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サッカーの応援なんてしたくない ~そんな私が大旗をつくったら~

サッカーの応援なんてしたくない

日本を代表するサッカー選手といえば『釜本邦茂 氏』と『木村和司 氏』
サッカー漫画といえば『キャプテン翼』と『がんばれ!キッカーズ』

これにピンとくる方はおそらく同世代のくたびれたオッサンだろう。

そんなオッサンのサッカーとの出会い、怪我による挫折、サッカーとの別れ、そして転機・・・だなんて話には誰も興味はないだろうから省略。

今ここでするのは 『 サッカーの応援なんてしたくない 』 話である。

相模原ギオンスタジアムゴール裏

私がSC相模原のゴール裏にデビューしたのはもう40代を過ぎてからのこと。ゴール裏デビューといっても団体に所属しているわけではない。

普段はメインやバックスタンドでボーっと試合を観戦していた。

相模原のゴール裏は芝生席のため簡易テント(※現在は禁止)が設置されていたり、レジャーシートでピクニックしている牧歌的風景。俗にいうゴール裏の殺伐としたイメージはない。そこで私もピクニック気分でスタグルを楽しみ、気が向いたら輪に加わって飛び跳ねたりはしていた。


声を張り上げて歌うのも手を振り上げるのもオーバー40には疲れるし正直かったるく、できればお酒を飲みながら試合を楽しみたいところだ。そんなゴール裏が許される?かはさておき、そう思っていた2019年~から・・・

時代は一変した。


2020年、通常3月に開幕を迎えるJ3リーグはコロナ時代の始まりにより延期となり、6月にようやく第一節の無観客試合を迎えることとなる。


その時、私はここにいた



SC相模原×YSCC横浜戦
ボールと選手の声しかしない、炎天下でマスクにゴム手袋でボールボーイ

時々飛び入りのボランティアで設営に参加はしていましたが、この頃はまだ未知のコロナ時代に子供達がこうした場に参加ができない。ボールボーイならぬオールドボールボーイとして無観客試合を見届けました。

その年に相模原はJ3準優勝、J2昇格を果たしたものの2021年もまたコロナ時代の激動の時代に揺さぶれ、サッカーという興行自体が集客が難しい時代となる。


2018年 ホーム最終戦

2018年のホーム最終戦の鹿児島ユナイテッドFC戦、相模原ギオンスタジアムは12,000人を超える人で溢れていた。元日本代表守護神、川口能活氏の引退試合だった。ゴール裏も写真の通りごった返した。

これを引き合いに出すのは印象操作であることは分かってはいるが、満員のギオンスタジアムに明るい未来を、相模原が持つポテンシャルを皆が夢を描いたに違いなかった。

イベント時以外は平均動員数が3,000~4,000人とJ3としてはまずまずの動員数でしたが、コロナ時代突入の2020年は平均1,000人を割ることになる。2021年は多少盛り返したものの緊急事態宣言によるビジター不可の試合などもあり平均2,400人程度とJ2昇格の恩恵を十分に受けることはなかった。

そして今年2022年の平均動員数は1933人。
コロナだけでなく天候にも恵まれない不運も重なった。
時折サポーター内からも

人少なっ ゴール裏少なっ

といった自傷気味の言葉も増えてきた。


人が少ないからこそできる 相模原だからこそできるサポーター円陣ダッシュ


円陣ダッシュ

選手が試合開始前やハーフタイム後に円陣をくんで勢いよく四方八方に弾けるアレです。

相模原のゴール裏はJリーグのスタジアムとしては数少ない芝生席。それゆえに生まれるこんな遊びが流行りだした。もちろん少ないながらもサポーターも一緒に闘っているぞというのを示したかったのもあるかもしれない。

対戦相手のサポーターの方からも『相模原のサポ何やってんのwww』とSNS上に動画があがったり注目も受けた。

そして試合を重ねるごとに円陣ダッシュの輪は大きくなっていった。

それでも
そんなことやっている場合なの? という声もあった。


熱中症になって以来は設営ボラは参加していませんでしたが、ボランティア設営をすることにより、日頃のチラシ配りまででは知りえない運営舞台裏を知ることができた。なにより、コロナ時代にサッカー興行を開催するその苦労を幾分か知ることができた。

それゆえに何もしないで文句ばかり垂れている声に苛立ちを覚えた。

ゴール裏に人少ないってのならオマエが来いよ!!


