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風が運ぶもの

夜の静寂が訪れる頃、
一陣の風が、過去の記憶を運んでくる
何の前触れもなく、胸に触れるその風は
忘れたはずの痛みや後悔を呼び起こす

心がざわめき、かつての感情が蘇っては
吐きそうになる自分が風に乗って
嫌な思い出に一瞬で胸を支配される
心の平穏が揺さぶられ、不安が顔を覗かせる

怯えにも似た感情が覆いかぶさり
過去に縛られるみたいだ
先ほどまで緩やかに流れていた風が
酷く冷たく、荒く吹く

フラッシュバックは自分をどこまでも沈め
言葉にならない感情で埋め尽くされてしまう

「今の君なら、もう大丈夫だよ。」
そう言い聞かせながら、風の中を立ち止まる
不安は次第に消え去り、心には穏やかな風が流れた

風が静まる頃には、
あの頃の記憶はどこかへ消えて
あの時の自分を超えて、
今、確かに成長している自分がいる

過去の風はまた訪れるかもしれない
けれど、そのたびに
今のあの頃の自分とは変わったんだと
風が過ぎ去る度に、
前に進むための新たな力が芽生える


あとがき
突然思い出すつらい過去
フラッシュバックに心が痛む
その過去にザワついては
乗り越えられない過去が僕を沈める
ただ時が過ぎ去ることだけを願った

僕を覆う風はいつもつらい過去を運んできては
過ぎ去って、また忘れた頃に戻ってきて
僕をどこまでも苦しめる・・・

でも僕はあの時よりも変わっている
確実に、ちゃんと僕を僕として生きている
もう、大丈夫なんだ!

儚く/美しく/繊細で/生きる/葛藤/幻想的で/勇敢な 詩や物語を作る糧となります