『バッタを倒しにアフリカへ』から情熱と勇気を分けてもらう
「大好きなバッタの研究をしながら、アフリカの食糧問題を解決できる!」
夢をかなえるため、31歳の春、アフリカのモーリタニアで前野氏の挑戦が始まる。過酷な環境の中、数々の困難にぶつかりながらも決してあきらめない姿に心を打たれる。
やる気と勇気と笑いをくれる、最高の一冊。
なぜアフリカでサバクトビバッタが大発生するのか?
答えは、バッタは数が増えると変身する特殊能力をもっているから。
バッタの数が少ない集団を「孤独相」という。「孤独相」のバッタは、普通の緑色や茶色のおとなしい陰キャのバッタ。
しかしバッタの数が増えると「群生相」という大きな集団になる。「群生相」のバッタは黄色と黒の目立つ姿に変身し、行動的な超陽キャなバッタになる。
「変身するなんて仮面ライダーみたいでかっこいい!」とか無邪気にいっている場合ではない。
この「群生相」のバッタは黒い悪魔(農作物を喰い荒らす害虫)として恐れられ、アフリカの食糧問題を引き起こしている。
この文章を読んでいる時、陰キャの息子が部屋に入って来た。息子にバッタの大発生のしくみを説明して、こんな質問してみた。
「どうすれば孤独相のバッタが群生相のバッタになるのを防げると思う?」
すると少し考えてから、息子が真顔で言った。
「バッタに、孤独のカッコよさを伝える」
「なるほど・・・」
きっと社会に出たら、個性的な感性が邪魔をして、めちゃくちゃ苦労するだろう。心配だ。
「わが子に幸あれ!」
「若いときの苦労は買ってでもせよ」とよく言われる。
難しい問題について考え、苦しんでいる時に、人は大きく成長する。
困難を乗り越えることで、さまざまな能力が身につく。
思考力・忍耐力・創造力・問題解決能力・コミュニケーション能力。
人は苦労する中で自分を知り、自分なりの哲学をもつようになる。
ちなみに私は若いときに楽をしたツケが回ってきて、50歳の今も苦労が絶えない。貧乏暇なし状態で、馬車馬のように働いている。
それでも、いくつになっても成長するためには多少の苦労はした方がいいと思っている。だから時々、少し難しい課題に取り組む。自分に無茶ぶりをするのだ。
ちょっと難しい本を読む。
新しいことをやってみる。
嫌なことも前向きに取り組む。
そんなふうに困難を利用して自分を成長させると、自分を知り、自分の哲学をもって、しっかり生きていけるようになる。
私はまだまだ道の途中。
人生で遭遇するさまざまな問題を自分で解決したいと思っている人に、ぜひ本書を読んでいただきたい。
文化の違いや、砂漠という過酷な環境の中で起こるさまざまなアクシデントを、アイデアとユーモアで乗り越える。
前野氏の生きる力とバッタへの情熱に感動するはず。
追伸
前野氏の新しい本が出たらしい。
『バッタを倒すぜアフリカで』