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コンサル/VC/社外取締役/CFOを経験して見えた、現代のキャリア論

はじめまして。セーフィーのCFOをしている古田と申します。
新卒McKinsey⇒投資ファンド(INCJ)⇒セーフィーCFOというキャリアを歩んでいます。

今回のnoteでは、主に学生の方向けに「自分の新卒時の選択やその後のキャリア選択」について述べます。無限に選択肢があり迷う就職活動。自分の体験談が少しでも皆さんの一助になればと思い、筆を執ります。

1:今までのキャリア

まず最初に、自分の今までのキャリアを振り返ります。

大学院まで理系の研究室で化学や金属工学の研究をしていましたが、研究室にこもっているのは性に合わず、休みの度に海外でバックパッカーしていました。その旅先で、どこに行ってもSONYやトヨタの製品が使われているのを見たことで、失われた10年と言われる国内の様子と異なり、海外に残る日本企業のかつての強さに感動し、社会人になったら、日本経済・日本企業の再成長をそれを助ける仕事をしたいと思い、その手段として、日本企業各社を支援していたコンサル企業を選択しました。

"コンサル"の仕事はとても刺激的で、就職してとても良かったです。一方で、提案にとどまってしまいその内容が実行されないことに限界を感じ、自分が意思決定者になりたいという思いから、そこに近づくため投資ファンドに転職しました。

"ファンド"では、投資家として新しいスキルを学び、経営の意思決定に近いところで経験を積めました。とても有意義な経験をしていましたが、社外取締役として経営者にモノ申す仕事をしながらも「自分自身が経営に携わったことがない」ことが非常に苦しくなってきて、会社の内部に入って経営の一角を担いたいという思いで"スタートアップ"への転職を考えはじめました。

色々な会社の話を聴きましたが、未知の市場を新たにつくろうとするスタートアップが多い中で、セーフィーは既存の防犯カメラのクラウド化という着実な市場と、画像解析サービスという急成長が見込まれる新市場の2つの領域において、「顧客の使いやすさ」にこだわった圧倒的な優位性があるプロダクトをリリースしていたので、非常に将来性を感じました。
また、経営者の佐渡島も、よく人の話を聴き、愚直に課題に取り組む姿勢で、「この人だったらみんな付いていくだろうな」と思える魅力にあふれていました。

そんな理由で、5年半前にわずか10名程のセーフィーに飛び込み、そこから今までCFOとして一緒に会社を運営してきております。

▼コンサルからセーフィーを選ぶまでの社会人としての経験や葛藤は、こちらの記事にも書いてあるので、興味がある方は是非どうぞ


ここからは、経験したからこそわかる
「プロフェッショナルファーム・事業会社の違い」
「事業会社のステージごとの違い」
について述べていきます。あくまで自分の考えですので、一参考にしていただけると幸いです。

2-1:プロフェッショナルファームと事業会社の違い

コンサルや投資ファンドなど「プロフェッショナルファーム」と言われる仕事はとても刺激的で、学びが多くあるもので、
自分自身も非常に成長したと思います。論理的な思考力、数字分析、きれいな資料作成、M&Aの実務など、とてもわかりやすいビジネススキルが身についたと思いますし、何よりも圧倒的な成長を求められるプレッシャーと刺激が非常に楽しかったです。
ただ、その経験でビジネスができるかというと、それは別だと感じています。

ビジネスを進める上での強い武器ではありますが、武器があっても無くてもビジネスにおいては実行力が一番大事です。
きれいな分析やプレゼンで人が動く時もありますが、凄い営業マンは、素晴らしいプレゼンテーションがなくても、論理的な説明じゃなくても、お客様に商品を買ってもらうことができます。

紙に書いた事業計画や、きれいな戦略よりも、まずやってみて、その後の継続的な改善も含めてやりきること。”Done is better than perfect”とマーク・ザッカーバーグが言っていたらしいですが、とても共感できます。
「人と調整し・組織を動かし・取引先と交渉し・難しい意思決定を繰り返し・失敗を重ねて・修羅場をくぐる」ことで得られることでしか、本当の意味でのビジネスは学べません。

そういう失敗や修羅場の機会は、プロフェッショナルファームよりは、裁量権のある事業会社のほうが積めるものではないでしょうか。
逆な言い方をすると、いくら事業会社で経験を積んでもプロのコンサルやアドバイザーになれないように、コンサルの経験がそのまま事業会社でのビジネスの実務に役立つわけではないと思います。

2-2:事業会社のステージごとの違い

続いて、事業会社のステージごとの違いについて。

大手企業はその長年の積み重ねで非常によくできた仕組みがあるので、ある種のベストプラクティスを学ぶ場としては最適だと思います。理想形を最初に知ることで、後から自分がそういう仕組みを作る際に、役立つこともあるでしょう。
一方で、会社によるとは思いますが、裁量権やチャンレンジの余地は相対的に大きいとは言えないかもしれません。

生まれたてのベンチャー企業は、何も仕組みはないが、その分自分の裁量権を大きく持ち取り組める可能性が高いでしょう。
同時に、あれもこれも自分でやらなきゃいけないのか・・・と思うようなこともあったり、やることが多すぎて、社会人経験がない中で飛び込むには過酷な環境かもしれません。

その中間である当社のようなIPO前後の企業とはというと、両社のいいところも悪いところも両方併せ持っている状況です。
社員を助けてくれる一定の仕組みとチャレンジできる裁量権、失敗ができる余地と想定以上の修羅場に巻き込まれる炎上経験がそれぞれあるかと思います。

