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漫画の感想

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#マンガ

「アンチマン」の正直な感想を、せっかくなので残しておきたい。

「アンチマン」の正直な感想を、せっかくなので残しておきたい。

 何を書いても角が立ちそうなので触れなかったけれど、せっかくだし自分の感想を残しておこうと思った。

 この作品は、当たり前のことを書いているように思えたので正直なことを言えばそこまで何か思わなかった。
 これが実話なら色々思うことはあるが、創作は自分にとって面白いか面白くないかが全てなのでそういう感想になる。

「アンチマン」は、ある程度意図して主人公の溝口の言動に読み手が反発や忌避の感情を持つ

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「推しの子」が面白いと思うのは、自罰感情という負のエネルギーに満ちた話だからだ。

「推しの子」が面白いと思うのは、自罰感情という負のエネルギーに満ちた話だからだ。

※原作のネタバレがあります。注意してください。
※いま現在発売中の11巻までの感想です。

 ↑の記事は、評判になっているからとりあえず言及しただけみたいな内容なので、何か言うのも何なんだけど

これは首をひねった。
 冒頭から吾郎の視点で始まるから、すぐに吾郎→アイへの感情がメインの話だとわかると思う。
 アイのビジュアルが多いのは「吾郎の視点(推す側)」の話だからだ。タイトルもまんま「推しの子

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「君が獣になる前に」全8巻感想。結末にがっくりきたが、それでもこの話が持つ可能性が好きだった。

「君が獣になる前に」全8巻感想。結末にがっくりきたが、それでもこの話が持つ可能性が好きだった。

*ネタバレ注意。

 7巻を読んだ時点での予感的中、どころか予想の十倍ひどかった。
 まさかあんなモブに毛が生えた程度のキャラに突貫工事で背景をくっつけて、「誰の中にでも獣はいる」みたいなこれまで三百回くらい聞かされた一般論にまとめて終わりになるとは……。

 目の前で大勢の人間がもがき苦しみながら死んでいく様を見ていられるのは、「世界を壊したい波が来るかこないか」ではなく「とっくに一線を超えてい

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「好きな配信者が死んだ話」の感想。

「好きな配信者が死んだ話」の感想。

 昨日、読んだこの話について。

 現実に起こった事件を想起させる部分もあるけれど、とりあえず完全に創作として読んだ感想を書きたい。 (*ネタバレ注意)

 凄く良かった。

 自分がこの話で一番良いなと思ったのは、ルカと福田にとってアマニが「本当に神だった」ところだ。
「神」とは何か。
「人ではないもの」だ。
 もっと言うと「生身の人間ではなく(神という)概念」だ。
 ルカと福田にとって、アマニ

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「『帝一の國』どこに納得がいかないか」と「『鉄血のオルフェンズ』のどこが好きか」が同じなので、まとめて話したい。

「『帝一の國』どこに納得がいかないか」と「『鉄血のオルフェンズ』のどこが好きか」が同じなので、まとめて話したい。

*タイトルの通り、「帝一の國」のネガティブな感想が含まれています。注意してください。
*「帝一の國」及び「鉄血のオルフェンズ」のネタバレが含まれます。

「帝一の國」は「ライチ☆光クラブ」のアンチテーゼのような話だった。
 11巻の巻末の「マヨネーズ皇帝」は「ライチ☆光クラブ」とまったく同じ話をしている。
「帝一の國」は、最終的には「マヨネーズ皇国」を作った高天原と裕次郎が「ラスボス」になることで

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創作を読んで「not for me」で済ませられるのは、興味も感情もまったく動かなかった時だけだ。

創作を読んで「not for me」で済ませられるのは、興味も感情もまったく動かなかった時だけだ。

これを読んだ時に、すぐに二年くらい前にバズった「普通の人でいいのに」を思い出した。
自分の中でこの二作はまったく同じことを書いている。

この話は「才能(がある島田)」に選ばれることによって「落ち着く(自己確立)」。そして「才能」から見放され自己を見失いそうになった後、「相原(大学)に選ばれることによって」再度自己確立する。

「他者から『価値がある』と認めてもらうことによって自己確立する」
「判

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「天然魔性が出てくる三角関係の漫画」の感想を、具体的に語りたい。

「天然魔性が出てくる三角関係の漫画」の感想を、具体的に語りたい。

ブログで「三角関係の恋愛漫画」の感想を書いた。

この漫画の面白さは、自分が選択すればそれで済むだけの話を、人の目から見るととても切ない話に見せてしまうモモの魔性にある。
こちらではどの描写で何をどう感じたか、ということを具体的に語りたい。

