シェア
夏生さえり
2019年5月1日 02:11
遅めの朝食は、母が焼いたホットケーキだった。だらだらと起き上がって食卓につくと、やさしいきつね色に焼きあがったホットケーキに、四隅のとろけたバターがまさに染み込んでいるところで、その特別さも相まって平成最後の日はそわそわと始まった。蜂蜜を何度も往復させながらたっぷりかけて、すでについていたテレビに耳を傾けると、彼らは「平成」を振り返っているところだった。いや、彼らどころじゃない。呆れるほど全ての番
2019年4月30日 12:01
朝日が漏れ入るベッドの上でゆるやかに目を開けると、隣で夫も同じスピードで眠りからさめるところだった。「んん」と声にならない声をあげながら、寝相で乱れた布団をひっぱりあげる。そしてたっぷり5秒ほど置いて、夫は「さみしいな」とちいさく言った。それが今日の夜から3日間のことを指しているのは、すぐにわかった。10連休という最高の休日を余すことなく味わおうとしているわたしと違い、夫は今日から数日は仕