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【番外編】「南アフリカと日本の農業起業家のビジネス交流プロジェクト」その①

こんにちは。さがみこファーム代表の山川勇一郎です。

人類生誕の地・アフリカから昨日帰国し、Jet lag(=時差ぼけ)が残る中、この文章を書いています。今回の11日間に亘る南アフリカ滞在について数回にわたってレポートします。

そもそもなぜ南アフリカなのか?」と問われると、その答えは1年前に遡らなければなりません。

昨年11月、国際協力の仕事をする友人から「南アフリカと日本の農業起業家同士のビジネス交流プロジェクトが立ち上ったのですが、山川さん、参加しませんか?」とお誘いを受けました。とても面白そうな話ではありましたが、当社は創業期で自社のことだけで精いっぱいで、遠いアフリカのことを気にする余裕はなく、当初は99%お断りするつもりでした。しかし、アフリカ開発の第一人者である長尾先生とお話して考えが変わりました。「南アの人口構成は60年前の日本」「アフリカで電力問題は最も大きなテーマの一つ」「南アにはまだ中国資本があまり入っていない」そのような中で、「これから成長する南アフリカと、起業家同士のコネクションを持っておくことは、南アフリカにとっても、山川さんにとってもきっと役に立つ」と口説かれ、参加を決めました。

このプログラムは平成15年からスタートした「Asia-Africa Forum」の一環で行われる、南アと日本の農業分野の起業家によるビジネス交流プロジェクトです。異なる文化的背景の国同士がそれぞれのコンテクストを理解しあい、協働を促し、社会課題解決に向けた前向きな行動変容を期待したものです(トランスローカル・アプローチ)。国際教養大学、プレトリア大学、ミシガン州立大学の共同プロジェクトとして、事務局は㈱国際開発センターが担当しています。

果たして、昨年12月から1か月1回のオンラインミーティングがはじまりました。南ア側の参加者は12名、日本側は5名。いずれも30~40代の代表か管理職クラスで、ぼくは最も年長の部類でした。農業といっても穀物、畜産、果樹などジャンルは様々で、また、農業生産者もいれば、貿易を主にしている人、堆肥や種苗を扱っている人、また投資家もいました。皆、前向きで、両国の農業の現状と課題、それぞれが行っている事業について、参加者同士、時にはゲスト講師を交えて、オンラインのディスカッションを通じて理解を深めていきました。

そして今回、日本チームの南ア行きの日がやってきました。
成田からドーハまで7時間、ドーハからヨハネスブルグまで11時間。トランジットの時間を含めるとほぼ丸1日の行程です。さすがに長い。。

飛行機が中東から東アフリカ、そして南アフリカの上空に入ると、眼下に赤茶けた大地が永遠と広がります。自然環境が違えば、そこで育つ農作物や栽培方法、それを食す人、調理方法、育まれる文化も当然違ってきます。そんな当たり前のことを改めて感じながら、ヨハネスブルグの空港に降り立ちました。春の爽やかな空気が肌を撫でていきます。

これから首都・プレトリアにあるプレトリア大学の「Future Africa」を拠点に、農業関係者のサイトビジット、起業家とのディスカッションなどが予定されています。

現在、さがみこファームが行っていることは、神奈川県相模原市の中山間地における農業とエネルギーをテーマにしたローカルの取り組みです。
私の解釈では、ローカルの集合体がグローバルであり、答えは現場にこそあります。
ただ、ローカルの取り組みは、現場に没入するあまり、時に視野が狭窄し、袋小路に入ってしまいます。
強制的に全く異なる場所に自分の身を置き、離れた場所から自身の事業を眺めることで、違ったものが見えてくるのではないか。それが課題を打開し、事業を次のステージに引き上げる力になるのではないか。そうした知見は、世界中のローカルの取り組みを行う多くの人にとって役に立つのではないか。そしてそれらは、短期的なビジネス成果よりも中長期的に大きな財産になるのではないか。そもそもローカルの取り組みにはそれぞれの現場の知恵が詰まっており、いわゆる先進国が優れているとか、途上国が劣っているということはないはずです。アントレプレナー同士がフラットな立場で、お互いの知恵を学び合う、従来の国際協力の枠を超えた関係が、これからの世界の未来を拓くのではないか。そんなふうに思っています。
現地のビジットはそうした諸々のことをさらに深める機会となるでしょう。

次回は実際の現地プログラムの様子をレポートします。(つづく)

写真:Nieuwoudtville, South Africa Twitter @MariNursing_uk

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