という怒りも多少はあるものの、
うまくいかない苛立ちの感情を人に当てるのではなく。

ピクニック気分で来ていた私にも何かが芽生えていたようだ。


私にできること。


そうだ、大旗つくろう!


C'mon


まるでサンガスタジアムにでも行くように。

団体の方に相談しつつ今シーズン限りのつもりで個人旗を持ち込んだ。

C'mon(カモン)の意味としては

『スタジアムにおいでよ』
『ゴール裏においでよ』
『点決めたら飛び込んで来いよ』
『さぁ行こうぜ』

といったところだ。


C'mon  1800×2700mm
ギオンスにカモン

声が出せない、チャントが歌えない、クラップすることしか許されない。それ以外にも様々な制限。試合が終わっても勝敗に左右されない出し切った感、心地よい疲労感がなかった2年感。それを得られないスタジアムの魅力は新しい楽しみ方があったとしてもハードルが高かった。負ければ発散どころかしこりだけが残っていった。

来場数が減少した理由なんてチケット代のことを筆頭に皆が考えつくことのどれもがほぼ正解のひとつだろう。それがわかっていても人ひとりにできることなんて限られている。解決できる力などない。

流行り病の脅威があるなかで多くの努力の上に開催される試合で余計な問題・迷惑事を起こさない配慮はしつつ大旗ブンブンと銘打って簡単な大旗体験を呼び掛けた。そこで私自身も新たな出会いも増えたしゴール裏に来てくれる人も微小ながらも現れた。


それでも今シーズン、チームの成績は最下位で終えた。

私があれやこれややることは自己満足の世界でしかなく、このクラブにとって何かプラスにできたことなんてひとつもないかもしれない。


No.32

この大旗を最前列で振りながら、気がつけばクラップも頭上で激しく叩いていた。

 応援なんかしたくない私 がだ。

今年の選手達は点が決まらない、連携がうまくいかない、勝てない、とにかく勝てないことに苦悩していた。何をやってもうまくいかないと言ってよいほどに。

相模原のサポーターはゆるい!勝てないならブーイングで鼓舞しろ!いろんな声がある。いろんな考え方がある。誹謗中傷・罵詈雑言はさておき、どれも一理はある。


対戦相手ジュビロ磐田さんを眺めながらルービー

私はできれば暖かな日差しの下でビールをのみながらスタグルを食べていたいのは正直変わらない。が、今年の選手達と共にこの困難と立ち向かいたい気持ちが強かった。

勝ちたい。勝たせたい。勝とう。


今までのどのシーズンよりもその気持ちが強かった。

それはほとんど叶わなかった。

選手にしてみればピッチ内に集中しているので、サポーターが何をやっていようが目に入ってこない。相手のチャンス時に集中を削るように旗を横に振ったりするも大した効果もなかっただろう。


応援なんてしたくない。


冒頭とはまた違う意味でそう思う瞬間もなかったと言えば噓になる。

自分が居ないときに限って勝利したこともあったから尚さらに。

信じて続けても結果が出ない、出ているのかわからない。

しかし、選手もそう思いながら走り続けることもあっただろう。


それ自体が直接的な影響がなくとも

それでも今年私が旗を振っているのを見てなにかを感じて

自分も旗を振って応援してみたいという人が増えたのならー。



2023年  #ギオンスにカモン   後継者(ターンオーバー) 募集しますw


🦖