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作品(多層ガラス絵)

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オリジナルな技法「多層ガラス絵」を作りました。ガラスの裏側から絵を描いて重ねて一つの作品にします。一点ものです。派生作品「リバースドローイング」は薄い1枚のアクリル板の裏側から描…
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2020年3月の記事一覧

「箔」の使い方、温故知新

「箔」の使い方、温故知新

◎ガラス絵の転機

 ガラスを重ねて表現しようと思った時の話で、実際に作品を制作した後で、自分自身が追いつくようにそのテーマの深さに気づく時もしばしばある、と書きました。
 それとは反対の事もあります。出会った瞬間強く魅力を感じながら、その後何年も経って、活かせる場がやってきたことに自らが気づくということです。

◎イタリアへ旅して出会ったモノ

 私は2013年に、画家の先輩とイタリアを旅しまし

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重ねて重ねて描くものは。

重ねて重ねて描くものは。

◎ガラス絵を描く理由。

全て逆から描くガラス絵。

  描き方は分かったよ。でも、なんでそんな面倒そうなことをして絵を描くの?

 そう思いますよね。
 ではその疑問に、私がガラス絵に感じる2つの魅力からお答えします。

◎”艶”

 描かれた反対側から鑑賞するため、絵の表面で光が乱反射せず、絵の具の乾燥後も潤いのある発色が保たれる。
 これがガラス絵の一つ目の特徴であると同時に、誰もが1番に目

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ガラス絵って知ってますか?

ガラス絵って知ってますか?

◎そもそもガラス絵ってなに。

 私は、主に「多層ガラス絵」という技法で作品制作をしている作家です。
 ”ガラス絵”というもの自体、あまり聞き慣れない技法な上に、絵なのに”多層”とは?だと思いますので、今回は”ガラス絵”についてのお話です。

 絵の具が付着している側と反対側から鑑賞する。そんなガラス絵の技法で描かれたものは、西洋発祥です。初歩的な作品は10世紀のものも発見されていますが、本格的に

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技法を深める〜銅版画から離れて見る景色〜

技法を深める〜銅版画から離れて見る景色〜

◎技法を深めるって何をすることなのか。

 絵を描いていると、「表現が浅い」という言葉を耳にします。
 そういう時に色々な言い回しはあっても、技法の側面に共通して問われている、ある事に気が付きました。
 結論から言うと、

「あなたはその技法の、どこを何に利用している?」

◎深さの守破離

 広さに続き、深さ(縦軸)の守破離。
 これが詰めの足りなさを埋めるものです。
(守破離?な方は、広さの守

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多層ガラス絵/3つの技法の横断=広さの守破離

多層ガラス絵/3つの技法の横断=広さの守破離

◎「習う」という意識から距離をとるには。

前回、絵を描く時に誰かに習った事から離れて、自分がこうしたいということに従うと書きました。前置きが長くなりましたが、そういうスタンスが新しいことをやってみようという動きのベースになります。

◎守破離

 さて、ここまで偉そうにオリジナルと書いてきましたが、ある日ゼロから考案したわけではありません。
 当然と言えば当然です。作家と言えど、自分の手持ち(既

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オリジナルな技法について。

オリジナルな技法について。

◎オリジナルな技法とは何か。

 今の自分の制作の中核になった技法の話です。
 こうやって自分の経験やテーマと結びつき、新たな技法が生まれることを目の当たりにし、自分自身が驚いたので、ここにメモしておこうと思います。 

◎脱学生

 プロアマ問わず、絵に興味がある人の中でも「技法」に興味がある人は割といて、絵画教室は盛況です。他者から習えることは山ほどあります。
 しかし、誰かから教えてもらった

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