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梅雨、再開の粉雪

登場人物

桂 継子(35)喫茶ポンパドール店主

桜沢 佑(30)喫茶ポンパドール勤務

BGM夢乃崎町のテーマ(曲募集中)

〇喫茶ポンパドール

N「ここは何も起こらない町夢の崎町にある喫茶ポンパドール。ランチを終えてやっと一休みの様子」

客が帰るドアの音

佑「ありがとうございましたぁ~!」

継子「いやぁ!忙しかったわね!2年くらい経った気がするわ!」

佑「はい!なんかとても色んな事が起きて、時々悲しくて、時々孤独で、どこか安堵したような時間でした」

継子「…そんな大げさな事だった?ランチ終わっただけよ?」

佑「あ、私まだ慣れないもんですから」

継子「そう…かな?あ、そういえば、勿忘草荘…じゃなかったメゾンド勿忘草の一芸で無料のお部屋獲得大作戦、どうだった?」

佑「ふふふ、ふふふふふふふ!」

継子「なに、こわいこわい」

佑「勝ち取りました!!」

チャラン、と鍵の音
 佑勝ち誇ったように鍵を掲げる

継子「おぉ~!やったねぇ~!」

佑「これで私も一室の主です」

継子「おめでとう~!やったじゃん~!」

佑「ふへへへへ」

継子「ね、ね、一芸、何やったの?」

佑「そういう事は…聞かないんですよ」

継子「え~。なんで?」

佑「面白いことやってよぉ、みたいの一番良くないんですよ」

継子「ケチねぇ、一宿一飯、日々の仕事の恩義があるのにぃ~」

佑「それにつきましては、誠心誠意お返しできるよう努めます…」

継子「冗談よ!引っ越しの準備は?」

佑「引っ越しと言ってもスマホと財布とこの小さな鞄くらいしか」

継子「あ、そうだったね。ちょっと寂しくなるわねぇ」

佑「私も、子供達がいないのはちょっと寂しいですね」

継子「あ!そうだった!寂しいとか言ってられないのよ!」

佑「え、、、そりゃ昨日今日来たような私がいなくなっても寂しくはないでしょうけどそんな…」

継子「めんどくさいな、そういう事じゃないのよ!帰ってくるのよ!」

佑「え?ウルトラマンですか?」

継子「ん、まぁちょっと似たようなもんだけど。妹…、ん~妹って言うのかな。ともかく初子が帰ってくんの!なんの準備もしてなかったわぁ!」

佑「初子さん?」

継子「ま、いっか。なんとかなるでしょ!帰ってきたらまた紹介するし。あ、佑ちゃん賄い食べる?」

佑「はい!!」

継子「じゃ、ナポリタンにしましょう~!」

佑「やった~!粉チーズぅ!」

継子「あ~!佑ちゃん!足元~!」

N「佑が床の捲れたタイルに足を取られる、佑の持っている粉チーズが宙に舞う。一体謎の人物初子とは…粉チーズの嵐舞うポンパドールに誰があらわるのか!次回も期待するような事は何も起こらない夢の崎町に乞うご期待!」


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