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取材◆神戸 六甲山-2022/05/18

これは、今年の11/23(水)まで開催中の六甲山「シダレミュージアム」にて展示中の、風景作品を制作するにあたっての取材日記である。




きっかけは、今年の4月。
梅田 茶屋町のイベントで風景作品を展示しながらグッズを販売していたところ、六甲山観光株式会社の担当者の方が資料を持って訪ねてきてくださり、そこから六甲山の風景を描かせていただけることになった。
今日はその取材で六甲山へ行く。

朝7時に家を出た。
阪急ユーザーなので六甲山までお得に行ける「六甲・まやレジャーきっぷ」を買い、阪急六甲駅からバスでケーブルカーの駅へ。

会社を退職してから1年、すっかり夜型になってしまい久しぶりに早起きしたので、大変眠く頭はクラクラ、体がフワフワ胃が痛い。しかし、ケーブルカーに乗っている途中の景色と空気の綺麗さに、急に目が冴えた。

ケーブルカーを降りてバスに乗り換え、9:30にガーデンテラス着。
クライアントさんを待つ間、体調をととのえるべく自販機で温かい烏龍茶を買って飲む。空気が透き通っていて、眼下に広がる壮大な景色を見ていたらすっかり元気になった。

六甲山は、関西でも有名な観光地だ。
私自身も小さい頃、六甲山牧場やカンツリーハウス、六甲高山植物園、YMCAの宿舎などにお世話になった。他にも、グランドホテル六甲スカイヴィラ、ROKKO森の音ミュージアムなど様々な施設が点在しており、何日でも楽しめる。
小さい頃から親しみのある場所を描かせていただけるのは嬉しい。

ガーデンテラスで担当の方と落ち合ってから、徒歩3分ほどの六甲枝垂れに向かう。3年前に六甲ミーツ・アートを鑑賞しに来たことがあり、懐かしさを覚えつつ、この奇妙で魅力的な建築の中へ足を踏み入れた。

現地で説明を聞いていると、とても元気な観光客のおばさま4人組と出会った。彼女らとクライアントさんの応酬に癒されつつ、六甲枝垂れの由来や仕組みなどをご教授いただく。風景が魅力的な「グラニットカフェ」や、遊牧民族の移動式住居"パオ"を模したという「六甲山ジンギスカンパレス」も見学させていただいた。阪急電鉄の会長だった清水雅氏が、戦前の北京で食べたジンギスカン料理に感銘を受け、よく夏の避暑に訪れていた六甲山で提供したのが始まりとのことである。

今回は、展示会場である六甲枝垂れと、そのまわりの六甲山の風景を描く。一通りご案内いただいた後、どの場所を選ぶかなどを大まかに確認し、クライアントさんと解散した。午後からは一人で六甲山の資料写真を撮影する。

夜になると暗くて何がどうなっているのかわからなくなるため、日があるうちに撮らねばとしばらく歩いていたが、シャッターを切った瞬間、観光客の面前で派手にお腹が鳴り、赤面しながら「六甲フードテラス」へ駆け込む。せっかくなので名物のジンギスカンカレーを注文。尾道の時と変わらずひとりめしは苦手なのだが、景色が広く開放的なテラスでいただくと意外に大丈夫で、美味しいジンギスカンをじっくり味わった。

昼食を終えて、もう一度六甲枝垂れへ。
建築とオブジェ両方の顔を併せ持ち、複雑かつ単純でもある形状をしている。影も特徴的なのでどの角度が良いのか決められず不安だ。画角に収めるのが難しく、iPhoneと一眼でひたすら撮った。

ガーデンテラスへ降りると、朝はけぶっていた街の景色が少しずつはっきり見えてきている。春の山頂は、光が綺麗だ。「見晴らしの塔」「コッテージガーデン」などを巡り、一通り昼の撮影を終えたところで、お土産屋さんを転々と物色し、いくつか購入した。会社員時代に物産のデザインに携わっていたこともあり、その土地のお土産コーナーを見るのはとても楽しい。

