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人への投資ワーキング・グループ(規制改革推進会議の新たなWG)

内閣総理大臣の諮問機関「規制改革推進会議」のワーキング・グループの一つに「子育て・教育・働き方ワーキング・グループ」があったが、このワーキング・グループが廃止され、新たに「人への投資ワーキング・グループ」が設置された。岸田政権となり「子育て・教育・働き方」から「人への投資」に看板が掛け替えられた。なお「規制改革推進会議」は「内閣府設置法第37条第2項に基づき設置された審議会」「内閣総理大臣の諮問に応じ、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方の改革に関する基本的事項を総合的に調査・審議することを主要な任務」(内閣府サイト)とされている。


第12回 規制改革推進会議(内閣府)

内閣総理大臣の諮問機関「規制改革推進会議」第12回会議が先週の水曜日(2021年12月22日)にオンラインで開催されたが、議題は(1)当面の規制改革の実施事項について、(2)規制改革推進会議の進め方について。

その資料2-2規制改革推進会議の進め方について(案)には「スタートアップ・イノベーション」、「人への投資」、「医療・介護・感染症対策」、
「地域産業活性化」、「デジタル基盤」の5つのWG(ワーキング・グループ)を設置する、記載されているが、個人的には「人への投資ワーキング・グループ」に注目している。

また、新旧対照表によると、改正後はファストトラックプロセス規定が新設される。ファストトラックプロセスとは「ある案件の審査や実施などの際に、 従来と比較して簡易な手続きを採用することにより、 迅速に進めることができるようにしたプロセス」(JPNIC=一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)のこと。

規制改革推進会議の進め方について(改正後)
3.審議方法
(4)本会議ないし各WGは、迅速な対応を行うため、必要に応じ、書面による議事等を活用し、制度所管省庁に対して、規制改革の取組を求め、その成果の報告を受けることができる(ファストトラックプロセス)。

内閣府公式サイト「規制改革推進会議」

資料2-2 規制改革推進会議の進め方について(案)(PDF)

資料2-1 規制改革推進会議の進め方について 新旧対照表(PDF)

規制改革推進会議 会議情報(内閣府サイト)

第12回 規制改革推進会議(内閣府サイト)

人への投資ワーキング・グループ

今まで規制改革推進会議ワーキング・グループとして「子育て・教育・働き方ワーキング・グループ」があったが、このワーキング・グループが新たに「人への投資ワーキング・グループ」となるということだろう。

第7回子育て・教育・働き方ワーキング・グループ議事概要(2021年12月1日開催)によると、子育て・教育・働き方ワーキング・グループの委員・専門委員は次のとおり。

子育て・教育・働き方ワーキング・グループ(旧WG)
(委員)大槻奈那<座長>、中室牧子<座長代理>、菅原晶子、武井一浩
(専門委員)宇佐川邦子、工藤勇一、鈴木俊晴、水町勇一郎、森朋子、村上文洋

内閣府公式サイト「規制改革推進会議」

第12回規制改革推進会議・資料2-3ワーキング・グループ構成員について(案)によると、新たなワーキング・グループ「人への投資ワーキング・グループ」の委員・専門委員は次のとおり。

人への投資ワーキング・グループ(新WG)
(委員)大槻奈那、菅原晶子、中室牧子、本城慎之介
(専門委員)宇佐川邦子、工藤勇一、鈴木俊晴、水町勇一郎、森朋子

内閣府公式サイト「規制改革推進会議」

旧WGと新WGを比較すると、大槻奈那、菅原晶子各委員が再任、中室牧子委員、本城慎之介各委員が新任。また、宇佐川邦子、工藤勇一、鈴木俊晴、水町勇一郎、森朋子各専門委員全員が再任。

なお、新たに選ばれた中室牧子委員は経済学者・慶應義塾大学総合政策学部教授、本城慎之介委員は学校法人軽井沢風越学園理事長・楽天グループ創業者の1人で元楽天グループ株式会社取締役副社長。

資料2-3 ワーキング・グループ構成員について(案)(PDF)

裁量労働制について(人への投資)

資料1-2 当面の規制改革の実施事項(概要)には、「人への投資」の1項目として裁量労働制について記載されている。

裁量労働制について、健康・福祉確保措置等の在り⽅を含めて検討。労働時間制度全体についても、労使双⽅にとって有益な制度となるよう留意しつつ⾒直しの検討を⾏い、働き⼿が多様な働き⽅を選択できる環境整備を促進。

内閣府公式サイト「規制改革推進会議」

資料1-2 当面の規制改革の実施事項(概要)(PDF)

なお、内閣府サイトに公表された資料「当面の規制改革の実施事項(令和3年<2021年>12月22日)」3.「人」への投資 労働時間制度(特に裁量労働制)の見直し(30頁)に今後の裁量労働制見直しの方針とスケジュールが記載されている。

当面の規制改革の実施事項
3.「人」への投資.
 労働時間制度(特に裁量労働制)の見直し
a:令和4年度(2022年度)中に検討・結論、結論を得次第速やかに措置、b:令和4年度(2022年度)検討開始】
a 厚生労働省は、働き手がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる環境整備を促進するため、「これからの労働時間制度に関する検討会」における議論を加速し、令和4年度中に一定の結論を得る。その際、裁量労働制については、健康・福祉確保措置や労使コミュニケーションの在り方等を含めた検討を行うとともに、労働者の柔軟な働き方や健康確保の観点を含め、裁量労働制を含む労働時間制度全体が制度の趣旨に沿って労使双方にとって有益な制度となるよう十分留意して検討を進める。同検討会における結論を踏まえ、裁量労働制を含む労働時間制度の見直しに関し、必要な措置を講ずる。
b 厚生労働省は、労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号)上の労使協定等に関わる届出等の手続について、労使慣行の変化や社会保険手続を含めた政府全体の電子申請の状況も注視しつつ、より企業の利便性を高める方策を検討し、必要な措置を講ずる。

内閣府公式サイト「当面の規制改革の実施事項(令和3年12月22日)」

当面の規制改革の実施事項 令和3年 12 月 22 日 規制改革推進会議(PDF)

追記:経団連「当面の課題に関する考え方」

昨年(2021年)12月6日に経団連(日本経済団体連合会)は「当面の課題に関する考え方」を公表したが、「健康・福祉確保措置の徹底を前提とした裁量労働制の対象拡大等、自律的・主体的な働き方に適した新しい労働時間制度の実現を目指す」としている。

当面の課題に関する考え方(抜粋)
働き手のエンゲージメント向上に着目し、働き方改革の深化を促すとともに、イノベーションの源泉となるダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みを加速する。その一環として、場所と時間にとらわれない働き方を推進すべく、テレワークを巡る人事評価・労務管理上の課題について検討するとともに、健康・福祉確保措置の徹底を前提とした裁量労働制の対象拡大等、自律的・主体的な働き方に適した新しい労働時間制度の実現を目指す。

経団連(日本経済団体連合会)「当面の課題に関する考え方」

追記:働き方・人への投資ワーキング・グループ

規制改革推進会議のワーキンググループ「働き方・人への投資ワーキング・グループ」の第1回会合が2023年11月15日に開催。第2回会合は11月20日に開催。

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*ここまで読んでいただき感謝(佐伯博正)