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いなくなってしまったフォロワーさんの話

彼女の歌声に僕は惚れこんだ。苦味あふれる低音と、身を擦切らせて発する高音を。プロの歌手も含めてとびきり心に残る歌声だった。

ツイキャスをみた僕はすぐさま彼女をフォローした。それからは陰ながら彼女のツイキャスを聞き、時々彼女のツイートにいいねした。

フォローバックが返ってきたときは嬉しかった。それからは彼女も僕のツイートにいいねしてくれて、DMやリプライは互いになかったけれど、それでも、数少ないやり取りがあるフォロワーさんとして彼女はいた。もちろん、ツイキャスをするときは隠れて聞きに行き歌声に癒された。

彼女は困難を抱える人だった。彼女は関係を切る人だった。僕はつぶやきを読んでいるよっていう気持ちでいいねを押していた。

ある日、みるとtwitterのアカウントが消えていた。アカウントを消したようだった。

僕は彼女に語り掛けるべきたったのだろうかとも考えるけど、僕にできることはいいねを押すくらいだったというのは変わらない。でも、ふとしたときによく思い出す。彼女の歌声とともに。寂しいんだなって思う。声をかけていたら何かが違っていたとしたら。

もう、あの歌声は二度と聞けない。



この話を公開するかは迷ったが、ひとつ、伝えたいことがあって。

袖振り合うも他生の縁という言葉があります。僕は、sns上の緩いつながりであっても、僕とかかわってくれた人、全員の幸福を願っています。僕は、何もしないかもしれないけど、幸せを願っている、そんな人が一人はいるんだと思ってくだされば幸いです。

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