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【小説】SNSの悪夢


朝何時に出かけるのか解らないから、早い時間に家が見える所で待機する、朝が早いのは慣れてる、早い時間に行って家が見える所で見ることにする。

新興住宅街と言っても、家が全て立ち並んでるわけでは無く、公園を囲んで、未だ建っていない土地もあった。

幸い公園から家が丸見えになっているので、公園で朝食にしようと買ってきたパンを食べてコーヒーで流し込んでいる。

住宅街の朝は早い、少し暗い住宅街でポツリポツリと灯りが点っていく、ゆっくりと朝が始まってゆく。

あちこちから朝の匂いが漏れてくる、何処の家でも朝のご飯だよな、ホントだったら自分も家で食べてる筈、考えると余計に腹が立つ。

子供がいると朝は早い、あちこちから子供の声が聞こえる、あの家も子供がいたんだよな、自転車が置いてあったのを思い出していた。

「行ってきまーす。」子供が出てくる、ランドセルを背負っているから小学校に行っているんだな。

近所の子供と一緒に歩いてゆく、気付かなかったが学校も近い所に有るらしい。

「行ってきます。」次は女性だ、たぶん妻なんだろうな、関係なく同居は考えられない。

あの男が出てこないな、まあいいもし主夫だったとしても、1日まるで出かけない人間は居ない、どうせ仕事もない身だ、ゆっくり待っててやろう。

そう考えていると、あの男が出てきた、スーツを着ている、仕事に出かけるらしい。

新興住宅地の家を買ったとしたら、夫婦共働きじゃなきゃ金銭的にやっていけないのだろうな。

そう考えながら後を付ける、自分の顔は知られているので、眼鏡とマスクは必須だ。

この時代マスクを着けているのが当たり前なので、こんな時には有難い、実際にネットやテレビで見ていても、特徴が解らないと見つからない。

少し離れて付いてゆく、小走りに駅に向かっているようで、乗る電車を逃さない様に必死なのかもしれない。

駅には何時もの人の群れ、この中で見失わない様に附けてゆく、仕事や立場を調べてやる、簡単に人を批判する問題を思い知らせたい一心だ。

電車から吐き出される様にドアが開くとザアッと人が出てゆく、あいつも出たのを確認してこちらも同じ駅で降りる。

「お早うございます。」と声が掛かっている。

「おはよう、いつも満員電車は大変だね、服がしわくちゃになっているよ。」早足で歩きながら答えている。

「そうですね、田舎の親が仕立ててくれたスーツは1回しか来てませんよ。」嬉しそうに朝の挨拶らしい。

見ているとビルに入ってゆく、何処の会社か確認するため、エレベーターの階数を確認して、後でまた附けよう、会社は絞りこめた。

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