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#31◆「働いていたら嫌なこともありますよ」と言われてイラッとした話
世の中は少しずつ年末ムードが漂ってきた。クリスマスケーキの予約は始まってるし、スーパーではしめ縄が並び始めている。おせちのパンフレットも目に留まる。
このままだと無職での年越しになる。療養中とはいえ、年内の就職先決定を目標にしていただけに焦る。
年末年始は新しい求人が出てこない。応募したくてもできない状態は何とも歯がゆい。同じ理由で、土日や祝日も嫌いだ。休日なんか早く終わってさっさと平日になってほしいといつも思っている。
お正月は少しばかり贅沢をしたい。普段よりちょっといいものを食べたいし、セールや初売りで欲しかった物を買いたい。
無職だとそれができない。お金が入ってこない生活で一番の苦痛はお金を使うことだ。今年は質素なお正月となるが仕方ない。
そんな話をクリニックでしていたら、
「休みが多いと売上が減って嫌だし、働いていたらイライラすることもあってストレスが溜まるんですよ」
と先生が言った。
僕は「そうですよね」と答えつつも、その言葉に違和感を覚えた。いや、オブラートに包まず正直に言おう。少しイラッとしたのだ。
職につけなくて困っている僕から見ると、先生は職があるだけ恵まれている。「職がなく無収入のストレス」と「働いてることで受けるストレス」は全然別の話なのだ。
先生の「嫌」や「イライラ」は僕には贅沢な悩みに映る。「それでも仕事があってお金が入ってくるからいいでしょ」と言いたくなる。
(無職の気持ちは無職の人にしか分からないか…)
と暗澹たる気持ちになった。
とはいえ、先生の真意は分かっているつもりだ。
「今は職のある人が羨ましく見えるだろうけど、働くのもまたストレスなんですよ。隣の芝が青く見えてるだけです。過剰な期待はしないでおきましょう」
と伝えたかったのだろう。それも優しさだ。
だけど、あの場面で欲しかった言葉は
「そうですよね。早く働きたいですよね」
だった。まずは共感してくれることで心が軽くなったはずだ。その後であれば、先生の「嫌」や「イライラ」に素直に耳を傾けられただろう。
ここまでネガティブなことを書いてきたが、先生にはとても感謝している。うつのどん底から蘇ってこれたのは先生のおかげだ。この一件でクリニックを変えようとは思わないし、これからもお世話になりたい。
今回はたまたま感情の行き違いがあったけど、こういう経験も社会復帰のためのリハビリだと捉えるようにしている。
適度に緩い先生の人柄からは学ぶことが多い。真面目すぎる自分にとっては手本にしたいことだらけだ。新しい学びを楽しみに、次も張り切ってクリニックへ行こうと思う。
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