沖 青磁

女です。1000字程度、ちょっとした空き時間に読める小話エッセイを書いてます。毒にも薬…

沖 青磁

女です。1000字程度、ちょっとした空き時間に読める小話エッセイを書いてます。毒にも薬にもならない駄文が目標! 1記事で1苦笑(?)して頂ければ幸せです。書き溜めた長編小説をどうやって世に出すか思案中。

マガジン

  • 個人的格納庫 後ほど読ませて頂きます

    時間のある時にじっくりゆっくり読みたい記事を入れてます。 移動中などに少しずつ読ませていただきますので、亀の歩みです。

  • 届けてくれてありがとう《大切な人の、大切な思い》

    気安くコメントできないけれど、心に残った記事の数々。大切に読ませていただきます。

  • 美しい青磁色の世界

    大好きな青磁の焼きもの、その他美しい青色にまつわる記事を集めています。

  • 勇気・元気をいただいた記事

    クリエーターの方々の、さまざまな考え方やプロフィールをまとめています。 よし頑張るぞって思えます。

  • こらえきれない笑い

    一人で笑っても大丈夫な場所で読むことをお勧めします。

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小話エッセイ/兄の愛読書が「赤毛のアン」であると知ったとき①

想像していただきたい。 20歳、ニキビでお悩み、彼女いたことナシの実家暮らし、 京大文学部に現役合格したくせに突如休学、 東大医学部に入り直すと宣うイカレ変人であった兄の、 参考書まみれの自室の本棚の特等席(目線よりもちょっと上のど真ん中。ブックエンドで仕切ってある)に、 可憐な赤い背表紙の「赤毛のアン」シリーズ文庫本がズラリ並んでいるのを目撃した妹の心境を。 ――はあ? 赤毛のアンて。 かつてKOEIのファミコン「三国志」を対戦モードでやりたいがために、 まずは吉

    • 小話エッセイ/ウキウキ通りを行ったりきたり

      先日、noteで見かけた記事(どなたのものか控え忘れてしまいました、スミマセン)の一節が心に残っている。 その一節とは、うろ覚えだが  ――思っても詮無いことを、いつまでもグジグジと考えていた。 といったような内容の文章であったと記憶している。 グジグジ。最近はあまり聞かない、ちょっと懐かしい響きだ。 「くよくよ」とか「歯切れ悪く」といった意味合いで、上方落語なんかに出てきそうな良き言葉。 うだるような暑い午後に読んだせいか、書き手のやるせない感じが文面から伝わってく

      • 小話エッセイ/黑人魚(ブラックマーメイド)③ 完結

        ↓↓②はコチラ↓↓ ==事件翌日== 「黒人魚ったら、涙も枯れて出ないみたい」 クローゼット内では、お冬はじめ古参の洋服たちが心配そうな声を上げていた。 フランス生まれを誇った黒い生地は、やわらかくて繊細。空いた穴はどうにも目立って仕方なかった。 汚れた部分は御主人がそっと洗ったものの、絞ることもできず風呂場に吊るされたままである。 「お直しのお店に出すのかしら」 「そんな浪費ないわ。御主人は変わったの」 「エコバッグに生まれ変わらせるとか」 「カットソ

        • 小話エッセイ/黑人魚(ブラックマーメイド)②

          ↓↓①はコチラ↓↓ その日も、常と変わらぬ平凡な日曜として夕暮れを迎えるはずであった。 いつものイオン、いつものスタバ、そしていつものエッセイ書き。 恋愛エッセイは中止した。 読み手の冷笑がこちらに伝わってくるようで居たたまれなかった。 これまで書き溜めた長編小説も、きっと全部ダメなのだ。おしまいなのだ。ああ! ・・そんなネガティブな思考の流れさえ、いつも通りといえばそうであった。 「さて、と」 ノートパソコンを仕舞って立ち上がる。 夕方とはいえ外はまだまだ暑

