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漫画の感想

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#葬送のフリーレン

「性格が悪いと思うキャラは?」という質問の答えには、その人の世界観、人生観が表れる。

◆「性格が悪い」とはどういうことなのか。

「このキャラは嫌い、自分にとって不愉快だ」と思うキャラはいても、そのキャラが「性格が悪いのかどうか」はよくわからないことが多い。
 自分にとっては不愉快だが、他の人にとってはそうでもない、むしろ好ましい(逆も然り)こともある。

「どのキャラが性格が悪いと思うか?」という質問の答えは、「どのキャラが好きか/嫌いか」という質問以上に、答える人の人生観や世界

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アニメ「葬送のフリーレン」第14話「若者の特権」の感想を、原作との違いを軸に語りたい。

アニメ「葬送のフリーレン」第14話「若者の特権」の感想を、原作との違いを軸に語りたい。

*原作のネタバレが多少あります。

 アニメ「葬送のフリーレン」第14話「若者の特権」を見た。
 原作では読み方に迷ったり、どうなんだろう?と思う部分が綺麗に補完されていた。(フェルンがザインに「蹴って済みませんでした」と謝っているところが凄く良かった)

◆原作とアニメのシュタフェルの違い。

 原作を読んだ時は、誕生日プレゼントを買い忘れたシュタルクに対するフェルンの態度を理不尽に感じ、それを

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【「葬送のフリーレン」キャラ語り】ハイターの人物像が垣間見えるエピソード、第29話「理想の大人」が好きすぎる。

【「葬送のフリーレン」キャラ語り】ハイターの人物像が垣間見えるエピソード、第29話「理想の大人」が好きすぎる。

 ついに今日か。
「葬送のフリーレン」の中で、自分が大々々々(以下延々とリピート)好きなエピソード「理想の大人」がアニメで放映される。
 フェルンの「むっすうー」が増幅されているトップ画像だけで、期待値マックスである。素晴らしい。

 しかも……。
 鏡蓮華との組み合わせか……。心臓が持つかな。

 原作で四巻の部分が連載された時に作られたと思われるサンデー公式のPV。
 良すぎて何度も見てしまう

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ある作品を読むことで他の作品の理解が深まると、テンションが上がる。(「葬送のフリーレン」×「ノルウェイの森」)

ある作品を読むことで他の作品の理解が深まると、テンションが上がる。(「葬送のフリーレン」×「ノルウェイの森」)

「葬送のフリーレン」を読んでいて、「ノルウェイの森」の永沢のセリフを思い出した。

「君はよくわかってないようだけれど、人が誰かを理解するのはしかるべき時期が来たからであって、その誰かが相手に理解してほしいと望んだからではない」(「ノルウェイの森」(下)P116)

 このシーンの永沢は終始、邪悪と言っていい残酷さをハツミに向けている。このセリフはその悪意の極めつけと言っていい。

 主人公のワタ

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【「葬送のフリーレン」キャラ語り】「黄金郷のマハト」は、「自分が凄く好きなことにまったく才能がない人」だから共感してしまうのだ。

【「葬送のフリーレン」キャラ語り】「黄金郷のマハト」は、「自分が凄く好きなことにまったく才能がない人」だから共感してしまうのだ。

*既刊11巻までのネタバレが含まれます。未読のかたはご注意ください。

(これまでのあらすじ)

 これまでブログやnoteで、「葬送のフリーレン」は主要キャラは人間関係の機微を察知し対応する能力が異様に高く、その能力を標準としてコミュニケーションをとっている。
 そしてそういうハイレベルなコミュケーションを行うキャラの内面は直接的にはほとんど描写されない。そのため、その内面もそこから派生するスト

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「葬送のフリーレン」の男キャラの人間関係に対応するスキルとケア能力は、超人的である。

「葬送のフリーレン」の男キャラの人間関係に対応するスキルとケア能力は、超人的である。

「葬送のフリーレン」を読み返したら、シュタルクやザインに対するフェルンの態度が余りに理不尽で我儘なのが気になった。
 フェルンのシュタルクやザインに対する態度は、↓に書いた究極の甘えだ。

「不機嫌や無視で人をコントロールしてはいけない」とよく言われるが、フェルンは「家族に感情や機嫌をモロに出す甘え」をそのままやっている。

 人間関係は相互作用を長いスパンで本人同士が判断するものなのでそれだけを

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「『人を理解しようとすること』は時に暴力にもなる」という前提をきちんと描いているのが「葬送のフリーレン」の好きなところだ。

「『人を理解しようとすること』は時に暴力にもなる」という前提をきちんと描いているのが「葬送のフリーレン」の好きなところだ。

 自分が「葬送のフリーレン」で最も好きな点は、「人をわかろうとすること」を無条件に「いいこと」として肯定せず、魔族を通してその危険性と暴力性を描いているところだ。
 多くの場合、人同士の間で起こることもさほど変わらない。

「『人を理解する』とはどういうことか」
という疑問を持たず、「自分の認識で相手をはかることが人を知るということ」と勘違いしたまま他人の心の内に踏み込めば、相手を致命的に傷つける

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「女性の優しい男が好き、の『優しい』って何だよ?」→そう女性に聞く時点で「優しくない」

「女性の優しい男が好き、の『優しい』って何だよ?」→そう女性に聞く時点で「優しくない」

◆定期的に見かける「女性が言う『優しい』とは何なのか?」という話題。

「優しい男が好きという女性の心理が知りたい」
という増田を先日読んだ。
この話題も定期的に見かけるなと思っていたが、本文が消えていた。

「女性は『優しい男が好き』って言うが、この『優しい』とは何か」
「そうは言っても女って暴力的な男を選んだりするんじゃないか」
「ただしイケメンに限るだろ」
という反論も合わせて見るが、これは

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