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ショートシナリオ、アイディア集

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書き溜めていたショートシナリオの過去作や、アイディア稿などを置いていきます
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#書き出し

続かない扉の奥のキャベツ

出たんだってよ

は?何が

解体現場から

だから何がよ

キャベツが

あっ?

変だろ

何が

や、何がってキャベツだぞ?

で…るんじゃねぇのたまには

解体現場だぞ?打ち捨てられたビルの解体工事現場にどうしてキャベツがあるんだ!変だろ!

…?…いや、別に

今絶対変だと思ったろ

おもわねぇよ!

葉ぶりの良いすげぇ新鮮なキャベツだったんだってよ!変だろ!

…誰か忍び込んでキャベツ

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続かないあかずの扉

あまりによくあるシチュエーションだ

内容のわからない高級バイトの面接に朴訥で気の弱そうな学生が古びた洋館に向かうなど

ホラーゲーム、推理小説、幻想文学、怪奇譚、その他諸々

ミルクティーの中で揺蕩うタピオカのように見飽きた光景

今、ただ一つ違うのは

僕は金に困ってなどいない

いや、僕は、などと言うことではないだろう

あの物語の書き出しは真を捉えていないのだ

金に困ったからと言って人は

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鬼さんこちら実のなる方へ

鬼さんこちら実のなる方へ

その家は名もわからぬ山の中腹にあった

いや、山と言えただろうか

とにかく鬱蒼とした木々をかき分けかき分け上り下りをした先にポツンと、時代遅れの、それは、掘建て小屋とも言うような

中にはいつから飾られているのか、日に褪せた季節外れの吊るし雛が下がり

軒先には大根と柿が下がっていた

ぼんやりとそれらを眺めている自分の背中に突如老婆の声が投げかけられた

どうしました?

あぁ、いや、すいませ

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