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詩 『吐息に咲く白い花』

作:悠冴紀

大気をいたわりながら
ゆっくりと
誰かと歩んだ幼い日のように
息をしてみて

見えるだろうか?
そこに広がりゆく花の
まばゆい白さ

雪よりも白い柔らかな花びらを
薔薇のごとくに しっとりと広げ
光散りばめながら
冬の静けさに霧散していく

永遠に似た一瞬の開花

そうだよ
その花は 君の花
君の中に蘇った潤いの化身

思い出したんだね
雪よりも白いその花に
包まれながら生きるすべを

大気をいたわりながら
ゆっくりと
信じた誰かを思い浮かべて
息をしてみて

君の吐息が 花に変わる

この身を清めるかのような冬の冷気に
まばゆい白さで 花びらが広がる

永遠に似た一瞬の開花

そうだよ
この花は私たちの花
自らが乾き 凍り付いていたのでは
生み出すことのできない繊細で敏感な鏡の花
白い冬に咲く 白い花吐息

息をしよう
ゆっくりと
咲かせていよう
白い花を

*********

※2006年(当時29歳)作

この詩は、一年近く連絡の取れなくなっていた友人(=幼なじみの三人の親友のうち一人で、現在は五島列島在住)から、「実は鬱病にかかってしまって・・・・・・。でも今は寛解してやっと知人友人と連絡を取り始めたところ」という話を聞いた直後に思い浮かんだ作品です。「友よ、おかえり」という思いが、こんな形になりました。

注)シェア・拡散は歓迎します。ただし、この作品を一部でも引用・転載する場合は、「詩『吐息に咲く白い花』悠冴紀作」と明記するか、リンクを貼るなどして、作者が私であることがわかるようにしてください。自分の作品であるかのように公開するのは、著作権の侵害に当たります。

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