物語のタネ その七『けもパンファイトクラブ #47』
スーパーフライの渾身の嘴突き!
その嘴を両手でガシッとペケ丸は掴んだ。
うむぐぐぐっっ
スーパフライが何か声を発しようとしているが、何を言っているのかはさっぱり分からない。
「ペケ丸、この瞬間を待っていただに、きっと」
グレートかもはしが感心したような声を漏らす。
え?どういうこと?
「いくら俊敏な動きが出来るペケ丸でも、傷の癒えていないあの体では、空中まで含めて自由に動き回るスーパーフライの動きを捉えるのは無理だに」
確かに。
正直リングに立っているのが不思議なくらいだからな、実際は。
「そこで、最小限の動きで攻撃をかわしながら、徐々にスーパーフライの動きが小さくなるように導いて行っていたのだに」
なるほど!
「最後は細かい突きに比べて格段にスピードの遅い一撃を誘って、そこをガシッと捕まえたわけだに」
すごいなグレート、そんな分析がすぐ出来ちゃうなんて。
吾輩はリングのペケ丸に視線を戻す。
お前、天才ファイターだな、ペケ丸。
ここから一気に決めちゃえ!
「さて、ここからどうするかな」
ペケ丸が右側の口端を歪めてニヤリとする。
うむーぐむぐむむっ
「何言ってのかわからねえよ。もっと腹から声出せや」
ドスドスドス!
重たい打撃音!
むぐぐぐっうむぐぐぐむっつつつつ
スーパーフライの嘴からうめき声。
大きな翼に遮られて見えないが、どうやらペケ丸がスーパーフライの腹に強烈なトゥーキックの連打を浴びせたようだ!
「まだまだまだ!いい声出すにはもっと腹筋、鍛えねえとな」
ドスドスドスドスドスドドドッドス!
さっきよりも長く強いキックの連打だ。
スーパーフライの嘴から苦しそうなうめき声が漏れ、目が見開かれる。
ロープを握っていたスーパーフライの手が離れた。
「なんだよ、しっかり握ってろよ、根性ねえな」
ペケ丸のキックは続く。
ロープから離れたスーパーフライの体が、蹴られる度にちょっと浮き上がる。
ペケ丸のキック、やっぱ強いな。
観ている方もイタタタってなっちゃうよ。
蹴られる勢いが凄いせいなのか、二人の体が徐々にコーナーを離れてリング中央にずれて来る。
何発のキックをしたのか分からないが、今や二人はリング中央に。
ペケ丸の蹴りが止まった。
両手はスーパーフライの嘴をガッシリと握ったままだ。
「ふん、蹴ってるばっかじゃ飽きちゃうな。お前もそうだろ?」
そう言うと、嘴を握る腕にグッと力を込めた。
嘴を握ったまま、後方へスープレックス!
嘴を握られたままスーパーフライは背中からリングに叩きつけられた!
うむぐぐむっ!!!
再びスーパーフライの嘴からうめき声が漏れる。
ペケ丸は、すかざず嘴をグッと引いてスーパーフライを起き上がらせる。
そして再び、今度は反対方向へスープレックス!
ドシシッシーン!
スーパーフライの体が再びリングに叩きつけられた。
「スープレックス。プロレスの中でも花形中の花形の技。トップ人気レスラーはそれぞれのフィニッシュホールドとして自分のスープレックスを持っていることが多い。ルーテーズのバックドロップ、カールゴッチのジャーマンスープレックス、ハーリーレイスのブレーンバスター、ビルロビンソンのダブルアームスープレックス、藤波辰爾のドラゴンスープレックスなどが有名」
ハム星さんがスマホから顔を上げてニヤリ。
Chugleで検索した情報ですね、ありがとうございます。
最近登場していなかったので、ちょっと存在感を出したかったんですね・・・。
「さて、そろそろフィニッシュだな」
ペケ丸がつぶやく。
いよいよ勝利の時が!
と、あれ?ペケ丸、顔色が・・・。
・
・
・
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?