録じゃなくて生放送というのが夢か現かとにわかに信じ難くもなる不思議な光景だった。ステージ上にいるアーティストのライブ風景を久しぶりに見たという意味でも、でっかい会場にお客さんがいる!有観客だ!という意味でも。現場に行ってる人はお金を出して観に行ってるのに、YouTubeで無料で見ていいのかと疑うくらい各アーティストのライブが濃厚だったことは最高だった。配信を決断したフジロックには感謝したい。

このnoteの始めにも書いたけれど、フジロックの開催自体は、ロックフェスにとどまらずお祭りのような雰囲気を感じるという醍醐味があるのだと思う。苗場のキャンプ場でテントを張って過ごしたり、近くの宿泊施設に泊まったりすると、絶対気分は上がるだろう。私もいつかたくさんお客さんいる会場のうしろの方で、ゆらゆら体を揺らしながら音楽をたのしむ1人になりたい。

正直私は、今回フェスを配信でみていて「自分もこの場にいたい」とは思えなかった。あんなに毎年、行きたがってたフェスという場なのに。
その理由として、コロナという状況はもちろんだが、配信でライブを観るという状態における「アーティストがライブをしていて、それを聴いている人がいて、その状況を生配信で見ている自分」に、「変なアングルだな、第三者みたい」とふと思ってしまった瞬間があった、というのもあると思う。
私は、自分がフェスの参加者というより、あくまでも配信を見ている「閲覧者」として客観的に見てしまってた時があったんだと思う。そうやって客観的に見ると、客の距離とか、気になることが見えてしまった。
もちろん自分が現地のライブに行く時だってほかのお客さんの雰囲気とか気にすることは結構あるし、今回のライブが全く没入できなかったわけじゃない。ナンバーガールは自室で腕を振りながら観てたし、一日目の深夜に再放送で観たOKAMOTO’Sとkotoriの音には引き込まれた。
でも、映像の場面がステージ上から 遠くから見た客の様子に変わると、やっぱりすこしだけ、「遠くから眺めている風」になってしまってた感が寂しかった。

このnoteの初めに「今年フェス初参加した」と書いたが、今回のこの経験は、こう考えると 残念ながらフェス初参加には入れられないのかもしれない。「フェス参加しようとしたが、たまに閲覧者になった」という感じだった。


ただ、配信でこの素晴らしいライブを観れたのは間違いなく運営のおかげだ。この状況下で大規模なフェスを実施する決断をするのは、開催する側も相当な検討があったことだろう。フジロックでは酒類持ち込み禁止というルールのもと開催の予定が継続されていた。
そして、開催側だけでなく、出演するアーティスト側にも出演するかの悩みがあったはずだ。自分は観れなかったが、King Gnu の井口さんがライブでのステージ上で出演に際しての葛藤を話したということは、その時間帯のTwitterトレンドにも上がっていた。また、フェス前日までに本人の意思などを理由として出演キャンセルとなったアーティストも何組かあった。
そうしたなかでも、「この場だけでも楽しんでもらいたい」という思いで出演し、演奏するアーティストもいたことで、今回のフジロックは成り立っていた。

アーティストの出演なしにはこのフェスは無かったし、観客なしだと、今回と全く同じ空気感にはならなかったのかもとも思う。掛け声のやりとりこそ無かったものの、お客さんの前で演奏する、歌うからこその雰囲気や場づくりはあったかもしれない。
ただし、フェスをこの時期に開催するなんて、世間にとって不謹慎と言っても過言ではないのかもしれない。有観客をこの時期に行ったのがどう出るかは、2週間くらい経ってからの感染者数などで判断するしかない。
「参加する」ということがこんなにも悩ましく難しい社会になってしまった。


私がこのフジロックを通して思ったことは、色んな状況を加味して、決断をすることの重要性だ。コロナ禍という今は、自分が置かれている状況で、そして社会が置かれている状況の中で、どう行動するかがより問われていて、この点がさまざまな判断と結びついてくるんだと感じている。
アーティスト、運営管理者・スタッフ、観客、その他すべての人々が、フジロックについて考えるにあたっては葛藤があったと思う。その葛藤をフェスの終了とともに終わりにせず、今後も何かの折にこういったことを考え続けることが、たとえ配信で観てた自分さえも、一観客としての使命のように感じる。

いつか現場で、フェスの「参加者」として 余計な心配もせずに音楽を聴くのを楽しみにしたい。その時には、主観的に色々感じてもっともっと楽しめるかな。


<今日のひとこと>
というか、今日の一曲



これからもサイコーな音楽を聴いてnoteにします!よろしくお願いしますᕦ(ò_óˇ)ᕤ