絶賛公開中!映画『さがす』公式note

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絶賛公開中!映画『さがす』公式note

映画『さがす』をさらに楽しんで頂くために、ここでしか読めない作品レビューをお届け! 公式HP https://sagasu-movie.asmik-ace.co.jp/ 公式Twitter https://twitter.com/sagasu_movie?s=20

最近の記事

【ネタバレあり】『さがす』レビュー/轟夕起夫さん(映画評論家)

※本記事にはネタバレを含みます※  片山慎三監督の渾身の一撃、長篇2作目のハードルを予想以上のジャンプ力で飛び越えてみせた『さがす』。この作品レビューのイントロダクションとして、こんな個人的なエピソードを紹介してみたい。  じつは筆者は、助監督時代の若き片山青年と“ニアミス”していた過去を持つ。一体どういうことか。かのポン・ジュノ監督も名を連ねたオムニバスムービー、『TOKYO!』(2008年)の一篇「シェイキング東京」を覚えているだろうか。「シェイキング東京」といえば片

    • 【ネタバレあり】『さがす』レビュー/小峰健二さん(新聞記者)

      ※本記事にはネタバレを含みます※  なにもない空間に向けて、ひとりハンマーを振り続ける男に、カメラがゆっくりとしたズームで近寄っていく。なにかの練習でもしているのか。思い詰めたような男の動きからは、異様な意思が感じ取れる。  そのようなショットで始まる映画『さがす』に、誰もが胸騒ぎを覚えることだろう。そして、その男が物語の早々に行方をくらますことで、事態はいっそう深刻になるかに思えるのだ。  生命力を剝き出しにする貧しき兄妹を描いた『岬の兄妹』(2018年)で監督デビュ

      • 【ネタバレあり】『さがす』レビュー/須永貴子さん(映画ライター)

        ※本記事にはネタバレを含みます※  2003年の『殺人の追憶』以降、『チェイサー』(08)、『悲しき獣』(10)、『新しき世界』(13)、『バーニング 劇場版』(18)、そして『パラサイト 半地下の家族』(19)といった傑作の積み重ねにより、韓国映画業界が作るクライム・アクションやクライム・サスペンスに対する個人的な信頼は強まるばかり。これらに比べると、この類のジャンルで「衝撃作」とされる日本映画のほとんどは、湿度が無駄に高く、説明的で理屈っぽく、エンターテインメントとして

        • 『さがす』レビュー/成田おり枝さん(映画ライター)

          とんでもない映画を観たーー。そんな気持ちにたっぷりとさせてくれる衝撃作『さがす』が、2022年の幕開けにスクリーンに登場する。先の読めないサスペンスフルな展開に巻き込まれ、ハラハラしっぱなしの123分。そこから浮かび上がる人間の業に、映画が終わってしばし呆然してしまった。本作で商業デビューを果たした片山慎三監督の才能とともに、お茶の間の人気者でもある佐藤二朗、NHK朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」の出演も話題となった伊東蒼、清水尋也、森田望智ら期待の若手陣の“テレビでは決し

        【ネタバレあり】『さがす』レビュー/轟夕起夫さん(映画評論家)

          『さがす』レビュー/SYOさん(物書き)

          映画を仕事にする上で、避けては通れない“弊害”――。「仕事の一環」という緊張感が付きまとい、純粋無垢に楽しめなくなることはその一つだが、ごく稀にそんな職業病をぶち壊す力作と邂逅するときがある。制御装置を外され、“我を忘れる”ほど没入し、いち観客に戻って満喫してしまう幸福……。『さがす』と過ごした時間が、まさにそうだった。 本作は、端的に言えば「失踪した父親を娘が捜す」物語だ。優れた作品はシンプルさと新しさ、つまり「入り込みやすいのに先が読めない」を併せ持っているもの。『さが

          『さがす』レビュー/SYOさん(物書き)

          『さがす』レビュー/CDBさん(映画ライター)

          韓国映画は素晴らしい、それに比べて日本ではあんなくだらない映画がヒットして、と多くの映画ファンが言う。僕は日本の、くだらないと言われている漫画原作映画の中に見るべき素晴らしい俳優やシーンがたくさんあることをツイッターで書いているうちにライターになった人間なのでそういう定型文には反射的にムッとしてしまうけど、そう言いたくなる気持ちもまあまあ分かる。でもポン・ジュノ監督の元で助監督をつとめた片山慎三監督の新作映画『さがす』を見た時、日本映画の中で見慣れてきた日本の俳優たちの顔が、

          『さがす』レビュー/CDBさん(映画ライター)

          映画『さがす』レビュー/斉藤博昭さん(映画ライター)

          基本的に映画というものは、予備知識をできるだけ少なくして向き合いたい。しかし、ある程度の前情報をもらってないと、観るための衝動が起こらない。 最近は「思ったとおりに話が進んで納得した」なんて言う意見も多く聞かれるが、個人的には「なんとなく面白そうで、軽い気持ちで観始めたら、とんでもない世界に連れて行かれた」という経験こそ、映画の醍醐味であると強く感じる。だから、ネタバレのボーダーラインは、じつに難しい。 重要なのは、作品の中での急展開や、最もサプライズ、ショック、感動を引

          映画『さがす』レビュー/斉藤博昭さん(映画ライター)

          『さがす』レビュー/金原由佳さん(映画ジャーナリスト)

          原田楓が父、智と暮らす文化住宅は大阪のJR新今宮駅からほど近い場所にある。新今宮駅の南正面には、現在は閉鎖されている、青いロゴでのあいりん労働公共職業安定書の看板で知られたあいりん総合センターがある。ここは日雇いの仕事を求める多くの労働者たちが集う場所だった。豊田利晃監督の『アンチェイン』では、1995年5月5日、アンチェイン梶というボクサーが殴り込みに行く場所である。 今も新今宮駅周辺には荷物を預けることのできるコインロッカーや、コインランドリーが数多く並び、わけあって身

          『さがす』レビュー/金原由佳さん(映画ジャーナリスト)