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【読書感想文】幼い少女たちが背負った十字架『贖罪』(湊かなえ)
おすすめポイント
誰もは1つは抱えているだろう贖罪について深く考えさせられます。
レビュー
読みやすさ ★★☆☆☆
怖さ ★★★★★
おもしろさ ★★★★☆
わくわく感 ★★★★☆
何度も読み直したい ★★☆☆☆
感想
「償いなさい できなかったら復讐します」
あぁ……湊かなえっぽい。
癖になる。
私はこの後味の悪ーーい湊かなえのミステリー小説が好きです。
読了後はもやもやするのに、すぐに再読してしまうの、めっちゃ不思議です。
15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。娘を喪った母親は彼女たちに言った――あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい、と。十字架を背負わされたまま成長した四人に降りかかる、悲劇の連鎖の結末は!?
1つの殺人事件によって何人もの人間の人生の歯車がずれていきます。
とくに被害者であるエミリちゃんと当日一緒にいた子たちは、エミリちゃんの母親・麻子さんに一生苦しまされることになるのです。
タイトルが『贖罪』であるなら、サブタイトルは
エミリちゃん事件によって人生を狂わされた4人の少女たち?
エミリちゃん事件によって人生が狂わされた麻子さん?
麻子さんによって人生を狂わされた4人の少女たち?
私はぜひ
麻子さんによって人生を狂わされた4人の少女たち
にしたい。
麻子さんは、娘を失った被害者でもあるが、4人の少女たちは麻子さんに殺されたに等しい。
まだ小学生だった4人の少女たちが、十字架を背負ったまま成長してしまうからです。
人を憎んで生きること。
贖罪を背負って生きること。
事件の真相は4人の少女たちの人生が狂い始め、取り返しがつかなくなったところで、明らかになります。
個人的に一番怖いのは、幼い少女たちに一生降ろすことができない十字架を背負わせた麻子さんだも思いました。
誰もが救われる方法を見つけたいと思いながら、何度も読み返してしまう作品です。
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