        • 固定された記事

        小話エッセイ/兄の愛読書が「赤毛のアン」であると知ったとき①

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        記事

          小話エッセイ|黑人魚(ブラックマーメイド)①

          ==2023年7月某日== ~とあるマンションのクローゼットにて~ ーーねえ、ほらタグを見て?  「Fabric made in France」って書いてあるでしょ。 私こうみえてフランスで生まれましたの。 手触りがいいでしょう。 綿と麻、それにシルクがほんの少し入ったカットソー生地。 ま、それぞれの原料の由来は忘れたけれど、フランスに居たことは確かよ。 ーーえ? ラインがキレイだって? ホホ、お目が高いわね。涼しげな薄萌木色のブラウスさん。まあ、モエモエって呼ばれてる

          小話エッセイ|黑人魚(ブラックマーメイド)①

          エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 後編~

          ↓↓中編はこちら↓↓ 3.お花畑 (本文1259字) あのゴタゴタがあってから、暫くののち。 エッちゃんはお店を辞めていきました。 わざわざ私がお店にいる時を狙ってエプロンを返しに来た彼女。 たつ鳥跡を濁しまくりの心臓に、内心舌を巻いたものです。 「青ちゃん、ヒデと付き合ってくれてありがとな」 エッちゃんを見送った後、お店の奥さん(ヒデくんのお母さん)は言いました。 「これからもよろしくな」と。 けれど状況は変わりません。 私がお店に行けるのは、依然として土日の夕

          エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 後編~

          エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 中編~

          ↓↓前編はこちら↓↓ 2.エッちゃん (本文1271字) 大学に入って、一人暮らしにも慣れてきて、 生まれて初めて彼氏ができた・・。 まさに青春まっさかり。地に足のつかない毎日でした。 あまりにも無我夢中で、当時のことは断片的にしか思い出せないほど。 けれど、忘れたくても忘れられないのがエッちゃんとのこと。 「こないだ妊婦と間違えて席譲られてもうたわ」と笑う、チャーミングな方でした。 「青ちゃん、ちょっとエエか」 そんなエッちゃんに、文さんと茜さん。 バイトの先

          エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 中編~

          エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 前編~

          恋ーー。 それは一度迷い込めば、決して逃れられない秘密の花園。 この“思い出エッセイ・恋のあとさき”では、修羅場に二股、先輩方からのとっちめと、毎日が恋のジェットコースター状態であった若き頃をふり返りつつ考察して参ります。 (本文1289字) 1.咲いた咲いた 時は平成。所は京都。 駅前の生花店でバイトをしていた大学2年生の私・青子(19)が、 店の跡取り息子・ヒデくん(21)とお付き合いするに至ったお話です。 ヒデくんは近隣の商業大学に通う4年生。 卒業後は実家のお店

          エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 前編~

          小話エッセイ/助けをもとめた野球少年

          ◆助けをもとめた野球少年今朝、汗をかきながら駅まで来ると、 陽に焼けた中学生らしき野球少年たちが、改札前で大きな声を出していました。 「待って待って、コレどうやんの」 改札の外に取り残されたらしい男の子が慌てています。 「カード入れて、チャージってとこ押して」 改札を通過済の仲間たちが、それに応える。 「チャージじゃないよ。切符、どこで買えばいいの」 という男の子の言葉に、 「次を逃したら30分遅れになる」 「何してんの、あいつ」「どうするよ」 仲間たちの苛立った声が

          小話エッセイ/助けをもとめた野球少年

          今週も暑かったですね。 記事のなかでもお伝えしておりますが、これまで毎日更新していたエッセイは、週3回程度とさせていただきます。 次回は、今のところ8/1(火)予定です。 今後ともよろしくお願いいたします。

          今週も暑かったですね。 記事のなかでもお伝えしておりますが、これまで毎日更新していたエッセイは、週3回程度とさせていただきます。 次回は、今のところ8/1(火)予定です。 今後ともよろしくお願いいたします。

