プレジデント社の記事にメディアドゥの社長が激おこしている件
本日は年間を通しても指折りレベルの忙しさの日でした。
身バレしない範囲で定量的に書くと、本業の投資の契約調整の会議をこなしつつ、専門用語がチンプンカンプンな社内システムの刷新会議を何とかキャッチアップし、コンサル契約のクライアントの相談電話を実に49本こなして夜に至ります。
ということで、本日のnoteは小ネタを書いて終わろうと思います。
先週、プレジデント社の記事で興味深い記事を見つけました。
平均勤続年数ワーストランキングなる不名誉なランキングで1位になっている、メディアドゥという会社は電子書籍を取り扱う会社です。
積極的なM&Aを行っていることで知られており、事業投資を仕事にしている仲間うちではかなり有名な会社です。
成長著しいIT業界の会社とはいえ、設立も20年以上前とそれなりに歴史もある地に足のついた会社で、それほど人の出入りが激しいわけではないという認識だったので、メディアドゥがこのランキングで1位になっていることに個人的には少々違和感を持ちました。
M&Aを積極的にやっているから親会社と子会社の間での転籍とかそういうのが原因なんだろうか?と仮説を持ちながら記事を読み進めていると、案の定の答え合わせが記事の中に書かれていました。
2017年の『出版デジタル機構』の買収は、資本金約9億円のメディアドゥが資本金約13億円の会社を買う、すなわち「小が大を買う」といった異例の買収で大きな話題になりました。
上場会社としてのメディアドゥをメディアドゥホールディングスという持株会社に社名変更し、メディアドゥという名前の会社を新たに事業会社としてホールディングスの子会社としたのが2017年の9月、
そうして生まれたメディアドゥと買収した出版デジタル機構をホールディングス子会社同士で合併し、法人としては出版デジタル機構を存続させつつもメディアドゥの社名を残したのが2019年3月、
事業会社のメディアドゥを親会社のホールディングスが吸収合併し、改めてメディアドゥという社名でリスタートしたのが2020年6月という、ダイナミックな再編スキームを実行しています。
このようにまとめて書いてしまうとごちゃごちゃして分からないという方もいらっしゃるかと思いますが、要するにメディアドゥという社名と、ビジネス内容と、顧客サービスはそのままにしつつも、会社としての枠組みは紆余曲折を経て直近2020年6月にリセットされているというものです。
ここまで書けば皆まで言わずとも察してくださる方も多いですが、メディアドゥの中核で働いていた現場従業員の方々は、2017年に勤続年数がリセットされ、2019年にも勤続年数がリセットされ、2020年6月にも勤続年数がリセットされているわけです。
今のメディアドゥは、母体としては2017年にできたホールディングスなわけですが、ホールディングスの社員などというのは基本的にお偉いさんしかいないわけで、とどのつまり2020年6月に合流してきた勤続年数がリセットされた社員が今のメディアドゥ社員の大多数を占めているということです。
こうして考えると、メディアドゥの勤続年数が短くなるのはごくごく当たり前のことで、それを取り立ててワーストだの最短だのと、あげつらうように記事に書くのはいささか不誠実なようにも思えるわけです。
ちなみにメディアドゥの社長は何か言ってるだろうかと思ってFacebookを調べてみたら、案の定激おこでした。
Facebookの内容をそのまま引用するのは憚られるので各自見ていただければと思うのですが、社長の激おこはそのまま会社ホームページのニュースリリースにも反映されていましたので、そちらを引用します。
少子化で人材採用難が叫ばれる世の中で、平均勤続年数ワーストトップなどというのは、採用に直接悪影響を与えかねない話であり、会社として抗議するというのも至極当然なように感じました。
プレジデント社のこの記事は、極めて機械的な処理でランキングを作成されており、分析的な話や筆者の評価は意図的なのではないかというレベルで排除されているような印象を受けます。
こうした抗議を予期していたのかどうかはわかりませんが、抗議を受けたところで、「仰ることはわかるのですが、事実上データとしてはこの通りなものでして・・・」などと言い逃れができるという意味でずる賢いやり方だなと思います。
同じ筆者の別の記事では、「年収が低い会社ワースト1位は小売りスーパーの持株会社」などという記事もありました。
先ほども書いた通り、持ち株会社の社員というのは基本的にお偉いさんしかいないわけで、つまり年収200万円というのは事業会社でも給料をもらっているお偉いさんの副収入なわけです。
これでもってワースト1位と書いてしまうのは実情を正確に理解していない勘違いした読者をいたずらに生むことになります。悪質とまでは言わないまでも、なんとも無益でナンセンスな記事だなという印象を抱かざるを得ませんでした。
1位だのワーストだのと書く方が読者数が増えるためにこういうことをされているのかもしれません。同筆者の記事はここ最近そうした機械的なランキング記事ばかりなのですが、5年前くらいまでは様々なジャンルの分析的な記事を多く書かれていましたので、なんだか少し残念な気持ちになってしまいました。
本日は以上です。
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それではまた次回。
2022.2.25 さいとうさん
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