店を出るとちょうど上りのバスが来たので乗り込み、次の停車駅かつ終点の、六甲有馬ロープウェー山頂駅へ行ってみた。
まわりに何もなさそうなので、そのままバスで引き返し、ガーデンテラスを通り過ぎて記念碑台駅で降りる。クライアントさんが教えて下さった、六甲山の動植物について勉強できるという「六甲山ビジターセンター」に行ってみたかったのだ。

惜しくも僅差で閉まっていたが、その近くの「六甲山ガイドハウス」で気さくなスタッフのおじいさまが話しかけてくださり、六甲山は鹿がいないので多様な植物が食い尽くされずに残っていることや、野生のリスが年に3回ほど見られることなどを教えてもらう。生息する動物の剥製や、季節ごとの植物の資料なども拝見した。お礼を言って別れ、六甲山を拓いたアーサー・ヘスケス・グルームの像を撮っていたら、再びさっきのおじいさまがやってきて「六甲山蒸留所」をおすすめしてくださる。行ってみると閉まっていたが、魅力的な建物だった。

ケーブルカーを撮るため再びバスへ乗り、六甲ケーブル山上駅へ降りる。

「TENRAN CAFE」のある展望台に上ってしばしうろうろしたが、勇気が出ず店には入れなかった。六甲山のお食事どころは、どこも絶景で素晴らしい。

ケーブルカーの駅で、スタッフの方に改札の中でケーブルカーを撮って良いか聞いてみると、話がいっていなかったようで混乱させてしまい、大変申し訳なくなる。なんとか許可をいただき写真を撮らせてもらい、あわあわお礼とお詫びをしながら再びバスでガーデンテラスへ上がった。夜景を撮りたいが、スマホの充電がもうあと少しだ。モバイルバッテリーも尽きてしまった。どうしよう。

日の入りの18:59まで時間があるので、「六甲ビューパレス」にて夜ご飯を食べることにした。ひつじのショーンのかわいいコラボメニューとかなり迷ったが、結局ガッツリとしたグリルチキンに。この食い意地が腹をたくましくする。

スープとパンをつけてもらい、見晴らしの良い席に陣取ると、もはや貴族の食卓である。高台の城で、皮目がパリッと焼かれたチキンをいただく。スマホの電源が無いのと、外が寒くなってきたので、こちらでしばしぼ〜っと過ごした。

暗さがなかなか進まないが、夕焼けの光が見えてきたので再度ガーデンテラスへ。

オレンジ色に染まっていてとても綺麗だった。いちゃつくカップルや黄昏ている仲良しグループを尻目に、一眼を持ってひとりでうろうろする。
夜景を待つのが初めてで、日の入り後すぐに真っ暗にならないことも初めて意識した。朝ぼらけのように白く淡く街がぼやけていく。

じっと待っていると、ようやく暗くなってきた。夜景をみている人々はみんな楽しそうで、寂しくなってきたため人のいない場所をさがしてうろうろ彷徨う。グラニットカフェ横の大階段が貸切状態だったので、そこへ陣取った。資料写真は昼間撮ったもので十分だが、一眼で夜景の写真を撮る機会が滅多に無いので、色々試す。

そろそろ帰ろうかとバスの時刻表をみると20:00の便しかなく、20分ほどその辺をうろうろして待つ。気温がかなり下がってきたので、お土産屋さんの中でひっそり待たせてもらった。

山上バスを降りてからケーブルカーはすぐに接続したが、そこから阪急六甲駅へ向かうバスが25分後に来るらしく、途方に暮れる。ケーブルカー駅周辺は真っ暗な住宅街だ。歩こうと思えばできるのだが、スマホの充電がここで0になったので地図が調べられず、寒さと虫に慄きながらひたすら待った。延々と待つかと思われた時にバスが来て、無事に阪急六甲駅へ。山上と打って変わって空気があたたかく、灯りがたくさんある見慣れた光景に心がほっとした。

23時前に家に着き、のろのろと数時間かけてお風呂とドライヤーを済ませて就寝。これから描くのが楽しみだ。

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