          小話エッセイ☆プロポリスキャンディによろしく

          ピンポーン。 下がって、係員にお知らせください。 隣で鳴った自動改札機の音声に、ドキリと足を止めた。 ーーよかった、私じゃなかった。 手元のスイカを確認して、ちょっと胸をなでおろす。 実は私は、何かを何かにかざすという動作が苦手なのだ。 何か欠陥があるのでは、と疑うほどである。 少しでも気を抜いていると、スイカをかざすべき改札機に、自宅のカードキーをあてがっている。 名刺入れをやるときもしばしばだ。 同じポケットに入っていたのだ、と言えばまだ許してもらえるかもしれな

          小話エッセイ☆プロポリスキャンディによろしく

          無人島の 天子とならば 涼しかろ (夏目漱石) こういうときに「禿同」と言うのでしょうか。投げやりのような、開き直ったような、でも可笑しみのある漱石の俳句が大好きです。 ※本日の小話エッセイはお休みです。

          無人島の 天子とならば 涼しかろ (夏目漱石) こういうときに「禿同」と言うのでしょうか。投げやりのような、開き直ったような、でも可笑しみのある漱石の俳句が大好きです。 ※本日の小話エッセイはお休みです。

          小話エッセイ/Googleの検索窓からみえたもの

          節操のなさを楽しんで頂ければ・・ ここ1~2日で、私が検索窓に打ち込んだ文言です。 「キングダム 69巻 ネタバレ」 最新刊の電子書籍をポチるべきか、悩んだ末の暴挙です。 「光る君へ wiki」 来年の大河ドラマのキャスト相関図がネットに流れていて、気になったので。 今のところ、劇中で源氏物語が再現される雰囲気は無いようですが、 果たしてそれで一年間もつのでしょうか? 「ゲゲゲの鬼太郎 ネコ娘 歴代」「砂かけババア 歴代」 最新作での、ネコ娘のあまりの変貌ぶり(1

          小話エッセイ/Googleの検索窓からみえたもの

          小話エッセイ/苦手が大好きに変わるとき

          偏見の多い生涯を送って来ました。 親兄弟や友達の影響、身勝手な先入観は、 大人になってもなかなか抜けるものではありません。 今回は、そんなハードルを乗り越えて 「苦手/どうでもいい⇒大好き」へと華麗なる変貌を遂げた物事を 4つ厳選してご紹介いたします。 ◆焼海苔 母の作るお弁当の、蓋裏にへばりついたベタベタの黒い物体。 箸でこそげ落とすのが面倒というだけの代物でした。 けれど違った。 上京してから知った焼海苔の香り高き美味しさよ! ぱりぱり、ふやふや、どっちもグー。

          小話エッセイ/苦手が大好きに変わるとき

          小話エッセイ/これからブーツカットを穿く君たちへ

          「フゥゥーん」 かつて、私の姿を品定めするように眺め回した母は、ニヤニヤしながらこう言ったものです。 「お母さんも昔着てたわぁ、そういうの」 ローライズのブーツカットに、ピタピタTシャツ。 爆発パーマだった私へのコメントです。 「リバイバルやな。あの頃のジーパン捨てるんじゃなかったわ」 ——違うわ。 若い私は、なんだかバカにされたような気持ちでソッポを向きました。 あんたらのマネでは決してない。 自分でイイと思ったから着てるんや、ってね。 それから幾星霜の月日が流れた事

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          小話エッセイ/解釈の難しい“おすそ分け”

          以前住んでいた世田谷の激安八百屋にて。 「これ、食べきれないから1個あげるわ」 見知らぬおばさまが、2房100円で買われたバナナを、会計の済んだこちらのカゴへぽんと入れてきた。 「えっ、でも」 「いーのいーの、どうせ余るんだから」 世田谷のおばさま方は、人生に余裕があるためか、見た目よりもフランクな人が多かった。 「ありがとうございます、頂きます」 バナナなら、いい。 いや、本当にありがたいことである。 同じく世田谷、駅前の喫茶店にて。 「安かったから。はい、あなた

          小話エッセイ/解釈の難しい“おすそ分け”