2022年の東北ツーリングを振り返る⑨
3日目:2022年8月19日(金)
藤七温泉から再出発した僕は、再びアスピーテラインに戻り、秋田県側へと降りていきます。
次に向かったのは、県境を越えた先にある「ふけの湯」というところ。ここは初めて訪れるところだったのですが、ここもまた藤七温泉のように解放感抜群のロケーションでした。
藤七温泉のように「湯舟の底からお湯が湧き出す」というわけではありませんが、やはり山肌から湧き出すお湯がそのまま湯舟に溜められているような状態。
解放感抜群のロケーションだからか、「こっちの湯舟はぬるめですね」とか「あっちに行くと熱いのがありますよ」とか、そういった温泉コミュニケーションも自然と生まれます。
さらに、この日3か所目として訪れたのが後生掛温泉でした。
こちらは湯治宿としての歴史も長く、
という歌も詠まれているとか。
これは「体が悪く馬の背に乗せられて来た人でも、帰りは高下駄で山道を下れるほど元気になる」という意味だそうで、つまりそれほど湯治効果の高い温泉というわけです。
後生掛温泉には、一般的な1泊2食付きで利用する旅館の他に、長期滞在する人のための「湯治部」というエリアもあります。ここでは食事は自炊、部屋も最低限の設備となっていて、宿泊費を抑えることが可能。
今回は立ち寄り湯なので宿泊はしませんが、湯治宿をベースとしたロングツーリングというのも楽しいかもしれません。
後生掛温泉もまた「温泉成分・特濃」であることを感じさせるような泉質で、「箱蒸し風呂」というサウナのようなものもあり、くつろぎつつ楽しい時間が過ごせます。
後生掛温泉のカフェで昼食を済ませると、時刻はもう午後です。
この旅のハイライトである3日目は、すでに半分過ぎたということを意味しています。気を抜くとついそんなことを考えてしまって寂しくなってしまうのですが、ともかくそろそろ宿泊地を目指さなくてはなりません。
今日はこのままアスピーテラインを走って秋田県側へと下りていき、田沢湖のキャンプ場で宿泊予定。ここは事前に予約をしているので、気まぐれで予定変更をするような選択肢はありません。
「八幡平を去る」ことに名残惜しさを感じながらアスピーテラインを駆け抜け、国道341号線を南下。田沢湖へと向かいました。
田沢湖には初めて訪れたのですが、その大きさと青さに感動をおぼえました。正直なところ「有名なスポットだし、悪い意味で観光地化しててもおかしくないよな。あんまり期待しないでおこう」などと頭の片隅で思っていたのですが、そんな思い込みを打ち壊すスケール感。
湖の青さと、空の青さ。
そして、視界いっぱいに広がるコバルトブルーの世界に、真っ白な雲が浮かんでいます。
「ああ、僕が新宿駅を出たときに見た空は、ここへつながっていたのか」
そう感じました。
4泊5日の旅は、残すところあと2日。といっても最終日は「帰るための移動日」なので、旅を楽しめるのは実質的にあと1日ということになります。
田沢湖に沈む夕日は、美しくもあり、少し寂しくもありました。
(⑩へ続く)
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