「IP」はあなたの隣に存在している⁈
昨今、多くの企業から「これからは自社でIPを作り出さないと」という声を聞きます。
特にエンタメ業界において、著作ではなく制作業務を担当する会社さんはますますその思いを強めていると感じます。
誰もが欲しがる「IP(知的所有権)」。
さて、そもそも「IP」とは何なのか?
今回はそれをテーマにしてみたいと思います。
“IP=コンテンツ著作物“だけではない⁈
これまでエンタメの世界に軸をおいてIPの話をしてきましたので、IPと言えば、音楽や物語やキャラクターなどのいわゆる「コンテンツ著作物」というイメージがあるかと思いますが、実はIPは何もそのようなエンタメ業界的な「コンテンツ著作物」ばかりではないのです。
皆、ライセンサーになりたい。あの有名企業もそうだった!
ライツビジネスにおいてはご存知の通り、ライセンサー(ライツを保有し許諾を与える側)とライセンシー(許諾を受けて商品を製造販売する側)という2つの存在があります。
前述の「自社でIPを作り出したい」と考えられているのは「ライセンシー」の立場にいらっしゃる会社さんが多いです。
そして、私がお世話になっている方から教えていただいたのですが(この一連のエッセイを読んでご連絡をいただき)、あの「タカラトミー」も実は同じだったのです!
社内常識を打ち破る社長のつぶやき
ある時、トミー(当時はタカラトミーになる前)の3代目冨山社長(現会長)が役員会議で、ふと、あるつぶやきを漏らされたそうです。
「うちはこんなにも多額のロイヤリティを支払うばかりで、なんでロイヤリティ収入が無いのだろう・・・」
当時トミーはディズニーを筆頭に、特に海外のキャラクターライセンサーへ多額の商品化使用料を支払っていました。
当時は、オリジナル商品に人気のあるキャラクター編集(ディズニーキャラクターなど)をすることにより、バイヤーの目に留まりやすくなり、それによって市場に受け入れられる、という商業構造の時代。
トミーにおいては、ロイヤリティとは「支払うもの」というのが常識だったそうです。
そこで真逆のミッション!
ここに、トミーがライセンシーからライセンサーになる逆転の歴史の第一歩が記されたのです。
奇跡の共鳴⁈トミカとプラレールが「生地」と「かまぼこ」に!
当時のトミーの代表的なオリジナル商品と言えば誰もが知っている「トミカ」と「プラレール」(これについても、実はIP活用商品としての面白い話がありますのでいずれ)。
この二大ブランドがIPライツビジネスの対象となりました。
組織されたIPライツビジネス開発のメンバーはたった3名ほどだったそうです。
まずはディズニーに倣ってスタイルガイドを作り、営業は飛び込み営業やライセンスショーの商談会に立場逆転で出向いたりしたとのこと。
そこに登場したのは、生地メーカーのコッカさんと小田原のかまぼこメーカーの鈴廣さん。
トミーとしては、全く想定外の相手。
しかし、この奇跡の⁈共鳴によって、今も成長を続けるライセンサーとしてのトミー(現タカラトミー)の歴史は始まったのです。
ちなみに、両社とも今も途切れることなく契約が続いているそうです。
IPを生み出すとは?
IPが生まれるとは?
その方法やキッカケは色々あるのでは―――
これについては、引き続き紐解いていきたいと思います。
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