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【宅建業法改正】ついに不動産の契約書等の押印廃止&ペーパーレス化がはじまります

令和4年4月27日付の国土交通省の通知文書で下記の通り通知がありました。

令和3年5月19 日に公布された「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」(令和3年法律第 37 号。以下「整備法」という。)において、行政手続及び民間手続に係る国民の負担や利便性の向上を図るため、押印を求める行政手続・民間手続について、その押印を不要とするとともに、民間手続における書面交付等について電磁的方法により行うことなどを可能とする見直しが行われ、宅地建物取引業法の改正規定を含むその一部が令和4年5月18 日から施行される。
国土交通省

ということで、いよいよ押印廃止の波が不動産業界にも本格的にやってきます。それも今月から。
併せて契約書類の電子化(ペーパーレス化)も可能となります。

いつから?

令和4年5月18日から施行されます。
この日から下記の押印は廃止となります。

①重要事項説明書(宅建業法35条)

まさかの宅地建物取引士(宅建士)の押印廃止となります。
これまで宅建士の独占業務とされてきた重要事項説明書への押印がなくなるという重大なルール変更です。
ただし宅建士の記名は引き続き必要となります。
また重要事項説明書の説明についても、引き続き宅建士しかできない独占業務となっています。
併せて宅建業者の押印も廃止されます。

②契約書(宅建業法37条)

こちらも宅建士の押印廃止です。
重要事項説明書と同じく、宅建士の記名は引き続き必要となります。
宅建業者の押印も同時に廃止です。

③媒介契約書(宅建業法34条)

こちらはそもそもこれまでも宅建士の押印は不要です。
これまでは宅建業者の押印が必要でしたが、改正後は押印廃止となります。

ペーパーレス化と課題

ちなみに上記3つの書類全て、今回の法改正により電子化(ペーパーレス化)も可能となっています。
相手方等の承諾(政令の定める方法による承諾)を得れば、書面の交付に代えて電子書面にて交付が可能です。
とはいえ電子署名と電子証明書が必須のため、ただPDFで送付するというのでは当然NGです。
宅建業者側が電子証明書の導入をする必要があるため、電子化の導入は少々ハードルが高いでしょう。
アナログな業界ですので、電子化が広まって当たり前に実用化されるのには時間がまだかかるのではないかと予想します。

あとこれは体感的な部分が大きいのですが、不動産の購入では契約書面が手元に欲しいという消費者ニーズも一定数残るのではないかと思っています。
特に不動産の取引では特に売主が高齢者であることも多いです。
高齢者だから、という括りでの線引きは間違っているとは理解しつつも現実には、「書面が手元にないと困る」とおっしゃられる高齢者が多いのも事実です。

また相続が発生した際、相続登記については登記簿があるので問題ないとしても、税制優遇などに支障が出る可能性はあります。
例えば不動産相続後の売却の場合。
その不動産取得時の価格を証明できるもの(購入時の契約書など)があれば譲渡益から差し引くことができるのですが、証明できるものがない場合は一律売却価格の5%という計算になってしまいます。
これにより同じ不動産を売却しても無税or高額納税という大きな違いを生むことがあるのですが、電子化された当時の契約書面がどこに保存されているか分からないといった場合、本当なら無税にできるのに高額納税になってしまう可能性があります。

少し余談になりますが、このようなペーパーレス化問題は実は売買契約に限った話ではなく、銀行通帳のペーパーレス化などにより保有口座が把握できないなど相続全般に問題を引き起こす可能性をはらんでいます。

まとめ

押印作業は地味に時間を取られるし無駄でしかなかったので、私としてはありがたい改正です。
うっかり押印失敗したら書面の印刷からやり直しですからね・・・紙の無駄も減ります。失敗するなよという声が聞こえてきそうですが笑
それどころか他の不動産業者と共同仲介する場合、 宅建業者&宅建士の押印をもらう為だけに相手の不動産業者の事務所へ出向いていましたので、この意味不明な時間も削減できるとなると本当にありがたいです。1分で終わる押印をもらうために往復1時間半かけて行くとか、時代遅れすぎますよね。

文化という意味では大切にすべきものもありますが、これだけ変化の激しい現代において、大昔に作ったルールが本質を見失い機能不全を起こしているケースは不動産業以外でも沢山見受けられます。

古いルールや条件は本質に従い、残すべきものは残し、進化させるべきものは進化させていく必要があります。

今回の改正で、不動産業界が時流に乗り活性化できればいいなと思います。

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