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【「エネアド(ENNEAD)」考察】セトは、なぜモテるのか。

【「エネアド(ENNEAD)」考察】セトは、なぜモテるのか。

*本記事には「エネアド」のS2第23話までのネタバレが含まれています。未読のかたはご注意下さい。

S2第23話を読んで、セトの見事なまでの鈍感ヒロインぶりに萌えた。自分がホルセトにハマっていたら、神回だった。

セトは「自分の認識の世界観」を欠片も疑わず、その認識でのみ物事を解釈しようとする。
「ホルスが自分を好きだから助けてくれる」とはちらりとも思い至らず、「ホルスは自分の敵対者である。だから

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「大人しく優しい女性×強気な男の女攻めCP」「エネアド」のネフセトについて、妄想を八割交えて語りたい。

「大人しく優しい女性×強気な男の女攻めCP」「エネアド」のネフセトについて、妄想を八割交えて語りたい。

何で自分で思いつかなかったのか、と己の不明を恥じた。
ホルスを夜這いしにきたセトが余りに手馴れていたので、「なるほど。ネフティスに対してはこんな感じなのか」と特に疑問なく思ってしまった。よく考えたらそうとは限らない。
ネフティスとセトの直接の絡みが今のところほぼないのでわからないが、第一部最後の審判のシーンを見ると、ネフティスに対しては「ホルスを夜這いしに来た時の感じ」ではなさそうだ。

ただの推

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エジプト神話BL「エネアド(ENNEAD)」の設定や時系列をまとめ。

エジプト神話BL「エネアド(ENNEAD)」の設定や時系列をまとめ。

話の時間軸が過去と現在で錯綜している上に、超常的な設定が多い。
登場人物がみんな何かを隠しているうえに、抱えている思いも複雑なので設定や心情の変遷をそれぞれの登場人物ごとに追わないと理解するのがひと苦労だ。
なので自分の頭の整理がてらまとめてみた。

改めてじっくり読むと、最初の印象以上に無茶苦茶面白い。

◆エネアドとはラーの直系の九人の神のこと。

元々の「エジプト神話」も後で本を読むつもりだ

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「ゴールデンカムイ」キャラについて雑談。

「ゴールデンカムイ」キャラについて雑談。

↑のブログ記事で入りきらなかったキャラについての気ままな雑談。(*ネタバレあるので注意)

杉元とアシㇼパ

アシㇼパが特に好きだったけど、それ以上に二人の関係が好きだった。
杉元の「アシㇼパさん」呼びがいい。
戦場帰りの「不死身」と言われた男と、一回り年下の少数民族の少女という組み合わせだと男が少女を一方的に守るという関係を想像してしまうが、二人の関係はまったく違う。
杉元のアシㇼパに対する感情

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漫画「adabana 徒花」全3巻のここが良かった、ここが気になった。

漫画「adabana 徒花」全3巻のここが良かった、ここが気になった。

「adabana 徒花」全3巻を読み終わった。

*ネタバレ注意。

良かった点「女の子同士の百合的友情ものとして最高に美しい」女の子同士の絆が美しかった。

弁護士の二人以外は周りはほぼ敵(しかも下衆ばかり)だからこそ、二人の関係性の尊さが際立った。

この話は「漫画」という表現方法でなければ、ここまで良くはなかったろう。
小説で読んだら、二人の関係もどこか作り物臭く感じたと思う。
この話は、絵

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「私のジャンルに神がいます」のシーズン2の始まりがバトコア界隈の話で嬉しい。

「私のジャンルに神がいます」のシーズン2の始まりがバトコア界隈の話で嬉しい。

「私のジャンルに神がいます」のシーズン2が始まっていた。



しかも自分が一番好きなみつばさん、むぎさんのバトコア界隈(『界隈って言えるほど人いないですけどね』)の話だ。

むぎさんがみつばさんに嫉妬していたのは意外だ。

「素晴らしき過疎ジャンル」では過疎ジャンルで読まれないことについては悟っていた感じだったけど、色々あってあの境地に達したのか。

(引用元:「私のジャンルに『

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藤本タツキ「ルックバック」は「妹の姉」の別ルート?

*本記事には藤本タツキ「ルックバック」と「妹の姉」のネタバレが多少含まれています。

さっき藤本タツキ「ルックバック」をもう一度読んだ。

59ページの二人が横断歩道を渡る絵が尊すぎて、そこからずっと泣いている。泣きすぎて頭が痛い。

藤本タツキと言えば「チェンソーマン」も面白いけれど、自分は「妹の姉」が凄く好きだった。

「妹の姉」も「ルックバック」と同じで、きっぱり系強気女子とおどおど系弱気女

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