患者が急に薬を欠かさずに飲み始めるようになった「きっかけ」とは?
この話はフィクションです。
あるところに数年前から糖尿病治療中の患者がいました。その人は糖尿病であるにも関わらずに、治療に前向きではありませんでした。
処方された薬は毎日飲まない。運動や食事は糖尿病と診断される以前と変わりなかった様子でした。
そのような状況が数年続いた後、途切れがちだった通院さえもなくなってしまいました。
そんなある日、患者の代理の方が久しぶりに、薬局に処方せんを持ってこられました。
その処方内容とは、以前飲んでた糖尿病の薬とは異なり、「目」に関する薬でした。
これらの状況から十分に治療をしてこなかった患者に起こった、ある程度の経緯を推測できました。
詳しい経緯を知るために代理の方に尋ねました。すると・・・。
「本人が急に視界が暗くなって見えなくなったって言うから、慌てて病院にいってきました。で、眼底出血を起こしていたって先生から聞きました。」
やっぱりそうなのかと確信して「持病の糖尿病が原因でしょうか?」と私。
「おそらくそうかもしれませんね…。」と患者の代理の方が返答された。
それから、糖尿病治療のために入院することになって、退院してからいつものかかりつけの病院で外来治療を始めました。
あの突然、目が見えなくなった恐ろしい体験をしたからなのか、以前は治療に無頓着だった患者は、今では薬も毎日飲むようになったり、食事を気にするようになったという。
これが、薬を欠かさず飲むようになった「きっかけ」となりました。
人間の性ってことで片付けたい話ですが、やっぱり何か起きて後悔する体験をしてからでないと本当に意味で理解したことにならないのが、非常にもどかしい思いがあります。
今回は大事にならずに済んだケースでしたが、車の運転中に発症してたら自らの命だけでなく、加害者にもなりえた状況だったといえるでしょう。
あの時ちゃんと治療しておけばよかったなーって話しは、薬局で働いていると患者からよく聞く話だったりします。
その患者は病院や薬局でも耳が痛くなるほど、ご自身の体に起こってることや、これから起こる恐ろしい病気に至るまで聞いていて知っていたはず。
なのに、健康というものは軽されてしまう。
だから、医療従事者として非力かもしれないが、薬剤師のわたしに出来ることは、将来起こりうる疾病の症状だったりすると思う。
この患者のように糖尿病であれば、このままだと網膜症や腎症、神経障害の合併症になりますよ、などの言葉では早々刺さらない。だって、そんなことは誰だって知ってることだから。
https://www.japha.jp/doc/byoki/030.pdf
なので、患者の知らないことでリアリティのある事例を話してあげた方が割と聞いてる印象です。
血糖値が高い状態が維持されると、血管がボロボロにになります。それが、腎臓に及んだら透析を始めなければならないし、目でおこったら失明することだってあります。
ちなみに、血液透析をするとなると、週3回の通院で1回あたり4-5時間の拘束されることになります。
それでも、将来よりも今を選択するならいいのですが、多くの場合後悔に繋がることに私は知っています。
健康診断で血圧が高い。脂肪肝って言われた。たばこは体に悪いって知ってるけど、やめない。
さて、このままでいいのか?リスクとのバランスで考えて欲しいところですが、個人的には未来の健康にかけた方がいいと思います.
自分の体の健康を見ないふりせずに、しっかりと見つめなおしてみましょう!!
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