【小説】SNSの悪夢
2人がホテルに入ったのを見届けて、家に帰ることにした、朝からずっと見張っていたから、何だか自分で無くなったみたいだ。
彼は自宅では良い親なのだろうか、いい夫なのだろうか、こっちはそんなのは考えずに見ていた。
それだけ他人に対しては冷静に対処してしまうんだろう、その人間に復讐をしようと思っていても。
探偵はどんな風に自分を保っているのかな、他人を見張っているって、自分を失くす行為だ。
仕事だからと言えばそれまでだが、他人を把握するなんて割り切っていても大変だろう。
誰かが自分の信頼する人間を信じ切れなくて、信頼できないのを証明するのは神経が逆立つ。
その点、自分はホテルに入る所も写真撮ったし、ここで家に帰ろう、問題はこれじゃ無いからな。
自分は何が問題だったか知って貰うだけだ、偽の事実に翻弄された人間が如何なって、その嘘を広めた人間が如何なるのか、知らせてやろう。
自分はコンビニでも寄って、食べ物を調達して家に籠って、次を考えてみよう。
今日の事実を彼の妻に知らせるだけでは、復讐には程遠い、もっと実際的に問題になる事が望ましい。
それにしても伽藍洞の自分の家に帰るのか、体の中に有る虚しさは掻き集めて、しまって置く様にしよう。
今日は運動もしていないから、夜道を走って帰るか、考えながらもう足が動いている。
毎日身体を動かしていると、それが通常で運動として動かさない日は何だか罪悪感に苛まれる。
家に帰っても無いがある訳でも無いから、帰りが遅くなってもいい、心の奥底では「ごめんなさい、帰ってきました。」と言って彼女が帰って来る希望が蠢いている。
そんな簡単では無いのだろうが、探偵を使ってでも自分の信頼を取り戻したいと切実に考えていた。
ハッ、ハッ、足が動くと、背筋が伸びていく、夜だし自分に何か言ってくる人間も居ないだろうし、走るって行為に集中する。
都会の夜は遅い、朝はあんなに早いのに、こんな時間まで皆外で騒いでいる。
この中の一定の人数が俺にぶつかってきた奴らなんだな、実際に体をぶつけた訳では無くても、言葉でぶつかってきたら同じになる。
この人間達に嘘の功罪を教える為には如何したらいいんだろう。
走って居ると体が熱くなって、頭もハッキリしてくる、よく瞑想やらヨガが良いと言われているが、自分だったら長時間走るのを勧める。
走ることによって、考えが纏って落ち着いてくる、運動は何にもまして心に良い。
もう直ぐ家に着く。
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