物語のタネ その七『けもパンファイトクラブ #47』

吾輩は猫である。
名前は、もうある。
ピケ丸、である。
動物達の格闘技リーグ“けもパンファイトクラブ“ファイター
vs
恐竜たちの亡霊“ゴーストザウルス“。
地球生存権をかけた“哺乳類vs恐竜“の5vs5のサバイバルマッチ。
第1戦はゴーストザウルス側に、第2戦はけもパンファイター側に。
第3戦は、カモノハシのグレートかもはしがユタラプトルのジャッキー・アーツに勝利!
これで哺乳類チームの2勝1敗に。
第4戦、ペケ丸の相手はプテラノドンのマスクドスーパーフライ。

あらすじ

スーパーフライの渾身の嘴突き!
その嘴を両手でガシッとペケ丸は掴んだ。

うむぐぐぐっっ

スーパフライが何か声を発しようとしているが、何を言っているのかはさっぱり分からない。

「ペケ丸、この瞬間を待っていただに、きっと」

グレートかもはしが感心したような声を漏らす。

え?どういうこと?

「いくら俊敏な動きが出来るペケ丸でも、傷の癒えていないあの体では、空中まで含めて自由に動き回るスーパーフライの動きを捉えるのは無理だに」

確かに。
正直リングに立っているのが不思議なくらいだからな、実際は。

「そこで、最小限の動きで攻撃をかわしながら、徐々にスーパーフライの動きが小さくなるように導いて行っていたのだに」

なるほど!

「最後は細かい突きに比べて格段にスピードの遅い一撃を誘って、そこをガシッと捕まえたわけだに」

すごいなグレート、そんな分析がすぐ出来ちゃうなんて。
吾輩はリングのペケ丸に視線を戻す。
お前、天才ファイターだな、ペケ丸。
ここから一気に決めちゃえ!

「さて、ここからどうするかな」

ペケ丸が右側の口端を歪めてニヤリとする。

うむーぐむぐむむっ

「何言ってのかわからねえよ。もっと腹から声出せや」

ドスドスドス!

重たい打撃音!

むぐぐぐっうむぐぐぐむっつつつつ

スーパーフライの嘴からうめき声。
大きな翼に遮られて見えないが、どうやらペケ丸がスーパーフライの腹に強烈なトゥーキックの連打を浴びせたようだ!

「まだまだまだ!いい声出すにはもっと腹筋、鍛えねえとな」

ドスドスドスドスドスドドドッドス!

さっきよりも長く強いキックの連打だ。
スーパーフライの嘴から苦しそうなうめき声が漏れ、目が見開かれる。
ロープを握っていたスーパーフライの手が離れた。

「なんだよ、しっかり握ってろよ、根性ねえな」

ペケ丸のキックは続く。
ロープから離れたスーパーフライの体が、蹴られる度にちょっと浮き上がる。
ペケ丸のキック、やっぱ強いな。
観ている方もイタタタってなっちゃうよ。
蹴られる勢いが凄いせいなのか、二人の体が徐々にコーナーを離れてリング中央にずれて来る。
何発のキックをしたのか分からないが、今や二人はリング中央に。

ペケ丸の蹴りが止まった。
両手はスーパーフライの嘴をガッシリと握ったままだ。

「ふん、蹴ってるばっかじゃ飽きちゃうな。お前もそうだろ?」

そう言うと、嘴を握る腕にグッと力を込めた。
嘴を握ったまま、後方へスープレックス!
嘴を握られたままスーパーフライは背中からリングに叩きつけられた!

うむぐぐむっ!!!

再びスーパーフライの嘴からうめき声が漏れる。
ペケ丸は、すかざず嘴をグッと引いてスーパーフライを起き上がらせる。
そして再び、今度は反対方向へスープレックス!

ドシシッシーン!

スーパーフライの体が再びリングに叩きつけられた。

「スープレックス。プロレスの中でも花形中の花形の技。トップ人気レスラーはそれぞれのフィニッシュホールドとして自分のスープレックスを持っていることが多い。ルーテーズのバックドロップ、カールゴッチのジャーマンスープレックス、ハーリーレイスのブレーンバスター、ビルロビンソンのダブルアームスープレックス、藤波辰爾のドラゴンスープレックスなどが有名」

ハム星さんがスマホから顔を上げてニヤリ。
Chugleで検索した情報ですね、ありがとうございます。
最近登場していなかったので、ちょっと存在感を出したかったんですね・・・。

「さて、そろそろフィニッシュだな」

ペケ丸がつぶやく。
いよいよ勝利の時が!
と、あれ?ペケ丸、顔色が・・・。


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