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【書評】覚えることが勉強だと勘違いしていた

わたしは歴史を学ぶのが好きな少女だった。

小学校6年生のときの社会のテストでは、100点以外取った記憶がないし、

中学校でも、社会の成績はいつも5だった。



その後、高校では理系に進んだため、世界史の授業が週1回あったくらいで、

テスト勉強以外では歴史の勉強をすることがなくなった。

大学では、数学が苦手なのに数学学科に入ったため、数学の勉強に追われ、

歴史を勉強することなんて、ほとんどなかった




再び、歴史の勉強をし始めたのは、大学3年生の冬。

教員採用試験を受けるために、最低でも中学社会を勉強し直さないといけなくなったからだ。

試験勉強をし始めた直後は、あれだけ歴史が好きだったし、

すぐに挽回できるだろうと思っていた。



しかし、問題集を開いて驚いた。

全くと言っていいほど、覚えていないのだ。

わたしの記憶力の問題もあるかもしれないが、あれだけ得意なはずだったのに、

こんなに覚えていないなんて、義務教育の9年間何をしていたんだ?

時間の無駄だったんじゃないか?

そんなふうに感じていた。




しかし、つい最近「なぜ歴史を学ぶのか」その疑問がついに、解かれたのだ。

きっかけは「ミライの授業」という本を読んだことからだった。



【以下、ネタバレあります。】

この本は、昨年、病のため、47歳で亡くなられた、瀧本哲史さんの著書である。

瀧本先生は京都大学でも教鞭をとられ、その授業はとても人気だったそう。

これは、未来を作る5つの法則を14歳向けに書かれているので、もちろん中学生に

も読んでほしい1冊ですが、大人も読むべき本だとわたしは思います。




20人の人物(本の中に出てくるのは、19人)を取り上げながら、未来を作る法則

について学ぶのですが、本の中で紹介されるのは、みんな過去の人たち。

過去の人たちから未来を作る法則を学ぶって、矛盾していると思いませんか?

このことについて瀧本さんは、冒頭部分で次のように述べている。

本気で未来をつくろうと思うなら、過去を知る必要があります



この本を読み進めていくとわかるのですが、この言葉は歴史を学ぶ本質を的確にとらえています。

これまで、わたしたちが学校で学んできた歴史は、どれだけ覚えられるかにばかり注目されていたけれど、そうではない。

マンモスを追いかけるような原始生活からはじまった人類の歴史は、さまざまな「世界を変えた人たち」の努力によって前進し、未来を切り拓き、文明を発展させてきました。もしも彼らが現れていなかったら、人間なんてとっくに滅びていたかもしれません。


この本を読み終わったとき、結局わたしは、歴史を勉強するのが、楽しかったのではなく、知識として覚えることが好きだっただけなんだと気づかされました。




わたしが、この本の中で1番好きなエピソードは、

5時限目にある「変革者はいつも新人である」の項。

ここでは、科学史家、トーマス・クーンの研究について取り上げられている。

彼は、コペルニクスの地動説やダーウィンの進化論がどのようにして人々に

受け入れられたかを研究した人である。




そして、上記のような新事実が世の中の「常識」になるのは、世代交代

世代交代だけが世の中を変えるという結論を見出しのである。



今、わたしたちが「こんな世の中になればいのにな〜。」と思っていることは、

今すぐに変わるわけじゃなくて、古い時代の人、それはつまり、

おじいちゃんやおばあちゃん、父母が年老いて、新しい時代の人でわたしたちが

中心の世の中になったときなのだそう。




ということは、理想の未来がやってくるのは、わたしたちが年老いたとき。

そのとき、何歳になっているかわからないけれど、

今やっていることが理想の未来のためになると信じて行動していたら、

なんかワクワクが湧いてきました。




わたしの理想の未来は、世界が今よりもっと「多様な社会」になること。

未来のことは誰にもわからないけれど、

いつかくる理想の未来のために、志を忘れず、行動しようと思いました。





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