釣り業界のビッグプレイヤーが集まる埼玉
こんにちは!スタジオサイタマ合同会社の加藤です。
埼玉県の伝統工芸「和竿(竹釣竿)」の販売と発信について日々考えています。
今回は、和竿以外にも釣り関連の産業のビッグプレイヤーが鎮座しているんだぞ!というのを紹介してみようと思います。(いつかなにかしらで協業させていただきたい...)
上州屋
言わずとしれた上州屋。日本全国のロードサイドを制しすぎて、釣りをしない人にもおなじみの釣具チェーン。道を走ってて青いのはブックオフか上州屋。
会社名:上州屋
本社 :埼玉県草加市
創業年:1963年
概要 :北は青森県から西は愛媛県まで全国200店舗を展開する釣具屋
上州屋の誕生秘話がすごいです。
「釣具店の要諦はエサにあり」の哲学から、エサ集めにはこだわった。〜エサの安定供給を実現するために、家族をも巻き込んだ。〜東京都を横断するような格好で、西を流れる多摩川に家族とともに出向き、河川敷で自ら採集した。石ころをひっくり返しては、裏側に潜んでいる虫たちを必死になって集めた。帰宅後はパッケージに詰め、店頭で販売した。
エサだ!エサを集めろ!という声が聞こえてきます。
しかもエサに対する執着はこれだけでは収まらず...
また、従業員や家族を競合店に走らせ、エサを買いに行かせた。競合店で売られているパック2個を1つにまとめて、1パック分の値段で再販売した。
競合店のエサを買ってきて売る、というアグレッシブな姿勢も見せていきます。これぞ埼玉に求められるアティチュード。粗利ミックスの考え方から、低価格帯で確実に需要のある商品に関しては安く、安く、を追求した創業期のお話しです。
マルキュー
みなさんライブやコンサートでさいたまスーパーアリーナ、さいたま新都心に来たことありますか?赤い字でマルキュー、これ、なんだろうと思ったことありますよね。
埼玉県ではマルキューといったら釣り餌屋です。ファッションビルではありません。
会社名:マルキュー
本社 :埼玉県桶川市
創業年:1910年(釣り餌は1967年から)
概要 :日本最大級の釣り餌メーカー
マルキューHPの企業理念ページトップ一行目を見てもらいたいのですが、
私たちマルキユーは、釣りエサを作り始めて以来、限りない親しみと感謝の気持ちを込めて、この地球で共に生きる魚たちを「お魚さん」と呼んできました。
魚への感謝が半端ないです。海なし県と言われ揶揄される埼玉県において、この地球の水資源のことをここまで真摯に考え続けてきました。昨今騒がれるSDGsを言われるまでもなく実践し続けています。みんなにも見習ってほしい。
サスティナビリティ文脈だけでもなく、女性の活躍も著しく、その勢いは渋谷マルキュー(109)に匹敵するほど。2014年には女性チームによる女性向けヒット商品を開発しています。
「餌が臭い」「手が汚れる」など、釣りが女性に敬遠されがちな要因を女性目線で分析し、フルーティーな香料を配合した「アミ姫」を開発。手が汚れないチューブ型容器で発売し大ヒットした。
モーリス
なんだろう?と思ったあなたも絶対使ってる。あの有名ライン"VARIVAS"を作ってます。
会社名:株式会社モーリス
本社 :埼玉県入間市
創業年:1980年
概要 :VARIVASブランドを主に釣り糸などを販売
釣りの楽しみ方は人それぞれ。ゆったりと自然を満喫するもよし、サイズや数で競うもよし。...ところで、日本において釣りで競う「ゲームフィッシング」が公性を帯び始めたのはいつなのでしょうか?
日本のゲームフィッシングの歴史は、1980年代の2つの“事件”により幕を開ける。1つは1980年、モーリスが日本初のIGFA規格ライン「VARIVAS」を世に送り出したことである。IGFA(国際ゲームフィッシュ協会)は、釣りを健全なスポーツとして発展させるために、釣具や仕掛けなどを細かく規定したIGFAルールを定め、世界規模で釣魚記録を認定する団体だ。ラインにも強度に関する厳密なルールが規定されている。当時、規格に適合した外国製のラインはあったものの、日本製のIGFA規格ラインは皆無だった。
答えは1980年、モーリス社がVARIVASを生み出してから、です。釣り市場に熱量を投下した立役者といえます。
ザップ
ここまでくると難易度は上がってまいります。日テレの朝のニュースかな?違います。多分これもまた、意図せずあなたの釣りギアに紛れ込んでるはず。まるで東京で飲み会をしていると、気づけばみんな埼玉県民だった、というように、ひっそりと。
リーズナブルなウェア、シューズなどを展開するPazdesignブランドです。
会社名:株式会社ザップ
本社 :埼玉県川口市
創業年:1994年
概要 :Pazdesignのブランド名で各種釣具展開
Pazdesignはもともとフライウェア作りからスタートしたようです。
かくいうぼくも、渓流釣行に使える、軽量でかつ市街をあるいても問題なさそうなシューズを探していた時に、パズデザインのシューズが手頃な価格だったので購入しました。
五十鈴工業
最後、こちらを紹介させてください。戦後まもなく創業され、現存する日本最古かつ唯一のリールメーカーと呼ばれる(もはや歴史が深すぎて釣り業界がどうだったかという証跡も残っていないので真実は魚のみぞ知る)五十鈴工業です。
会社名:五十鈴工業株式会社
本社 :埼玉県川越市(正確には工場)
創業年:1949年
概要 :現存する日本最古のリールメーカー
業界の黎明期から技術で釣りを支え、1960年代からは海外大手リールメーカーのOEM生産も開始していました。
実はこの会社、2020年のまさにコロナ禍の真っ只中、その長い歴史に幕を閉じてしまいそうになっていました。
そんなところ、渓流ベイトフィネスの初期の実践者、やまけんさんの経営される株式会社TRYALL(トライアル)に事業承継され、今なお今も歴史ある日本製の"オールドリール"生産に日々奮闘されています。
つまり、現在は正確には埼玉県の会社ではないのですが... やまけんさんの先代の方々への想いもあって、会社名もそのままとなっています。
実は川越はリール工場がすごくて、もう一つ、歴史的に重要なリールメーカーがありました。大森製作所といいます。
会社名:大森製作所
本社 :埼玉県川越市
創業年:1952年
概要 :現在のスピニングリールの世界標準ハイポイドフェースギアを開発
現在のスピニングリールの世界標準ハイポイドフェースギアを開発し、当時名作と言われたダイヤモンドリール「Mi-CON」などを産みました。
1990年初頭には歴史に幕を閉じるのですが、ダイヤモンドリールの設計者であった「大森新太郎」氏は、今なお五十鈴工業の設計主任として従事されているそうです。なお事業に関しては上州屋に吸収合併されたとか。
川越リール物語、奥深いですよね。
年表でまとめるとこんな感じです。
ぼくも五十鈴リールを使っています。効率性だけでは無い、"道具の良さ"というものを五十鈴リールに教えてもらいました。それをきっかけに和竿に出会うことになったので、全ての歴史に感謝しています。
そんな五十鈴リールを和竿と組み合わせると、埼玉の釣り産業の歴史を背負って釣りをしているようで、胸が熱くなります。
以上です!
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