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詩 『Rebirth』

作:悠冴紀

雪化粧を解いた あらわな大地
氷を割りしだいた碧い大河

深い眠りから今
目が覚めた

己の鼓動に耳を傾け
内なる泉の脈を聞く

銀盤の空を仰ぎ見て
濃緑の翼を背中に開く

ほとばしる飛沫しぶきは何のためだったか
ようやく記憶が戻ってきた

私はずいぶん長い間
眠っていたらしい

数多の偽装に覆われた大地から
あるべき道が立ち現れる

雪にうずもれ消えかけていた輪郭が
突如として今 目の前に……

生誕の瞬間と変わらぬ息吹
失ったつもりで封じられていた元来の力

すべてはこの根に
今も宿る

傷だらけになりながら 何度となく
死と再生を繰り返してきた大木の枝先
自らの何かを 打ち破るがごとく

蕾が再び 力強く弾ける

大きく広げた一対の葉は 我が翼
濃緑の血がどくどくと葉脈を巡り
陽射しを求めて雲をも貫く

地中に伸びる根は 我が手足
鉤爪かぎづめのごとく先端を突っ立て
大地をがっしりと掴んで抱く

長い夜が
明けたのだ

これが我が春
雪解けだ

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※ 2013年3月(当時36歳)の作品。

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