3-1:キャリア形成の基本的な考え方

ここからは少し話を変えて、キャリア形成という観点でお話しができればと思います。

広くキャリアを考えるうえで、キャリアのVSOPという考え方がとても好きです。

最初は「V=バラエティ」。若手時代に多彩な経験を積むこと。
次に「S=スペシャリティ」。若手時代の経験をもとに、自分の生涯の専門分野を決めてそれを極める。
そして、その世界での「O=オリジナリティ」。 専門分野の中でさらに自分色を出して業界でも認められるような存在になる。
最後は「P=パーソナリティ」。あの人と仕事をしたい、この人についていきたいという存在になる。

ブランデーのように、そういうキャリアの熟成が望ましいと思っています。

3-2:キャリア形成において大事なこと


経営はチームであたるもので、技術(CTO)・営業(CRO)・財務(CFO)・人事(CHRO)等のそれぞれ多様な専門分野と、その経験等からくる複数の領域についての一定の知見を持ちながら、相互に意見しながら行います。
このような経営チームの一角となるCXOになることを一つのキャリアのゴールとして検討していらっしゃると思いますし、「どのように経営へのキャリアを築けば良いのか」とよく学生の方から質問をいただきます。

自分の場合は、下記の流れで経営に携わりました。

  • 20代のうちはコンサルでの業務ではあれどさまざまな経営課題に取り組んだことで幅を広げることができた(様々な業界でのマーケティング・生産コスト削減・SCM・研究開発組織・新事業など)

  • そこからM&Aや、経営管理の部分に突き進もうとファンドへ転職

  • そこで得た資本調達の知見をもとにCFOとしてセーフィーに参画


このように振り返ると、当初からCXOになるためのキャリア選択をしてきたように聞こえるかもしれませんが、全くそんなことはありません。

実際は、コンサル内定後に大前研一さんや三枝 匡さんの本を読み「こういう人に自分もなりたい」という思いを強くして生涯の仕事としてコンサルになろうと思い最初のキャリアを決めましたし、投資ファンドへの転職時も「これが天職だ!」と思って自信をもって決めています。
最初からCFOを目指していたわけではないのです。

「コンサルにいったらCXOに近づくのでは」と思っている人もいるかもしれませんが、確かに経営的な視座を得たりと少し近道な面もあるかと思いますがそれ以外の道の方がおそらくたくさんあります。
ですので、どんな道であれ重要なのは、"自分のキャリアのリーダーシップを発揮すること"かと思います。
誰もがゴールから逆算した美しいキャリアを描けるわけではなく、
あくまでその時の自分の考えを信じて一歩目を踏み出すこと、そして踏み出した先で得た経験にしたがってキャリアビジョンは柔軟に変更していけばよいと思っています。

3-3:就活において重要なこと

学生や若手の方にとって、将来やりたいことが今時点で完全に見えている人は多くないと思います。
正直、最初のキャリアにコンサルタントを選んでいる人の中には、とりあえず何をやりたいかわからないので色々な経験ができそうというキャリアのモラトリアム的な意味で選ばれている方もいると思います。

とはいえ、「将来やりたいことが無い、分からない」という方はやはり魅力的には見えません。やりたいことを追って、それに向けて頑張っている人は、周りの人が助けてくれて、それによりさらに成長ができていく流れは確実にあります。

そして、その将来像は経験とともに変わっていってよいもの。
なので、新卒という無限に選択肢がある中で、ちょっとしたことでもよいので、”これをやりたい”という漠然とした思いを「言語化」し、その方針に向けて自ら動けることが何よりも重要かと思います。

運や人の縁などの環境要素も含め、言語化した内容にしたがって、がむしゃらに頑張って色々な経験を積み重ねる。のちに再度反芻して考え直し、後から振り返ると道となり、次の自分の行く先を照らしてくれる助けになるのではないでしょうか。

最後に

コンサル会社や外資系の証券会社などから次々に優秀な方々がスタートアップへ流入している流れが昨今あるので、そういった企業で得られる学びがスタートアップでも得ることができる環境が一部でできる新しい時代になりつつあると思います。
どのスタートアップも企業として生き残るのに必死な時は当然育成よりも少数精鋭の即戦力が最重視されますし当社セーフィーもそうでしたが、昨年あたりに企業としての拡大期に入り、新卒も含めた若手・ポテンシャル人材を採用し育成する方向になっています。
コンサル企業出身者による座学研修があったり、日常のOJTでもコンサル脳がある人からのフィードバックが受けられたり。人事コンサル出身者が作る人事制度や研修制度が構築されるなどの必要な人材を積極的に採用するからこそできる育成体系を構築中です。

セーフィーは、クラウド録画型の映像プラットフォームとして、「映像から未来をつくる」というビジョンを掲げ、家から街までをデータ化し、どこからでも、業務を推進できたり、ロボティックスや自動化したり、AIで状況を判断をサポートしたり、IoT社会のワクワクする未来のインフラをつくる会社です。(▼事業について詳しく知りたい方はこちら)

今後一段と成長をしていくために昨年に続き新卒2期目の募集を開始しています。もし当社に少しでも興味を持っていただけた場合、是非説明会やインターンシップにご参加ください。
私もイベントや選考等に出席するので、どこかでお会いできると幸いです。どうぞよろしくお願い致します。


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