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【小説】SNSの悪夢
朝になると早々と起きるのが習慣になっていて、今日も立花は5時から起きていた。
時間が有ると走らなければならないと考える、自分でも健康オタクだと思うが、止められない。
そうだ、近所を走ってから朝食にしよう、パジャマを脱いでトレーニングウェアに着替えた。
昨日の女を調べる必要があるが、自分の健康の方が大事だ、健康が如何でも良いと考える程、世を儚んではいない。
外に出ると、もう生活は始まっている、車が時につっかえながら列をなして走っている。
こっちは足で勝負、車よりも小回りが利く、止まったり走ったりする車を横目にランニングだ。
走ると言っても道沿いの木は減っていて、排気ガスを避けながら20分位先の公園に走ってゆく。
木は少しづつ伐採されても、公園だけはまだ木がある、都会でここだけが新鮮な空気を貯めている気がしていた。
昨日の夜も走っているが、あれは帰るために走っているので、健康的な走りとは言えない。
新鮮な空気を吸って体を動かす、人間やってるなと感じる時間だ、集まった人間も同じ感覚なのか、深呼吸している姿が見て取れる。
別に他の時間は人間やって無いわけじゃ無いけど、頭で考えて自分の身体を動かすのは、動物的でも無く、頭だけでない、人間にしかできない行動だと考えている。
平日の朝なのに、走っている人間は自分だけでは無い、仕事の前に走るのかな、時間に追われるのが哀しくも有り、羨ましくも有った。
見回しながら軽い体操をする、本当は筋トレって所だが、道具も無いからこれで終わって置こう。
向うには太極拳の動きをしている集団が居る、ラジオ体操の集まりも見える。
健康は欠かせないアイテムになった、誰もが気を付ける、それで病に近づかないと言う様に。
さて帰るか、気分良く来た道を帰る、ここには運動以外の人も集う、公園がそこに在るだけで、人間が集まってくるのは、木の癒しなのかもしれない。
まああまり多すぎると、それはそれで虫やムクドリの害が合って、問題になるんだろうが、人間のエゴだなそれは。
道を見ると、ここに着いた時よりは車が少なくなった、今はすいすいと流れている。
その流れを見ながら、立花は自宅への道を走った、帰りは何も考えていなかった、瞑想をしている様だったな、ふと考えた。
家に帰ると自分の為に朝食を作った。
作ったと言ってもパックのご飯に、買ってきたインスタント味噌汁、鮭と納豆も食べよう。
何だか蛋白質が足りない、そこはプロティンで補っておこう、筋肉が減ると仕事に関わる。
こんな事態でも、仕事を考えている自分が少し嫌になっていた。
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