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Saya.K
2019年10月22日 22:09
『何様』を読んだ流れで、2-3年ぶりに『何者』を読み返した。演劇サークル出身で他者の観察を趣味とする拓人、拓人の同居人でバンドに青春を費やした光太郎、光太郎の元カノで拓人の片思い相手でもあるまっすぐな性格の瑞月、瑞月の友人でいわゆる"意識高い系"な理香、理香の彼氏で"就活はしない"と言い切る隆良。ひょんなことから知り合った5人は、理香の部屋を就活対策本部として度々集まることになる。自らの本音や
2019年10月18日 22:35
『何者』を最初に読んだのは映画化がきっかけだったから、社会人になってすぐのことだった。この小説を就活中に読まなくてよかった、と心底思ったことを覚えている。その『何者』のスピンオフとして書かれた『何様』には、6つの短編が収録されている。光太郎が「忘れられない女の子」は誰なのか。理香と隆良はなぜ、付き合ってすぐに同棲を始めたのか。瑞月の両親には、一体なにが起こったのか。本編ではそれほど語られるこ
2019年10月15日 22:48
読書の秋なので好きな本を読み返す企画、その2。先日の『攪乱者』と同シリーズの石持作品。ただ、これはどんな話だったか全然覚えていなくて(苦笑)、かなり新鮮な気持ちで読み返してしまった。「V」と呼ばれる組織の、兵器製造を担当する細胞の物語。ある週末、兵器の企画・製造のために8人のメンバーたちが集められた。部外者の侵入が不可能なその場所で、メンバーの1人が殺されてしまう。しかし彼らはテロ組織、警察を
2019年10月11日 20:52
読書の秋なので、好きな本を読み返す。『攪乱者』は石持浅海の中でも一二を争うくらい好きな作品。就活中、某会社のESの「好きな本」に挙げ、短い書評を書いたほど。本作の登場人物たちは、政府の転覆を企む"組織"の一員。その中のとある"細胞"のメンバー「輪島」「久米」「宮古」は、上司の「入間」に命じられて様々な作戦を実行するが、それらは一見すると意味の分からないものばかり。用意されたレモンをスーパーに置
2019年10月7日 19:53
21世紀の『そして誰もいなくなった』登場! 精緻に描かれた本格ミステリにして第26回鮎川哲也賞受賞作、待望の文庫化。中学生のときに『そして誰もいなくなった』を何十回も読み返していた自分にとって、こんな謳い文句を掲げた本を手に取らないわけにはいかなかった。クローズドサークルものは、何本読んでもまったく飽きない。舞台となるのは、私達の世界とは異なるパラレルワールド。そこで発明された「ジェリーフ
2019年10月6日 22:48
会社の人から「軽めのホラー短編集」と言われて借りた一冊。身構えつつ読んでみたけれど、怖いのが苦手なわたしでもさくさく読み進められた。ミステリが好きな人なら、いくつかの話は途中でオチが読めてしまうかもしれない。けれど、結末に至るまでの過程が非常に丁寧に描写されているからか、先が読めることをマイナスには感じなかった。個人的なお気に入りは、「遠い窓」と「よもつひらさか」だ。「遠い窓」は、絵の