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「人生を賭けてやりたいこと」なんて、なくていい。〜”好きなこと”コンプレックスの克服法〜

「好きなことで、生きていく」

数年前のYouTubeのコピー。バズりましたね。

好きなことだけやって生きていけたら最高ですよね。
というか、生きていけるほど極めた「好きなこと」「やりたいこと」がある人ってすごいですよね。

世の中には少なからぬ数、「やりたいことなんて特に何もない」という人がいて、このコピーは「趣味=寝ること」な私のコンプレックスをバッチバチに刺激した。

「自分探しの旅に出よう」

20年ほど遡って(数えて驚愕した)2000年。私が小学校5,6年生の頃、「総合的な学習の時間」が全国の学校で開始された。

基礎科目の学習と異なり、体験学習や課題解決型の実習を行うもので、その内容は学校ごとに違った。(みんな覚えてる?)

私の通っていた小学校では、忘れもしない「自分探しの旅に出よう」というポエミーなテーマを扱った。自分のやりたいこと、ひいては「将来の夢」について学び、発表するという時間に当てられていた。

サッカー選手!消防士!お花屋さん!などなど挙がる、同級生たちのかわいらしい将来の夢。

夢を実現するにはどうしたらいいのか?具体的なルートを調べて発表したり、地域のお店で職業体験させてもらいレポートしたりと、結構ステキな授業だったと思う。

でも私にとっては、地獄の時間だった。

やりたいこと?将来の夢?

そんなものはないし、今決めなくてはならないのか

そして先生に聞かれた、「斉藤さんの、好きなことは何?

??好きなこと?
趣味は児童小説を読むことだったけど、別に作家になりたいわけじゃない。

適当に「あれになりたい!」と言えない残念な子どもの私は、その後泣くほど悩んだ。

世界に一つだけの花コンプレックス

どうして私には、「好きなこと」がないんだろう?

中学生になって、それはより顕著になった。

SMAPの「世界に一つだけの花」がダブルミリオンヒットとなり、「ナンバーワンよりオンリーワン」という風潮がさらに加速。

頑張ればナンバーワンにはなれても、趣味も特技も「好きなこと」すらない私が、オンリーワンになんてなれる気がしなかった。

好きなアイドル、好きなキャラクター、好きなブランド、部活、先輩。クラスメイト達は自分の好きなことの話に夢中。

私はというとおもしろフラッシュ倉庫」と「ぱどタウン」、「Shockwaveゲームしか好きなものなんてなかった。  

高校生では進路、大学生では就活。

ずっとずっと「あなたは何がしたいのか?」と問われ続ける。

寝たいよ!
ひたすらにふかふかお布団であったかい日の光を浴びて、ポテチ食べてアニメ見て、好きな時に寝られる生活がしたいよ!!!

適当に働いてたくさんお給料がもらえて、お休みがたくさんある仕事がしたいよ!!!

好きなことがないと、振られる。

もちろん就活は失敗した。(当たり前である)

2年働いていたブラック企業(なんて言ったら拾ってくれたのに申し訳ないが)を給与未払いで辞めて、近所のケーキ屋でバイトでもするか〜と思っていた頃、当時の彼氏に

「お前の人生、それでいいの?やりたいことはないの?」と言われた。

そして振られた。

え???やりたいことがないと、好きなことがないと、恋人にすら振られるの???

もちろんそれが直接の理由ではない(多分)が、当時結構な衝撃だった。

振られたこと以上に「やりたいことがない人間は、人として魅力がないのだ」という、小学生の時からの闇を引っ張りあげてしまった。

25歳メンヘラ無職、爆誕である(震え)。

趣味もない、特技もない、学歴も、キャリアも、恋人も、お金もない、夢も希望もない。

でも、プライドだけは人の二万倍くらいあった。

こんなに世の中から認められないけど、コンプレックスだらけだけど、自分のことはもしかして大好きなのでは?と気づいた。

こんな状態なのに、少しも死にたくなかったから。

ありのままの私を、愛せよ!誰か!!

全然死にたくはないし、「好きなこと」を問い続ける世の中にとにかくムカつくし、実家にお金を入れたり奨学金を返済しなくてはならなかった。(真面目)

好きなこととかもうよく分からないけど、必要なお金を稼げない、人に迷惑をかける自分は嫌いだな。

自分の好きな自分でいたい。

諸々長いので端折るが、ここから突然人生の勢いがついて、モデルになって副業でWeb編集になって、旦那と出会って、IT企業で働くようになって、スマホ動画タレントもはじめて、結婚した。

何かを得るためには、全部を賭けなきゃダメ?

自分のリソースをフル投入しないと、本当に大きな結果は出せない。

仕事と趣味の境い目がなくなるほど好きなことがないとダメってことだ。

人生の全てをやりたいことに費やす、ワークアズライフは自由なようでとても厳しい思想

でもそもそも、人類皆そんなに大きなことを成し遂げなきゃいけないんだっけ?

私たちは「自分探し」「オンリーワン」「好きを仕事に」と、情報強者からたくさんのルートを発信され続けて、結果ごく少数のルートしか選べない自分を酷く矮小なもののように感じるようになってしまった。

好きなことなんて自分と旦那さんだけでよい

正直私は今、毎日旦那さんにすりすりしていられれば、それだけでしあわせ。

のろけではなく(のろけだけど)、自分の軸は「旦那さんと自分、家族が健康で幸せであること」に固まった。

め、めちゃくちゃ普通〜〜!!

明るくて広いおうちに住むために頑張って働くし、旦那さんと対等でいるために成長し続けたいし、生まれてくる子どものためにキャリアを積みたい。

「他者依存は本当の幸せじゃない」「心の中軸を他人に預けるべきでない」って言う人もいるだろうけど、「何を差し置いてもすりすりしたい!」って思う人が毎日隣にいるの最高ですよ。

私の「自分探しの旅」は20年かけてようやく終わったようです。(ポエム)

好きなものが、寝ることと酒と彼氏しかないって人。
夢も特技も何もないって人。

「自分が一番しあわせ」な状態は何か?
それを維持するために必要なこと、今できることは何か?

キャリアの軸なんて、それだけで大丈夫。
自分だけのしあわせを、強く楽しく妄想しよう。

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